長期投資に向いているといわれる投資信託ですが、時には損切りが必要になる場面もあります。ただし、投資信託の場合、株式の個別銘柄のように価格変動をタイムリーに見て売却することを想定しておらず、その頃合いに悩む人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では投資信託の売却を判断するポイントをまとめて紹介します。
- 投資信託でも、価格が戻ることを期待できないときは損切りを検討する
- まとまった資金が必要なときは、インデックス型でも損切りした方が有利な場合も
- 10年単位の長期で投資する場合は、値上がりを期待して買い増す選択肢もある
投資信託が大きく値下がりしたら……
投資信託は株式やREIT(リート)に投資しているものが多く、市場の状況などによっては大きく値下がりする場合があります。最近のコロナショックなどはまさにその代表的なもので、こうした状況においては、投資信託を持ち続けるのか売却するのかについては判断が分かれるところでしょう。
投資信託を長年にわたって積立投資している人も多いでしょう。積立投資のセオリーは「価格下落は安くたくさん買えるチャンスなので、価格変動にいちいち動じず積み立てを続けるのが正解」といったものです。これは確かにひとつの真理ではありますが、価格下落局面でも積み立てを続けるためには、ひとつの大前提があります。それは「価格の戻りが期待できる」ということです。
もし価格下落が続いて、もう今の水準まで戻ってくることが期待できないとしたら、それは損切りを検討すべきタイミングかもしれません。
状況によっては「損切り」が必要
株価などの市場平均に連動するインデックス型の投資信託であれば、市場全体が長期的にマイナス成長を続けることは考えづらいため、価格が戻るまでキープという判断でも問題ないでしょう。
ただし、投資先を特定の業種などに絞ったテーマ型の投資信託の場合は注意が必要です。特定の業界が長期的に逆境にさらされ、極端な例では業界ごと消滅してしまうようなケースが過去にもありました。
今後そのテーマが再浮上してくるか判断がつかない場合や、今後も値下がりを続けそうな場合は、これ以上損失が大きくならないように損切りし、他のテーマ型投資信託やインデックス型の投資信託に乗り換える判断が賢明かもしれません。
成長を信じて購入した投資信託を損切りするのは、心理的な辛さがあります。しかし、大切な資産を減らさないためには、投資信託であっても、投資対象によってはこうした判断を迫られる場合があると肝に銘じておきましょう。
近くまとまったお金が必要なら損切りする
住宅の頭金や教育資金など、近々まとまったお金が必要になるというタイミングに投資信託が値下がりしたらどうでしょうか。
このように投資信託を売却するタイムリミットが決まっている場合は、たとえインデックス型であっても、ギリギリまで待ってさらに値下がりして損をする可能性があります。底値での売却を避けるためにも、なるべく価格の高いところで売却できるように見極めましょう。
もし当面値下がりが続きそうな場合は、損失が大きくなる前に早めに売却したほうが得策な場合もあります。
長期運用なら上がるまで待つのもあり
つみたてNISAなど、10年以上の長いスパンで運用する投資の場合、低迷を続けるテーマ型の投資信託でも、長く待てば値上がりが期待できるかもしれません。今は価格が下落傾向でも、将来的な値上がりが期待できるのであれば、価格下落局面であえて買い増しをすることもひとつの戦略です。つみたてNISAを利用している場合でも、つみたて投資のセオリー通り、積み立てを続けることが有効だと考えられます。
今後価格が戻ってくるか何ともいえない場合は、とりあえず積み立てを中止して様子を見るのも選択肢のひとつでしょう。ただし、様子見がただの判断の先送りになってしまわないように意識する必要はあります。比較的リスクが低いといわれる投資信託でも、ほったらかしにしていれば損失がどんどん大きくなってしまう可能性があるからです。