「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、子どもの教育資金をどのように準備すべきか、積立投資をいかに活用すれば良いかを考えます。

  • 教育資金を準備するには積立投資が向いているが、積立投資には「計画性」がない
  • 学資保険は満期日と受け取り金額が決められるため計画性はあるが、中途解約は不利
  • 学資保険の契約を活かしたまま、積立投資も同時に行う方法を検討する

残暑お見舞い申し上げます。
新型コロナウィルス感染症は終息の気配すら感じられませんね。

さて、前回(連載第23回)では、将来のインフレを踏まえたときに「学資保険だけで、お子様の将来の教育資金は十分なのでしょうか?」という趣旨のことを述べました。

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将来のインフレへの対応といっても、その選択肢はいろいろあろうかと思います。
筆者は連載第1回から一貫して述べているように、「(株式などへの)投資」が、将来へのインフレへの対応になろうかと思っています。

ですので、やはりお子様の将来の教育資金についても、将来のインフレへの対応は投資で準備するのが良いと思っております。

もちろん、学資保険の全てを否定するつもりはありませんし、投資にもメリットとデメリットがあります。そこで、本稿では学資保険と投資の特徴について比べてみたいと思います。

投資は積立投資を前提とします

学資保険の契約は、お子様がお生まれになる前後にご検討されることが多いのではないでしょうか? お子様が大学や専門学校などに進学する時期に、学資保険の満期金を受け取るようなプランになろうかと思われます。
したがって、学資保険は契約してから満期までの間、毎月もしくは毎年、保険料を払い込み続けることになると思います。

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ところで、教育資金の準備を投資でもまかないたいと考えるのであれば、やはり積立投資という方法を検討することになるのではないでしょうか?

なぜ積立投資なのかと言えば、その「方法」と「期間」が教育資金の準備に向いているからです。毎月の定額での投資は学資保険の保険料の払い方に合わせられますし、お子様のご出産前後から大学・専門学校の進学時期までは18年ほどの長い時間がありますので、今あるお金を一括で投資信託などに投資するより、毎月少しずつ投資信託を買っていく積立投資の方が効果的だと思われます。

学資保険と積立投資の比較……まず学資保険から

学資保険と積立投資を比較して、表にしてみました。

積立投資 学資保険
契約時の年齢制限 なし 出生前から7歳までなど
満期の有無 なし あり
目標額の確保
(計画性)
なし 契約時に「18歳で満期金」など、
設定できる
祝い金 なし
(中途解約等で対応)
ある場合が多い
据え置いて満期時に受け取ることもできる
据え置くとプラスαが付く
まとめて払い込む できない 前納ができる商品もある。前納割引もあり
払い続けることが
難しくなったら
積立がなくても
ファンドの運用は続く
保険料の払い込みがないと失効してしまう
失効後に契約を復活できないこともある
中途増額 いつでもできる 年齢制限の範囲ならできる
中途減額 積立額の下限までなら
できる
できるが、減額分は中途解約と
同じ扱いになる
中途解約 損益、どちらの
可能性もあり得る
できるが、不利になるケースが多い
インフレへの対応 まさにインフレの
ための積み立て投資
保険はインフレに弱い
親権者の
保障の有無
なし 生命保障や三大疾病保障などの特約が
選択できる商品もある
選択すると満期時でも元本割れの可能性もある
子どもの
保障の有無
なし 入院時や通院時の保障などの特約が
選択できる商品もある
選択すると満期時でも元本割れの可能性がある

学資保険の方が、文字通り「将来の教育資金の準備」という明確な目標に特化している保険商品です。学資保険は契約時に満期日と受け取り金額を定めることができ、満期に向かってコツコツと積み立て(保険料を支払い)ながら、計画的に教育資金を準備することが可能です。
金額はともかく、「進学の時期」というのは明確に定まっていますから、「計画的な準備」はとても大切なことですね。

しかし、「コツコツと積み立てる」ことができなくなってしまった場合は、どうなるのでしょうか?
例えば、残業手当や賞与が減るなどして、学資保険の保険料を払い続けることができなくなってしまった場合などです。
おそらく、学資保険の減額や中途解約などで対応することになりそうですが、中途解約では戻ってくるお金が払い込んだ保険料より少なくなる可能性があるなど、不利になるケースが多いと思われます。

ところで、学資保険ならではの機能としては、特約により「保障」を得ることができる点があります。
親権者への保障としては、親権者が亡くなったり、同じく三大疾病に罹患した場合、保険料の払い込みが免除されつつも、契約通りに祝い金や満期金を受け取ることができたり、さらに、お子様が育英年金をお受け取りになれたり。

また、お子様にも入院時や外来通院時の保障特約を付けることができる場合もあるようです。
ただし、保障を付けると、祝い金と満期金を合計しても、払い込んだ保険料の累計の方が大きかったりすることもあるようです……。つまり、保障特約ありの学資保険は、元本割れを前提とした契約になってしまう場合もあるのです。

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子どもが大学に進学するとお金がかかるので、「計画的な準備」も「お金を増やすための投資」も必要

学資保険と積立投資の比較……続いて積立投資について

一方で、積立投資の方はいかがでしょうか?
もともと積立投資には、学資保険のような「将来の教育資金準備」という明確な機能があるわけではなく、投資する方は、単に投資信託などを積み立てているだけにすぎません。
そのため、積立投資の場合は、契約時に満期日と受け取り金額を定めることはできません。学資保険と同じように、毎月コツコツと積み立てることができたとしても、積立投資は学資保険のような明確な満期はあり得ず、「計画性」という点は(学資保険に比べ)弱いと言えます。

ですが、収入が減るなどして「コツコツ積み立てる」ことができなくなってしまったとしても、積立投資の場合は積み立てをやめ、(投資信託なら)すでに買ったファンドを保有することで運用を続けられますし、やめた積み立てを再開することもできます。また、積み立てたファンドの一部だけを解約して現金化し、残りはファンドの状態のまま運用を続けることもできます。
なお、ファンドの一部解約は、タイミングによっては利益ではなく損失を確定することにつながる可能性もあります。ですので、タイミングしだいでは「学資保険の中途解約」よりは不利になることもあります。