東日本大震災から11年の月日が流れました。この間に日本のエネルギー政策はどこまで進歩したのでしょうか。それとも手つかずのまま、ただ時が過ぎるのを待っていたのでしょうか――。今回はエネルギー政策の現状と注目を浴びる「水素」について、関連銘柄の動向も含めて株式アナリストの鈴木一之さんに詳しく解説していただきます。

  • 2022年2月、ロシアの軍事侵攻で世界的にエネルギー価格が高騰
  • 資源に乏しい日本は震災後、エネルギー基本計画の長期展望が見えず
  • 枯渇しない理想的なエネルギー変換システムに資する「水素」に脚光

資源に乏しい日本、高騰するエネルギー価格

3月11日は特別な日です。東日本大震災から11年が過ぎました。あの日の衝撃を昨日のことのように思い出します。お亡くなりになられた方、被害に遭われた皆さまに心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

ヨーロッパではロシアがウクライナに対して武力による軍事侵攻を進めています。人類全体に対する許しがたい暴挙です。この紛争は日本人にとって決して他人事ではありません。原油や天然ガスなどエネルギー価格は一夜にして高騰し、日本に対しても新たな問題を突きつけています。

日本は資源をほとんど持っていないことがあらためて痛感されます。自然界に存在する加工前のエネルギーを「1次エネルギー」と呼びますが、日本で使用される1次エネルギーの9割以上が天然ガス、石油、石炭で占められています。そのほとんどが海外から輸入されます。

日本は1次エネルギーの4割を電気として使い、残りの6割を燃料や工業用の原料としています。その大半が化石燃料です。東日本大震災の前年、2010年度の電源構成は火力発電が60%、原子力が28%、水力が8%、再生可能エネルギーは1%という構成でした。

2010年に策定されたエネルギー基本計画では、2030年に原発比率を50%に高め、少しでもエネルギー自給率を高めようという計画でした。それが大震災によって長期的な展望が根底から揺さぶられ、現在にそのまま至っています。

火力発電所
日本の電力供給は現在も火力発電が大半を占める

気候変動問題の切り札、再生可能エネルギーが抱える課題

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは気候変動問題の切り札です。しかしそれらですら現実と理想との差は大きく、社会の要請に対して技術の進歩が追いつきません。太陽光や風力発電はエネルギー密度が低い(単位体積当たりのエネルギーが小さい)という大きな欠点を抱えています。

日照時間や風力の強さにも大きく左右され、地域上で設置するのに望ましい場所が限定され、日本のどこにいても潤沢に手に入るわけではありません。時間的、季節的な出力の変動も大きく、原発に取って代わるほどの大電力の導入が思うようになりません。それが現状です。2020年に策定された最新のエネルギー基本計画でも、2030年の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は22~24%にとどまっており、実用段階でのむずかしさがうかがえます。

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