5月は企業の決算発表時期にあたります。企業の業績に基づいたファンダメンタルズ分析を行うにはいいタイミングになります。今回はファンダメンタルズ分析に利用される企業決算の3つの利益とそれに関連した投資指標と経営指標について見ていきます。

  • 損益計算書に載る「営業利益」「経常利益」「当期純利益」に注目
  • 「当期純利益」はPERなどの投資指標、ROEなどの経営指標に利用される
  • 今後の業績相場への移行に備え、ファンダメンタルズ分析の知識を身につけよう

「営業利益」「経常利益」「当期純利益」の違いは?

損益計算書の中には3つの利益に関する項目があります。

損益計算書の例

営業利益

1つ目が「営業利益」です。これは表にあるように売上高から材料費などの売上原価や従業員の給与やオフィスの賃料、広告宣伝費などの販売費および一般管理費を差し引いて求める利益になります。

営業利益=売上高-(売上原価+販売費及び一般管理費)

営業利益は本業の利益とも言われています。

経常利益

2つ目の利益項目が「経常利益」です。この利益は、営業利益に営業外収益を足し営業外費用を差し引いて求めます。

経常利益=営業利益+(営業外収益-営業外費用)

受取利息などが営業外収益に当たります。逆に支払利息などが営業外費用になります。財務など営業活動以外から上がる収益と費用になります。

当期純利益

3つ目の利益項目が「当期純利益」です。この利益が投資指標の計算などでよく利用される利益になります。当期純利益の計算の仕方は、経常利益に特別利益を足し特別損失を差し引いて求めた利益から法人税を支払った時点の利益になります。

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当期純利益=経常利益+(特別利益-特別損失)-法人税

「特別」とありますようにこの利益と損失は毎期経常的に発生するものではありません。本社ビルや工場の売却により利益などが特別利益になります。逆に工場の火災等により損失などが特別損失になります。

以上が損益計算書に載る3つの利益です。投資指標でよく用いられるのは当期純利益になります。ただし、本業の利益を表す営業利益が赤字の場合でも、本社ビルの売却等により特別利益を増やすことにより当期純利益を黒字にすることが可能です。

投資指標により投資先を選択する場合は、営業利益の状況について損益計算書で必ず確認しておきましょう。

当期純利益をベースにした投資指標「PER」

当期純利益をベースにした代表的な投資指標はPER(株価収益率)です。PERは1株当たりの当期純利益の何倍の株価がついているかを計算して求める指標です。株価が割安か割高かを判断する指数になります。

PERは以下の計算式で求めます。

PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)

例えば、株価5,000円、1株当たり当期純利益250円の時のPERは、

 5,000円÷250円=20(倍) です。

割安や割高は、その企業の過去のPER、同じ業種の企業のPER、業種平均のPERとの比較により相対的に判断します。また、現在のような金融相場(金融緩和や財政政策により世の中に潤沢にお金がある状態)では、PERは比較的高くなる傾向があります。

当期純利益をベースにした経営指標「ROE」「ROA」

当期純利益をベースにした代表的な経営指標として、ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)があります。

ROEは自己資本をどれだけ有効に活用して利益を得ているかを見る指標です。一般的にROEが高い企業が自己資本を有効に活用している企業と考えられます。しかし借入を増やすことでROEを高めることができます。その点は注意が必要です。
ROEは以下の計算式で求めることができます。

ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100(%)

ROEを見る時に併せて確認しておきたい指標がROA(総資本利益率)になります。ROAは会社の総資産(自己資本+負債)に対してどれだけの利益率を上げているか見る指標です。

計算式は、

ROA(総資産利益率)=当期純利益÷総資産×100(%)

ROEとROAの開き大きい場合は借金の多い会社、開きが小さい会社は借金の少ない会社と判断できますに。あまりROEとROAの開きがある場合は、貸借対照表(バランスシート)で会社の健全性も確認したほうがいいでしょう。

ファンダメンタルズ分析の知識を身につけよう

ワクチン接種率が上がることで経済活動が促進されます。その後、経済の過熱を抑えるために利上げやテーパリング(金融緩和の縮小)が行われると、株式市場は金融相場から業績相場に移行していきます。

決算発表が多いこの時期に合わせて、ファンダメンタルズ分析の知識を身につけて業績相場に備えられてはいかがでしょうか。