iDeCoとつみたてNISAは似通った部分がある制度ですが、併用することでより効果的な節税が可能です。それぞれのメリット・デメリットを理解すれば、振り分ける金額のバランスも自然と見えてくるでしょう。始める時期が早いほど恩恵も大きくなる積立投資。制度をうまく活用して、効率的に資産を育てていきましょう。

  • どちらかを選ぶ際、ポイントになるのは投資期間と引き出し制限
  • 老後資金ならiDeCo、10~20年以内に必要なお金ならつみたてNISA
  • まずは節税効果の高いiDeCoを検討、資金に余裕があればつみたてNISAも

iDeCoとつみたてNISAってどんな制度?

iDeCoもつみたてNISAも、どちらも長期間の資産形成を支援する目的でつくられた税制上優遇のある制度です。つみたてNISAの投資対象商品は金融庁が厳しい基準で選んだ商品のみになっており、投資初心者でもチャレンジしやすい制度です。iDeCoは、老後資金の準備を目的とした制度であるため、資金を引き出しできる時期などに特徴があります。

次項から、iDeCoとつみたてNISAの違いをくわしく解説していきます。

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iDeCoとつみたてNISAの違いを整理しよう

まずはiDeCoとつみたてNISAの違いを確認しましょう。以下の表にまとめました。

  つみたてNISA iDeCo
非課税
期間
20年間 60歳まで
税優遇 運用益非課税 運用益非課税
拠出額の所得控除
退職所得控除や公的年金等控除
資産の
引き出し
いつでもできる 60歳まで原則不可
積立
上限額
一律40万円 14万4,000円から81万6,000円の間(勤務先などで変動)
投資対象
商品
金融庁が定めた条件をクリアした投資信託(ETFを含む) 投資信託・定期預金・保険など

つみたてNISAは最長20年間運用益が非課税になるのに対し、iDeCoは60歳まで運用益が非課税となっています。iDeCoは年齢で制限されている点に特徴があり、若い世代なら長期にわたって非課税の恩恵を受けられますが、40歳以上になるとつみたてNISAのほうが非課税期間が長いことになります。

次に、税制上の優遇について見ていきます。

つみたてNISAもiDeCoも一定期間運用益が非課税になるのは一緒です。しかし、iDeCoは運用益だけでなく掛金拠出時には拠出額が全額所得控除になるだけでなく、受け取り時にも退職所得控除や公的年金等控除を受けられます。そのため、iDeCoのほうが税制上すぐれた制度なのは間違いないでしょう。

トラリピインタビュー

税制上は優秀なiDeCoですが、デメリットもあります。それは60歳になるまで原則的に掛金の引き出しができないことです。ライフプランの変更があっても柔軟に対応できないことは、将来のお金の使いみちが不確定な若い世代にとってマイナスになります。iDeCoで積み立てるお金は、60歳を迎えるまで使えなくてもかまわない本当の余剰資金にしておく必要があるでしょう。

年間の積立上限額もそれぞれ異なります。つみたてNISAは一律40万円ですが、iDeCoは勤務先や会社員、個人事業主の別によって上限が変わり、14万4,000円から81万6,000円の間で変動します。

投資対象商品は口座を開設する金融機関によって異なります。つみたてNISAのほうが商品ラインアップが限定されていることが多い分、初心者が選びやすいのはメリットといってもよいでしょう。
iDeCoでは定期預金などの元本保証型商品が選べることがポイントです。

老後資金ならiDeCo、10~20年以内に必要なお金ならつみたてNISA

つみたてNISAとiDeCoのどちらを選んだらいいかわからない人に、選び方のコツをお伝えします。ポイントになるのが、投資期間と引き出し制限です。

iDeCoは節税効果は抜群なものの、60歳まで引き出しができないのが最大のネックです。したがって、老後資金を目的とした資金ならiDeCo、10~20年以内に引き出す可能性がある教育資金などはつみたてNISAを使って積み立てましょう。iDeCoとNISAは併用できるので、資産形成の目的によって使い分けるのが賢いやり方です。

もし10~20年以内にお金が必要になる見込みがないなら、基本は節税効果の大きいiDeCoを選び、拠出額の上限を超える部分についてはつみたてNISAにすると効果的に節税できます。それでもつみたてNISAを優先したいなら、つみたてNISAでつくる資産の目標金額に応じて、双方の割合を考えてみてはいかがでしょうか。

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