厚労省「患者調査」(平成29年)によると、約1万8千人が治療を受けた経験があるという貧血。もしも実際に貧血となった場合、どのような治療を受けることになるのでしょうか?今回は筆者の経験に基づいてご紹介します。
- 貧血で多いのは鉄欠乏性貧血。主な原因は食生活にある
- 一般的な治療方法は、「鉄剤」と呼ばれる薬を一定期間飲み続ける
- 重症でなければ、治療費は保険が適用されるので大きな負担にはならない
貧血とは? 原因や自覚症状について
貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低下している状態のことをいうそうです。原因によって種類はいくつかに分かれているようですが、特に多いのは鉄欠乏性貧血とされています(今回、筆者がなったのも鉄欠乏性貧血でした)。
鉄欠乏性貧血の場合、主な原因は食生活にあるようです。例えばダイエットや偏食などにより鉄分摂取量が不足した状態が継続することが、貧血へ繋がっていくとのこと。また、消化器系疾患や、女性の場合は子宮筋腫などの婦人科系疾患など、病気が原因の場合もあるそうです。
筆者の場合、初めて貧血になったのは20代の頃でした。当時は収入が少なかったことと、自己流のダイエットをしていたため、朝はトースト、昼はサラダチキン、夜はスープ、といった極端な食生活を続けていました。恐らくはそうした生活が原因となり、貧血になってしまったようです。
最初に自覚症状として感じたのは、立ちくらみとめまいでした。椅子から立ち上がると必ず目の前が回転するような感覚に襲われ、座っていてもクラクラするような状態でした。また、なんてことない日常動作でも息切れをするようになります。階段を昇ったり、急に走ったりすると、長い時は5分近く息が整わず、苦しい状態が続いていました。
それ以来、1~2年に1回は貧血と診断されるようになりました。20代のうちは食生活を変えてある程度対処していたのですが、最近は食事だけだと他の数値が悪くなることもあったので、病院で治療を受けるようになりました。
貧血の診断と治療方法はどう行われる?
貧血の診断は、血液検査の結果を見て行われます。筆者は今回、健康診断を受けた際の血液検査で貧血が指摘され、要治療となりました。
正常値と実際の値を比べて「貧血」と診断が出た後は、貧血の原因となる他の病気が無いかを確認する必要があります。幸い他に異常はないと診断されたので、かかりつけの内科で鉄欠乏性貧血の治療を受けることになりました。
私の受けている鉄欠乏性貧血の治療は、「鉄剤」と呼ばれる薬を一定期間飲み続ける、いたってシンプルなものです。重症の人の場合は輸血が必要となることもあるそうですが、今回の私は鉄剤を飲めば大丈夫だろうと担当医師に診断されました。
鉄剤を飲んだ時に、人によっては吐き気などがあるようで、実際に私も飲み始めてから数日は軽い胸焼けを感じることがありました。私の場合は数日経ったら収まったので問題ありませんでしたが、辛い場合は担当医師や薬剤師に相談するのが安心でしょう。
投薬期間は、まずは様子見で2カ月行っており、その後医師の診察を受けてから、さらに数カ月実施する予定です。あまり投薬を短期間で終えても貯蔵鉄が十分でなく、短い期間で貧血を再発してしまう可能性もあるとのこと。もしも皆さんが貧血になった時は、同様にしっかりと治療を受けると良さそうです。
貧血の治療費はいくらかかるのか?
貧血の治療費はどれくらいかかるかというと、日本では健康保険の制度が充実していますので、現役世代であれば3割負担で済みます。
私の場合、医師の診察1回と、2カ月分の鉄剤処方で、およそ2,000円の自己負担となりました。鉄剤はジェネリック医薬品(新薬と同じ有効成分を持ちつつ値段は割安な、後発医薬品)を選んでいるため、新薬を選んだ人の場合、薬の費用が変わるかもしれません。
あまり大きくない負担と感じる人もいるでしょう。しかし、貧血の治療は長く続く可能性もあるため、病院へ行く時間を定期的に確保しながら、忘れずに薬を飲み続けなくてはいけません。また、重症な場合はさらに入念な治療が、そして原因が他の病気にあった場合はその治療も必要になるでしょう。
健康を失ってしまうと、時間や費用、そして精神的な負担も負わなくてはいけなくなります。栄養バランスを考えた食事を取りつつ、定期的に健康診断などをしっかりと受けて、病気にならない・なっても早期に治療ができるようにすることはとても大切だなと、改めて思います。
今は健康な皆さんも、自身の身体としっかりと向き合って、将来の健康を維持できるように過ごしてくださいね。