在学中に子どもを授かり、起業するも失敗続き

関西学院の経済学部と言えば、看板学部、経済界に多くの人材を輩出した学校であり学部です。大学受験の成功体験、それが起業につながる一つの転機だったわけですね。ほかにもう一つの転機があった、そうお聞きしていますが。

菅原 関学について言うと、やはり内部進学の学生、また受験を突破してきた学生も進学校でずっと勉強してきた、という学生が多く、私とは少し肌合いが違う、そう感じました。ただ、イベント系のサークルに入ってそれなりに学生生活を謳歌してもいました。

起業に至る転機は、子どもを授かった、ということです。大学にまだ在学中で、できちゃった婚でした。大学には実家から通っていたのですが、それで家を出ました。責任というより私としては自然な感覚でしたね。それまで進学校ではない学校から関学に現役合格したというキャリアもあって、口コミのような形で何人かの生徒を持って家庭教師のアルバイトをしていたのですが、月10万円程度の稼ぎでは妻子を養えない。それで何か事業を興そうと考えたのです。

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最初に手掛けたのは飲食業というか、バーです。北新地に良い箱があり、ノウハウは提供するので、人とお金さえ用意すれば事業を始められる、と昔の仲間の縁で話を繋いでくれた人がいました。幸い、イベント系のサークルにいたので人は集められたので、400万円の借金をして改装を行い、バーを始めました。冬でしたね。

しかし、結局、売上を持ち逃げされたことなどもあって、2~3カ月でその店は廃業になりました。

次に手掛けたのは、やはり話をつないでくれる方がいて、フレッツ光などの営業の会社でした。通信系のサービスです。しかしこれも2カ月程度で廃業になりました。そこでも100万円から200万円くらいの借金を負ったわけです。人任せにしてはいけない、とか商売の厳しさを、身を持って知った経験でした。

伸びる業界で、目標が達成される喜びを分かちあう

なんと言うか……スケールが違いますね。ネット広告代理店大手のセプテーニに就職されるわけですが、それは時期的には起業されていた時期とどんな重なりになるのでしょうか。

菅原 並行して就職活動をしていた感じですね。関学の経済学部ですと金融や商社など目指す学生も多いですが、私は伸びている業界で働かなくてはだめだ、と考えていました。IT系の広告代理店は勢いもありましたし、Web業界こそ、これからの産業だと感じていました。セプテーニはとても親切な会社で、私が妻子持ちであることを知ると、内定からそのままアルバイトとして雇ってくれました。また、面接の際も、いずれ起業するつもりだ、と伝えていましたが、内定をいただきました。

就職されて2年目のクリスマスイブにはW-ENDLESSを起業される訳ですが、その経緯など教えてください。

菅原 セプテーニは良い会社で、様々なことを学びました。やはり思った通り、これからはWebだ、と確信も持てました。もちろん仕事は仕事で頑張っていましたが、妻子を抱えている、それだけではなく500万円近い借金も負っていたので、サラリーマンではなく、やはり事業を興していこう、起業しようと考えたのです。

ネット社会になって、問題化していたものの一つが風評被害です。私はエンジニアなどのネットワークを作り、まずは風評対策のシステムを売ることから事業を始めようと考えました。外部の営業会社を使ってシステムをOEMで提供するのです。想像通りニーズはあって、事業は立ち上がっていきました。

またその一方で、不動産会社やエステサロンなどを顧客に「Webを使って顧客の売上を伸ばす、顧客を潤すコンサル」という方向でさらに事業を進めていきました。

さて、起業の動機ですが、ただ、個人的な動機だけが起業の動機かと言われると、そうではありません。それ以上に強い動機は、大学受験の成功体験を起業家としても味わいたい、それが一番強い動機だと思います。仲間と切磋琢磨して、目標を決めて努力して、目標が達成される喜びを分かちあいたい、それが起業の一番の動機です。

W-ENDLESS社員総会
2019年12月26日、W-ENDLESSの社員総会。中央が菅原社長

「人を作ることが結局は事業そのもの」

ミッションには「歴史に残る企業へ」を掲げていらっしゃいます。

菅原 セプテーニの時代、その時の上司から「伸びている企業の一つの目安は、幹部が優秀かどうか、だ」と言われました。良い言葉だと思い、現在も胸に刻まれた言葉になっています。その言葉の通り、歴史に残る企業は、結局のところ、人材を輩出した企業ではないか、と考えています。人を作ることが結局は事業そのものなのではないでしょうか。

一人ひとりは最初、取るに足らない存在でも、互いに切磋琢磨し、成長していけば、その一人ひとりの成長が、そのままその企業の成長につながる、そう考えています。

ありがたいことに我々がいるWeb業界には無限の可能性があります。当社は、変化の早い業界の中で、紆余曲折はありますが、順調に成長を続け毎期売上高を伸ばしています。Webの無限の可能性、その可能性を仲間たちと試行錯誤はあったとしても追い続け、自分たちにしか拓けないフロンティアを開拓したい、そう考えています。

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