「日本がインフレの時、外貨はどんな動きをするの?」「インフレ対策として外貨ってあり?」──。こんな疑問はありませんか? 本記事ではインフレと為替の関係から、インフレ時の実践的な投資法や注意点を紹介していきます。

  • インフレから資産を守るには、外貨の比率を高めるのがポイント
  • 外貨を持つ手段は、外貨預金以外にも実は豊富にある
  • 為替差損には注意! 対処法は、円安になるまで待つか、外貨で使うか

インフレと為替の関係について

インフレとは、物価やサービスなどの価格が継続して上昇していくことです。インフレが進むと為替は円安になるという傾向があります。なぜインフレが起こると円安になるのでしょうか。それはインフレになって物価が上がるということは、お金の価値(=購買力)が下落していくことだからです。

例えば、今まで100円で買えた商品の価格が120円に値上がりしたとしましょう。商品自体は何も変わっていないのに、必要とするお金は20円増えたことになります。これは「円の価値が下がった」と言い換えることもできます。円の価値が下がると、円と外貨を交換するときの比率である為替レートにおいても、円の価値が下がることになります。それで円安になるということです。

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一般に、インフレは好景気のときに起きやすいといわれています。しかし、ご存知のとおり最近の日本経済はインフレではなく、好景気でもありません。だったらインフレの心配などしなくてもいいのではと思いたいところですが、インフレを引き起こす要因は好景気だけではありません。今の日本でも、インフレが進む可能性は決してゼロではないのです。

インフレの要因として、輸入品の価格上昇が挙げられます。例えば海外から輸入している農作物や資源(原油など)の価格が上昇すれば、国内の物価上昇につながります。他には、赤字国債もインフレを引き起こす要因になります。国債は国の借金ですから、借金が増えれば国の財政不安が高まり、外国為替市場で日本円が売られて円安になり、結果的にインフレの状態になるという仕組みです。今のコロナ禍が長引けば、休業補償などの経済政策のために国債の発行が増えることもありえます。

とはいえ、実際にはひとつの原因でインフレになるというよりは、複数の要因が影響しあってインフレや円安が起きると考えたほうがいいでしょう。

インフレから資産を守るには、外貨の比率を高める

インフレになると、物価が上がって円の価値が下がります。円の価値が下がるということは、相対的に米ドルなどの外貨の価値が上がることに他なりません。つまり、インフレ時に自分の資産を守るためには、外貨建ての資産を持つことが有効な手段になるといえるでしょう。

外貨建て資産といえば、真っ先に思い浮かぶのは外貨預金でしょう。でも実は、外貨建て資産を持つ手段はほかにもいろいろあるのです。以下が代表的な外貨建て資産です。

  • FX(外国為替証拠金取引)
  • 外国株式
  • 外貨建ての投資信託
  • 外貨建ての保険
  • 外貨預金
外貨投資の選択肢のイメージ
外貨預金、FX、外国株式など、外貨建て資産を保有する手段は豊富にある

外貨を持つ手段として、どれがいいかについては、どのようなリスク・リターンを求めているかによって変わってきます。上記の一覧は、上に行くほど短期的な値動きが大きい傾向があります。失敗した場合には大幅に下落する可能性を覚悟しても、短期的に大きな利益を求めたいならFXや外国株式が有力な選択肢になる一方、リスクをあまり取らずにコツコツ増やしていきたい場合は、外貨預金や投資信託、保険を検討するのがいいでしょう。

いずれにせよ、自分の資産のうち、外貨の比率を高めることは、インフレから資産の目減りを守ることにつながるのです。

外貨建て資産を持つときの注意点

外貨建て資産を持つ際に注意すべきなのは、円高になってしまった場合に為替差損を被ってしまう点です。このような状況に陥った場合には、以下のような選択肢が考えられます。

  • 円安になるまで待つ
  • そのまま外貨で使う(外貨預金の場合)
そのまま外貨で使う
為替差損が生じた場合の対処法として、海外旅行で外貨のまま使う、という選択肢もある

資金に余裕があるのなら円安になるまで待つことをおすすめします。海外旅行などで外貨を使う方は、外貨預金を円に換金せず、そのまま使うのもいいでしょう。具体的な外貨としては、まずは米ドル、次いでユーロや豪ドルなどから検討するのが無難です。というのも、これら先進国の通貨は、流通量も多く国の情勢も新興国に比べ安定しているケースが多いからです。

インフレ対策として外貨建て資産を持ちたいのであれば、インフレになる前に投資しないと意味がありません。その意味では、いまははじめ時と言えるかもしれません。

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