持っているだけで配当金がもらえて、とても魅力的に見える高配当銘柄。しかし高配当銘柄には、思わぬリスクもあります。そこで今回は、隠れたハイリスク高配当銘柄を手にしないために注意すべきポイントをまとめました。高配当銘柄を買う前に、必ず知っておきたい知識ばかりです。
- いくら高配当でも、「トータルリターンではマイナス」になる可能性も
- 利益以上の配当金を出している「タコ足配当銘柄」への投資は避ける
- 過去の配当実績や、1株配当額、配当性向などを確認する
高配当銘柄が抱える2つのリスク
高配当銘柄は比較的高額な配当金が期待できるため、お得に感じがちです。しかし、実際には高配当銘柄特有のリスクもあります。
株価の下落によりトータルでは損をする可能性
本来、株式投資とは、配当収益(インカムゲイン)だけでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)も含めたトータルリターンで考えるべきものです。
しかし、配当金目当てで株式を保有していると売却タイミングを逃してしまったり、配当利回りは高いものの株価が減少傾向にある銘柄を購入してしまう可能性があります。これまで受け取った配当金を売却損と合わせると、「トータルではマイナス」ということにもなりかねません。
もし減配になれば、株価が大きく下がる恐れも
高配当銘柄は業績不振や将来の見通しが悪い時でも、株価を維持するために配当金を高水準に据え置いている場合があります。そのため、一時的に配当利回りがよかったとしても、あるタイミングで配当金の水準を維持できなくなってしまう可能性もあるでしょう。
配当利回りの高さがその銘柄の人気要因になっていた場合は、配当金の引き下げと同時に株価が下がるリスクが高まります。高配当で人気の銘柄ほど、価格下落リスクが高いという傾向を知っておくべきです。
高配当株投資で注意したい「タコ足配当」とは?
高配当銘柄のなかには、見た目の配当利回りは良くても、業績はすぐれない企業もあります。なかでも、利益以上の金額の配当金を出すことを「タコ足配当」といいます。
タコ足配当の原資になっているのは、利益剰余金や資本剰余金といった、これまで会社が積み上げてきた資産です。自分の足を食いつぶしながら配当を出す様子をタコに重ねて、タコ足配当と呼ばれています。
一見すると、配当金が定期的に出ているため魅力的に感じてしまうタコ足配当ですが、いつまでも続けることはできません。配当金が減ったり無配当になったりした時に、株価が暴落する可能性は高いでしょう。長期的な価格下落リスクをはらんだ危険な銘柄であり、保有する場合は十分な注意が必要です。
高配当銘柄選びでチェックしたい4つのポイント
こうした株価下落リスクをはらんだ高配当銘柄を避けるためには、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、高配当銘柄選びでチェックしたい4つのポイントを紹介します。
過去の配当実績
直近の配当はたまたま業績がよかったという可能性や、記念配当といって、会社の周年やイベントなどで一時的に配当金を増やす場合もあります。そのため、必ず直近だけでなく過去の配当実績を確認し、安定して高い配当を維持しているかを見て判断しましょう。
売上高・利益
高配当銘柄の中でも、売上や利益が増加傾向にある、成長性の高い銘柄を選びましょう。好業績で成長している銘柄であれば、将来的に配当金が減ってしまう可能性が低いだけでなく、将来の株価上昇、ひいては売却益も期待できます。
1株配当額
1株あたりの配当額が1株あたりの利益を上回った状態が続いている場合、その銘柄は「タコ足配当」をしている可能性があります。
タコ足配当銘柄は長期的にみると価格下落リスクが非常に高いので、その銘柄に特別なこだわりがない限りは基本的に避けるべきです。気付かぬうちに「タコ足配当銘柄を持っていた!」といったことにならないように、購入前に1株あたりの配当額と利益を比べてみる習慣をつけましょう。
配当性向
配当性向とは、会社が得た利益をどのくらい株主に配当金として還元しているかを数値にしたものです。数値が高いほど、利益の多くを配当金に充てていることになりますが、配当性向は高ければよいというものでもありません。
業績がよい会社は、さらに成長するために配当金を人材や設備などへの投資に回すこともあります。よって、配当性向を抑えて将来のために投資している会社のほうが、これからの成長に意欲的であり、売却した際にトータルでの利益が得やすいという考え方もできます。