下がることはない?教育費
「子どもに掛ける教育費を惜しまないと答える親が7割(NHK放送文化研究所「厳しい将来に備えを ― 勉強を重視する親たち~「中学生・高校生の生活と意識調査2012」から②~)」という言葉があります。
多少の変動はあるにせよ、そんな親の気持ちに応えるかのように「教育費のインフレ傾向」は変わらないと思います。
それに何といっても、子どもの人数は減り続けています。ということは、絶対数が減り続ける子どもをターゲットにしたビジネス(ランドセルや学習机に始まり、文房具や学習塾に習い事に至るまで)は、単価を引き上げざるを得ないのです。
これまで、筆者は教育費のインフレ傾向について、過去の統計を用いて述べてまいりました。しかし、この教育費のインフレ傾向が将来も変わらない、むしろインフレ傾向が強まる可能性が高いと、筆者は思っています。その理由の一つが、子どもの人数が減り続けていることです。
教育費のインフレ傾向に相反する傾向にある賃金
ところで、(最近はコロナ禍のニュースで、あまり聞きませんが)、奨学金の返済に苦しむ学生や若者が話題になった時期がありました。「奨学金返済の取り立てが厳しくなった」という噂も聞きます。
その理由の一つは、手取り賃金が増えないからだと、筆者は考えています。
親御さんの年齢とともに賃金が伸びていれば、お子様の奨学金への依存度が下がるでしょうし、親御さんに頼らずに自身で学費などを賄う学生も、卒業後、やはり年齢とともに賃金が伸びれば、奨学金の返済もスムーズなハズです。
しかし現実は、教育費はインフレ傾向が強いのに対し、賃金はこの20年でほとんど上がっていません。
下のグラフは、他の先進諸国と日本の平均賃金の伸びを指数化したものです。グラフの中で唯一、100前後でほぼ横ばいなのが、私たち日本人の賃金です。
まとめに代えて
お子様の将来の教育資金を「投資で準備する」、この考えにご賛同いただけない親御様や読者も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、いかがでしょうか?
冒頭で申し上げた「教育費こそ、インフレの傾向が強い」という筆者の言葉を否定することができるでしょうか?
もし、筆者の言葉を否定することができないのであれば、ご契約済み、もしくはご検討中の学資保険だけで、果たして、お子様の将来の教育資金は十分といえるのでしょうか? また元本が保証された金融商品だけで、お子様の将来の教育費を、家計の中で効率良く準備できるでしょうか?
と立て続けにお尋ねしましたが、投資は将来のパフォーマンスが定かではない、期待と逆になることも多いのも事実です。
学資保険だけでも、また逆に投資だけでも、お子様の将来の教育費は十分とはいうことができないでしょう。では、どうすれば?
その問いに対する答えは次回、考えてみたいと思います。
(次回は9月7日を予定しています)