原油価格が7年ぶりの高値となり、足元ではやや一服した感もありますが、依然高値圏にあります。先行きの不透明感は依然としてあり、原油価格に連動する金融商品がにわかに注目を集めているようです。分散投資の選択肢の一つとして、ポートフォリオに多様性を持たせられる点が、原油関連銘柄に投資するメリットといえるでしょう。本記事では、原油価格に連動する投資信託やETFを紹介します。

  • 一服感が出たとはいえ、原油高は今後も続くことを前提にすべき
  • 原油高がプラスに働く投資信託やETFは有力な選択肢になる
  • 値動きが大きのでポートフォリオの攻めの資産と位置付ける

7年ぶりの原油高、この先の値動きは?

産油国の原油生産量が抑制されていることや、コロナショックが明けて原油需要が高まっていることを受け、今秋は世界中で7年ぶりの原油高となりました。ガソリンや生活必需品の値上げによって、原油価格の高騰を実感した人も多いのではないでしょうか。

7年ぶりの原油価格高騰、株式市場に与える影響は?

原油価格が高騰すると、企業業績や株価にもマイナスの影響を及ぼします。例えば、製造業であれば生産コストが増大し、運送業は燃料価格の上昇が利益を圧迫するでしょう。一部の業種を除いて、原油高は業績悪化に直接的ないしは間接的に影響します。

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米国での増産が始まったことで、11月半ばには高騰にも一服感が出てきましたが、新型コロナの感染拡大同様、まだまだ先行きの不透明感はぬぐい切れません。そのため、投資を考えるのであれば、原油高が続くことを前提に、金融商品を検討してもいいかもしれません。原油価格高騰時に利益を出しやすい投資信託やETFは有力な選択肢になります。

原油価格高騰がプラスになる投資信託

個人投資家の皆さんは、普段から投資信託で資産形成に取り組んでいる人が多いと思います。「原油価格高騰がプラスに働く銘柄」と聞くと、少しマニアックな印象を受けるかもしれません。しかし、投資信託であれば、誰でも少額から気軽に投資することができます。代表的なファンドとしては、UBSアセット・マネジメントが運用する『UBS原油先物ファンド』があります。

UBS原油先物ファンド

UBSブルームバーグCMCI指数のWTI原油指数(円換算ベース)に連動するように組まれた投資信託です。原油先物価格に連動するため、値動きは比較的大きめのファンドだといえます。

  • 資産運用会社:UBSアセット・マネジメント
  • 純資産額:88.3億円
  • 設定日:2009年2月16日
  • 過去3カ月の騰落率(分配金再投資):15.75%
  • 過去1年の騰落率(分配金再投資):123.51%
  • 信託報酬(実質的な負担、税込):年率1.074%程度
  • 販売会社:野村証券、松井証券、ネット証券各社など(詳しくはこちら

(データは2021年10月29日時点)

原油価格高騰がプラスになるETF

投資信託に似ている商品として、ETFを活用する手もあります。ETFは日本語で「上場投資信託」と訳され、投資信託の一種です。ETFは投資信託と違って株式市場に上場しており、基準価格はリアルタイムで動きます。比較的少額から始められ、投資初心者でも始めやすい点が魅力です。株式と同じ感覚でリアルタイム売買ができるので、価格やタイミングを見て売買したい人にもおすすめです。

原油価格に連動するETF
ETFは、初心者はもちろん、価格やタイミングを見て売買したい人にも適している

原油関連銘柄のETFで代表的なものには、以下の2つがあります。どちらの銘柄も原油先物価格にほぼ連動して基準価額が変動するので、タイミングをうまく見て購入すれば原油価格の乱高下も利用できます。

WTI原油価格連動型上場投信(1671)

米国原油先物価格に連動するETFです。

  • 資産運用会社:シンプレクス・アセット・マネジメント
  • 純資産額:402.9億円
  • 上場日:2009年8月3日
  • 過去3カ月の騰落率:+7.18%
  • 過去1年の騰落率:+74.64%
  • 信託報酬(税込):年率0.935%

(データは2021年11月30日時点)

NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(1699)

世界の原油先物取引から流通量が多いものを連動対象にしたETFです。

  • 資産運用会社:野村アセットマネジメント
  • 純資産額:381.2億円
  • 上場日:2010年5月17日
  • 過去3カ月の騰落率:+7.7%
  • 過去1年の騰落率:+78.9%
  • 信託報酬(税込):年率0.550%

(データは2021年11月30日時点)

原油価格に連動する資産はリスクも大きい

原油価格高騰時に値上がりする銘柄をいくつか紹介してきました。これらの銘柄はいずれも原油価格に連動するという特性上、値動きがかなり大きめな点が特徴です。

原油価格に連動する商品は値動きが大きい
原油価格に連想する金融商品は値動きが大きい傾向にある

そもそも原油をはじめとする天然資源には、独自の値動きロジックがあり、必ずしも市場の予想通りに動きません。政治リスクや気候リスクなど、制御不可能な要因に左右される可能性があることを認識しておく必要があります。

なお、原油だけでなく金、プラチナなどの天然資源に投資することを「コモディティ投資」と呼びますが、興味のある人は以下の記事を参考にしてください。

原油などの商品に投資するファンドは?

金、プラチナ、原油……資源に投資する意義と手段

コモディティ投資は、インデックスファンドなどに比べるとリスクの高い資産です。原油関連銘柄に投資するのであれば、資産全体の中で割合を増やしすぎず、あくまでポートフォリオの味付け程度に留めておくとよいでしょう。

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