「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマも、前回に引き続き「日本株式」。銘柄を選ぶ基準として、「株主優待」について考えます。

  • 株式投資といえば株主優待をイメージする人が多い。優待で投資先を選ぶのもあり
  • 株主優待を得るのは権利確定日に株主であることが前提。4月の権利確定日は27日
  • 株主優待がもらえる条件として、株数(単元)にも注意する

新年度に入り、日経平均株価は3万円を挟んで、狭い幅で上下していますね。ヤキモキしておられる方も、いらっしゃるのでは?

この後、株価がどんな展開になるのかは、神のみぞ知る? いいえ、きっと神様もご存知ないかもしれません。何せ、投資は「未知の未来への投資」ですから。とはいえ、最近、「未知」の度合いが濃くなってきたようにも感じます。

ワクチン接種が始まったのに、新型コロナウイルス感染症の猛威はとどまるところを知らず、東京などではとうとう「まん延防止措置」が適用に。でも、日経平均は、3万円前後で踏みとどまっている。

オリンピックが始まるまで、残り3か月強。大阪万博までは4年ほどです。しかし、そういう雰囲気もなさそうですね。

日本株の投資先の選び方……株主優待

さて前回からの続きで、日本株の投資先をどのような基準で選ぶのか、というお話ですが。

そこに未来はあるのか? 日本株への投資を考える

投資といえば、筆者の周囲では意外なことに、投資信託(=ファンド)と株式は別物だと理解されている方が多いような気がします。まあ、厳密にはファンドと株式投資は確かに違いますが……。

そして、株式投資というと、真っ先に「株主優待」をイメージされる方が多いようです。株式投資は、株主優待を得るのが目的で、肝心の株価については「上がればラッキー」くらいな感じなのです。

株式投資をキチンとご理解いただいている読者にとっては、違和感を覚えるかもしれません。しかし、「(株価は)上がればラッキー」くらいの感覚ということは、ある意味、株価が変動するリスクを覚悟しているとも言えそうです。

ということで、株主優待から投資先を選ぶのも、筆者はありかと思っています。
「それって邪道では?」というお声もいただきそうですが。

株主優待の中には、「長期の継続保有」を前提としているものもあります。そもそも企業も株主の「長期の継続保有」を期待して、株主優待を行っていると思われますので、長期投資という視点でも、株主優待を目的として、投資先を選ぶのも良いと思います。

株主優待
株式を持っていれば商品や金券などがもらえるのが「株主優待」の仕組み

株主優待は株主総会のメインテーマ?

ところで、話は変わりますが。
いつだったか、筆者は株主総会に出席したことがあります。筆者以外の株主は、時間にもお金にもゆとりがありそうな年配の男性ばかりでしたので、筆者は気後れしたものでしたが。いざ、株主からの質疑の時間になると、およそ7割弱が「株主優待」に関することでした。

経営方針とか、決算内容とか、もう少し高尚(?)な質疑を期待していたものですが、ホッとしたらやら、可笑しいやら。
ちなみに、経営方針に関する質問も2つくらいは出ていました。

いかにゆとりがありそうな方々(=筆者の憶測ですが)とはいえ、わざわざ時間と交通費を掛けて、株主総会に出席するくらいの方々ですので、その企業に対する思い入れもあるのでしょう。昔とは異なり、株主総会の出席者に対するお土産もありません。そうした方々からの質疑の大半が株主優待ですから。

株主優待を得るための株式投資、留意しておきたいこと

株主優待を得るのは、権利確定日に株主であることが前提です。権利確定日に株主であるためには、権利付き最終日に、株主優待を得ることができる単元の株式を購入している必要があります。

【図表】2021年3~6月の権利確定日と企業数
権利確定月 企業数 権利付き最終日
(権利確定日)
3月 813社 3月29日
4月 31社 4月27日
5月 35社 5月27日
6月 118社 6月28日

※上場企業の数は4月8日、他は4月12日現在。
松井証券ホームページの「株主優待検索」の検索結果に基づく

我が国を代表する株式市場である東京証券取引所には、(プロマーケットを除き)3722社の上場企業があります。
権利確定日は決算日であることが多いようです。そして、ご存知の通り、多くの企業の決算日は3月に集中しています。3月末に決算を迎え、株主優待を実施している企業は813社あります。やはり、多いですね。

とはいえ、3月はとっくに過ぎています。ですので、本稿の掲載日時点で、最も直近の決算は今月末です。4月末が決算で、株主優待を実施している企業は31社あります。3月の権利確定日に比べると、確かに少ないですが、ゼロではありませんね。

4月末の権利確定日に株主であるためには、4月の権利付き最終日、すなわち4月27日に株式を買っておく必要があります。

なお3月決算の企業の多くは、9月に中間決算を行います。9月の権利確定日に株主になっていれば、3月決算の企業の株主優待を秋に得ることができるかもしれません。ただし、9月が株主優待の権利確定日ではない3月決算の企業もあるようです。

ところで、本稿をご覧になられた読者の中には、さっそく、株主優待を行っている企業の検索を行う方もいらっしゃるかもしれません。検索すればきっと、「10万円以下で買える優待実施企業」といったような情報も出てくるでしょう。そのようなサイトの情報を見て株式を買う場合に、留意すべきことがあります。
どういうことでしょうか?

インターネットで調べる
その銘柄、本当に10万円以下で株主優待がもらえる?

たとえば、A社という企業があったとしましょう。
A社の株価が10万円以下であれば、10万円あれば1単元、すなわち100株を買うことができます。しかし、A社の株式を買って株主優待を得るためには、10単元、つまり1,000株を買う必要がある場合もあります。
A社の株式を買うには、確かに投資金額10万円以下で良いので、「10万円以下で買える優待実施企業」というのは嘘ではないのですが、A社の株主優待を得る目的ですと、10万円ではとても足りません。

まとめに代えて

先述の通り、株式投資というと株主優待をイメージされる方も多く、株主優待をきっかけに株式投資を始める方も多いようです。株主優待を特集した書籍やサイトもありますし、中には「株主優待で暮らしている」という方もいらっしゃるそうで。

ということは、株主優待は情報を集めやすい、投資初心者にとっては情報を集めるためのハードルが低いともいえるのではないでしょうか?

次回は、筆者の株主優待の活用法をご紹介します。ちなみに、筆者は株主優待で生活がまかなえているわけではありませんが……。

(次回は5月3日を予定しています)

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