資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

  • 世界的な脱炭素の流れが加速する中、ガソリン車から電気自動車へのシフトが進む
  • ガソリン車より部品の点数が少なく、組み立てが容易。他業種からの参入が相次ぐ
  • パワー半導体の富士電機、駆動用モーターの日本電産、全固体電池の日立造船に注目

脱炭素の流れが加速する中、電気自動車に注目集まる

今回は、電気自動車(EV)をテーマにした銘柄選びのお話をしたいと思います。

世界的な脱炭素の流れが加速する中で、ガソリン車から電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車へのシフトが進んでいます。

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日本においても2020年12月、東京都の小池百合子知事が2030年までに新車として販売される乗用車からガソリン車をすべてなくし、電気自動車やハイブリッド車の「電動車」にする目標を打ち出し、話題となりました。

電気自動車は、これまでのガソリン車に比べて部品の点数が3分の1程度と組み立てが容易となることから、自動車メーカー以外のIT企業や家電メーカーなど他業種からの参入が相次いでいます。2021年に入り、米国のアップルと一部の自動車メーカーが「アップルカー」の生産交渉を行っていると報じられたことも話題になりました。

電気自動車の主なパーツはバッテリー、駆動用モーター、全体を制御するコントローラーの3つです。特にバッテリーは電気自動車の本体価格の3〜4割を占めるため、バッテリーの価格や性能が自動車の性能を大きく左右します。ガソリン車に比べて排気ガスを出さず、加減速もスムーズな電気自動車ですが、課題は少なくありません。現状では充電に時間がかかること、バッテリーの充電に時間がかかること、バッテリーの価格の高止まりなどが解決すべき課題となっています。

しかし電気自動車の普及が進む中、各国のメーカーが投資を進めていることもあり、少しずつこれらの課題は解決に向かっており、今後もさらに普及のペースは拡大すると見られます。

そこで電気自動車に関連したおすすめの銘柄を紹介していきます。

おすすめ① 富士電機(6504)

まずは富士電機をご紹介します。富士電機は送電システムや自動販売機、発電設備など産業用の電機システムを手掛けています。電流の流れなどを制御し、省エネにも使われるパワー半導体に強みを持っています。

電気自動車では性能向上や小型化のためにパワー半導体が使われており、自動車向けのパワー半導体の需要が伸びています。量産のための投資も進めており、電気自動車の普及で恩恵を受ける銘柄の一つと見られています。

3月19日の終値は4815円で最低投資単位は100株なので、およそ49万円から投資できます。

おすすめ② 日本電産(6594)

次に日本電産をご紹介します。日本電産は、軽くて省電力性に優れ、小型で低コストの精密モーターを作る技術を武器としており、小型モーターでは世界シェアナンバーワンです。

欧米や中国の電気自動車メーカーは同社の駆動用モーターの性能や価格に魅力を感じており、すでに多くの電気自動車メーカーから駆動用モーターの注文が殺到しています。これを受けて日本電産はベトナムや中国などの工場の設備の増強をいち早く進めており、さらにシェアは拡大すると見られています。

3月19日の終値は13565円で最低投資単位は100株のため、およそ137万円程度から投資できます。

おすすめ③ 日立造船(7004)

最後に日立造船をご紹介します。日立造船という社名ですが、造船は手掛けていません。また、日立グループにも属していません。船舶用の機械やゴミの焼却システムなどを幅広く手掛けています。

2021年3月、同社は世界最大級の容量の全固体電池を開発したと発表し話題となりました。全固体電池とはその名の通り、電子の通り道となる内部の電解質が固体の電池のことです。現在主流のリチウムイオン電池は電解質が液体のため、液漏れや発火の可能性が常について回ります。しかし全固体電池ではそのような危険性がない上に充電速度も早いことから電気自動車の本格的な性能向上には全固体電池が不可欠とも言われています。全固体電池はまだまだ開発段階ではありますが、トヨタや欧米のメーカーなども投資を進めており、期待が続くと見られます。

3月19日の終値は936円で最低投資単位は100株なので、およそ10万円程度から投資できます。

電気自動車の充電安全性と充電速度の向上が求められる電気自動車。日立造船が開発した全個体電池が注目されている。※画像はイメージです

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