キャンペーン情報のアプリへの反映は人の手で対応

AI-Creditは、地図上に表示される飲食店や小売店などで、決済方法ごとのポイント還元率が一覧表示されるアプリですが、この情報はどのように登録しているんですか? まさか、すべて手作業とか?

足澤 基本的にはスクレイピング、つまりプログラムを走らせて、決済業者などのホームページからデータを取得してデータベースに入れるという方法です。でも、中にはそのまま使えないデータもあるので、人間の手で修正するところもあります。機械が半分、人が半分くらいの割合でしょうか。

ただ、実際にデータを集めるのはたいへんです。クレジットやペイのキャンペーン情報は毎週のように出てくるし、他社との差別化のためにキャンペーンの形式が毎回違うので、毎回同じプログラムに落とし込めず、自動化が難しいところもあります。また、キャンペーンの内容について詳細がわからないところがあれば、業者に電話してルールを確認するなど、実は手作業の部分も多くなっています。

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アプリの名前に「AI」とありますが、最適な還元率の組み合わせをAIで計算させようとしてもうまく精度が出せないために、実際にはAIではなく、自分たちで計算式を組み立てています。カードとペイ、それにポイントサービスやキャンペーンを組み合わせたエンジンを作るのは時間がかかりましたね。

やはり苦労されてるんですね……。そんなAI-Creditの特徴や強みは何でしょうか。

足澤 アプリの基本的な機能は、ショップをマップで検索して、還元率が高い順に支払いの組み合わせがわかりやすく表示されるというもので、表示されたとおり支払えばいちばんお得になります。最近追加した機能としては、なんちゃらペイに抵抗がある方に向けて、支払い方法を漫画で見られるようにしました。

ポイントの還元率だけでなく、優待店情報もできる限り載せるようにしています。たとえばエポスカードをカラオケ店で使うと料金が最大30%オフになるとか、埼玉県の「パパ・ママ応援ショップ優待カード」の特典が使えるお店とか、そうした特典も同じ画面内で見られることがいちばんの売りですね。

将来はアプリ内で決済まで完結させたい

夏には「マイナポイント診断」のサービスも始めました。

足澤 マイナポイントはマイナンバーカードを絡めた国のサービスで、2万円までの買い物に対して最大25%、5000円分の還元が行われるのですが、どの決済方法でマイナポイントの還元を受けるかをユーザーが決める必要があって、どうすればお得かを自分で考えるのは難しいものです。そこで、普段どんなお店やサービスを利用しているかをアプリに入力すると、あなたはこの決済方法をマイナポイントとひも付けるとお得になりますよ、というアドバイスをするのが「マイナポイント診断」の仕組みです。

マイナポイント診断
「マイナポイント診断」の紹介ページの説明にあるとおり、AI-Creditのアプリの「マイページ」に必要情報を入力すれば、後日診断レポートが届く仕組み。

どんなカードや決済方法を使うとお得になるかを考えるのは、普通の人にとっては時間の無駄というか、時給換算するとむしろ損になってしまうので、そこの作業はアプリに任せてしまうのがいいのではないかと思います。

今後はどのような機能をアプリに盛り込んでいく予定でしょうか。

足澤 iOSで先行して導入したのが、ネットショップの還元率の計算への対応です。実店舗だけでなく、アマゾンや楽天などの買い物も、どうすればお得かを確認できるようになりました。近くAndroidにも対応する予定です。

将来的には、アプリ内で決済まで完結できるようにしたいと思っています。今はAI-Creditで還元率を確認したあと、買い物のときは別の決済アプリを立ち上げる必要があります。AI-Creditの画面で決済のQRコードを表示できれば、ユーザーはひとつのアプリで買い物までできるようになるので、今よりずっと便利になります。

マンション経営もFXも「手間をかけない投資」で

ところで、ご自身は節約やポイント還元のほかに、お金を増やすための投資や資産運用などはやっているのでしょうか?

足澤 投資もしています。1年を通して、最終的には銀行の預金口座がほぼ0円になるように、残ったお金をなるべく投資に回しています。投資用マンションも持っていますし、太陽光発電への出資もしています。あとはFXもしています。そもそもお金が大好きなので、お金がお金を生む投資を幅広くやっています。

足澤憲さん
お金が好きだから、節約も投資もいつでも全力の足澤さん。

節約を重視しながらも、投資にも積極的なのは意外な感じがしました。不動産から為替までかなり守備範囲が広いですが、投資対象を選ぶ基準は何でしょうか?

なるべく手間をかけないことを重視しています。マンション経営にしても手間をかければ利益率は高まりやすくなりますが、そういう時間があったら普通に働いた方がお金は増えるので、投資に関しては「気がついたら増えていた」というくらいの姿勢でのぞんでいます。損をするのが嫌なので、値動きをあまり気にせずに長期運用ができるものを選んでいます。

保険も好きです。最悪の事態が起きたときにお金が入るのは安心ですね。祖父も父もがんにかかったので、自分も将来はがんになる確率が高いと思っていて、本当にそうなったときに必要なお金が入ってくるとわかっていれば、どんなにつらい状況でも耐えられると思います。

投資もポイント還元もそうですが、お金を節約したり増やしたりすることに熱心な人もいれば、普段あまりそういう習慣がない人もいます。AI-Creditのようなアプリは、お金の使い方について考えるためのひとつの入り口にもなりそうです。

足澤 日本にはお金の教育を受けない家庭や、お金の話をタブー扱いする人が多いですよね。うちはそういうタブーがなかったので、子どもの頃からお金について考えることが大好きでしたが。でも、お金をめぐる環境はいろいろ変わろうとしています。世界の流れは現金からキャッシュレスへ移りつつあり、キャッシュレス化が遅れているといわれている日本でも、今後はお金に対する考え方を変えざるをえない状況になるかもしれません。

私たちのアプリは、入り口は「お得」かもしれませんが、お金そのものに興味を持っていただくきっかけになるとうれしく思います。

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