積立投資には計画性がない……留意すべきこと

積立投資は、学資保険に比べれば計画性がない分、柔軟というのか、融通が利くということもできそうです。

学資保険では契約者や子どもの保障に関する特約を選べることは先述の通りですが、積立投資は単に投資信託などを買い続けるだけなので、保障はありません。
その代わりに、学資保険(に限らず定額保険の全てにいえることですが)の弱点であるインフレに対応することができるのが積立投資です。

前回の稿でも述べた通り、教育費はインフレ傾向が強いと筆者は考えていますし、お子様の進学資金を準備するうえで、インフレは最大の懸案事項だと思います。
とはいっても、積立投資も「未知の未来への投資」ですから、将来の投資の成果はお約束できません。もう半年ほど経ちますが、新型コロナウイルス感染症がパンデミックになり、国内外を問わず、株式や債券を問わず、その価値が大きく下落したことがあったのは、まだ記憶に新しいですよね。
「タイミングの悪さ」を、まざまざと実感した読者も多いと思います。
投資はインフレへの対応ができるとはいっても、計画性がない分、ご自身でタイミングのコントロールの手腕が問われるのも、また投資なのです。

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契約済みの学資保険を解約して、積立投資を始めるのは?

すでに学資保険を契約済みで、保険料を払い続けている方は、学資保険をお続けになることを検討するべきでしょう。繰り返しになりますが、学資保険の中途解約は不利ですから。

もっとも、学資保険の中途解約に伴う損失(払い込んだ保険料の合計と中途解約に伴う受け取る解約返戻金との差額)を、投資の成果で取り返すという考え方もありかも知れません。投資が「マイナスからのスタート」になるので、よほどの自信と(お子様の進学の時期までの)時間がなければおすすめできませんが、時間があれば、タイミングによってはできるかも知れません。

すでに学資保険を契約済みの方は、学資保険の契約を活かしたまま、積立投資も同時に行う、つまり「学資保険と積立投資の併走」を検討なさってみてはいかがでしょうか?

とはいえ、お子様の将来の教育資金の積み立て額を増やすことになりますので、お子様が複数いらしたり、家計の現状から「学資保険と積立投資の併走は厳しい」という方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、投資の方法は、何も積立投資だけではありません。ワンショット(一度限り)の投資という方法もあります。
積立投資が厳しい場合は、家計に余裕のある時にだけ、投資を行うという方法はいかがでしょうか?

以上をまとめると、学資保険に積立投資(積み立てが難しい方はワンショット投資)を併走させることで、それぞれの強みが発揮されれば……という結論になろうかと思われます。

3人兄弟
育児にお金がかかり、積立投資に回すお金を作るのが難しい場合でも「ワンショット投資」という方法がある

積立投資一本で、お子様の教育資金を準備するのは?

もしかしたら「学資保険を使わずに、積立投資だけで子どもの進学資金を準備したい」とお考えの読者の方もいらっしゃるかも知れません。

「積立投資一本で、お子様の教育資金を準備する」

そんなことが果たして可能なのでしょうか?
そもそも投資は「未知の未来への投資」ですから、今、この場で明確な答えを提供することはできません。が、積立投資だけで進学資金を準備することも不可能ではないと思います。

積立投資の「計画性のなさ」をどうするのか?

さて、学資保険と積立投資を併走するのか、積立投資一本に絞って、お子様の将来の教育資金を準備するのか。
投資信託などに投資することでインフレに対応できたとしても、ひとつ大きな問題が残ります。本稿で繰り返し述べてきたように、積立投資の「計画性のなさ」、つまり「満期がない」という点です。タイミングという言葉も繰り返し出てきました。
「タイミングの悪さ」を実感したのは、まだ半年ほど前の出来事です。

タイミングをコントロールする手腕、……具体的には、どうしたら良いのでしょうか?
第25回で述べることにします。

(次回は9月21日を予定しています)

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