最近、脱炭素をテーマにした投資信託が続々と発表されていることをご存知でしょうか? 脱炭素は、新聞や経済ニュースなどで目にしない日はないというほど、注目のキーワードです。各国や各企業の具体的な取り組みが今後加速していくことで、ファンドとしての成長性も期待できるでしょう。ここでは、脱炭素をテーマにしたファンドの中から特に注目の3本をピックアップして紹介します。

  • 脱炭素は世界的なテーマ。日本も2050年までに脱炭素社会の実現を明言
  • 投資の世界でも脱炭素は重要なテーマで、個人向けの投資信託も増えている
  • 脱炭素をテーマとする投資信託の多くは運用実績が短く優劣をつけにくい

そもそも脱炭素って何?

平均気温の上昇や海面水位の上昇、気候変動による災害の増加など、二酸化炭素排出量増加が原因となり、環境に様々な悪影響を与えています。日本政府も2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという、「カーボンニュートラル(脱炭素社会)」の実現を打ち出したこともあり、「カーボンニュートラル」という言葉を耳にする機会が増えました。

「排出を全体としてゼロにする」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、森林などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。

諸外国においては、脱炭素社会の実現を目指して、二酸化炭素排出量の削減に全力をあげて取り組むグローバル企業が多数存在します。そして、投資も脱炭素を実現するための重要な役割を担っています。脱炭素社会の実現に積極的に取り組む企業へ投資することで、巡り巡って、脱炭素社会の実現を近づけることになるのです。ここでは、投資で脱炭素に貢献できるテーマ型投資信託を比較検討していきたいと思います。

脱炭素(カーボンニュートラル)をテーマにした投資信託

2021年は脱炭素をテーマにした投資信託の新規設定が相次ぎました。まだ新しいファンドばかりですが、一部を抜粋して解説していきます。

脱炭素社会のイメージ
脱炭素は世界的なテーマ。日本も2050年までに脱炭素社会の実現を目指

脱炭素関連 世界株式戦略ファンド

20201年5月に設定された新しいファンドです。日本を含む世界中の上場株式から、「脱炭素関連企業」に幅広く投資をしています。本ファンドが定義する脱炭素関連企業とは、温室効果ガスの排出量の削減、吸収及び除去等への貢献が期待される事業を営む企業とのこと。分配頻度が年2回と少ない「資産成長型」と毎月分配金を出す「予想分配金提示型」の2タイプがあります。
販売チャネルは地方銀行や中小証券会社中心ですが、本記事で紹介する3銘柄の中では現状、販売チャネルがもっとも多いファンドです。

脱炭素関連 世界株式戦略ファンド(資産成長型)

  • 資産運用会社:三井住友トラスト・アセットマネジメント
  • 純資産総額(2021年10月15日現在):782億円
  • 設定日:2021年5月21日
  • 騰落率(2021年10月15日現在):14.55%(設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):純資産総額に対して年率1.848%以内
『脱炭素関連 世界株式戦略ファンド』の組入上位10銘柄(2021年8月31日現在)
  銘柄名 概要
1 トレイン・テクノロジーズ アイルランドの空調設備メーカー。エネルギー効率の高い空調システムなどを提供している
2 ケリー・グループ アイルランドの食品メーカー。植物由来の代替肉に関連する製品を手掛ける
3 エアープロダクツ・
アンド・ケミカルズ
水素の生産や供給技術において豊富な実績を有する米国の工業ガスメーカー
4 シーカ スイスの化学品メーカー。セメント生成過程における二酸化炭素排出量を削減する混和材を手掛ける
5 エコラボ 水処理や衛生管理に関する祖ソリューションを手掛ける米国の素材メーカー
6 アルフェン・ビヘーア 電力供給ネットワークを効率化するスマートグリッドを手掛けるオランダの電力設備メーカー
7 L&F リチウムイオン電池部材の正極材を手掛ける韓国のメーカー。電池の高容量化を実現するハイニッケル系正極材に強みを持つ
8 コーニンクレッカDSM 栄養素材等を手掛けるオランダの素材メーカー。家畜の呼気に含まれるメタンガスを削減する飼料添加物を手掛ける
9 シーメンスガメサ・
リニューアブル・エナジー
スペインの洋上風力発電設備メーカー。洋上風力発電向けにブレードや発電機等の基幹部品を提供
10 ジェネラック・
ホールディングス
米国の家庭向け非常用発電機メーカー。再生可能エネルギー向け電力貯蔵システムを手掛ける

脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)

2021年7月に設定された新しいファンドです。日本を含む世界中の脱炭素社会の実現に向けたソリューションを提供する企業を厳選して投資します。設定から日が浅いこともあり、販売会社は大和証券とおかやま信用金庫のみです。とはいえ、大手証券会社なこともあり純資産総額がそれなりの規模となっています。今後のパフォーマンスに期待したいところです。

ラッセル・インベストメントright

脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)

  • 資産運用会社:大和アセットマネジメント
  • 純資産総額(2021年10月15日現在):577億円
  • 設定日:2021年7月12日
  • 騰落率(2021年10月15日現在):4.82%(設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):1.837%(税込)
『脱炭素テクノロジー株式ファンド』の組入上位10銘柄(2021年8月31日現在)
  銘柄名 概要
1 マイクロソフト 同社のクラウドサービスは、データセンターのエネルギー効率を高め、再生可能エネルギーを調達することで、高い炭素効率を実現する
2 サーモフィッシャー
サイエンティフィック
科学、医療、環境分析の機器などを製造する米国企業。資源の節約を意識した製品設計などにより、脱炭素に貢献するソリューションを提供
3 エアープロダクツ・
アンド・ケミカルズ
水素の生産や供給技術において豊富な実績を有する米国の工業ガスメーカー
4 トリンブル 建設、農業、輸送、エネルギー、資源などの分野で運用を簡素化するように設計されたソフトウェアとソリューションを提供する米国企業
5 ASMLホールディングス エネルギー効率の高い半導体を製造するオランダ企業。デジタル電子デバイスの電力削減に貢献する
6 ダイキン工業 欧州や中国などでトップクラスのシェアを誇る日本の空調設備メーカー。エネルギー効率の高い技術で脱炭素に向けた製品を提供
7 ウエイスト・マネジメント 北米最大級の廃棄物処理会社。廃棄物や埋立地ガスなどのエネルギー利用を行う施設を開発・運営
8 コーニンクレッカDSM 栄養素材等を手掛けるオランダの素材メーカー。家畜の呼気に含まれるメタンガスを削減する飼料添加物を手掛ける
9 シュナイダーエレクトリック 自動車用充電設備や電力設備、電化製品などを幅広く開発・製造するフランス企業。エネルギー資源効率の高い商品の開発に長年注力
10 CATL 中国を拠点とする電気自動車向けリチウムイオン電池の世界的メーカー。電気自動車、電気バスなど多様な車両に使われる

脱炭素ジャパン

2021年8月に設定された、今回紹介する3本のなかでは最も新しいファンドです。脱炭素への貢献が期待できる日本企業に投資します。脱炭素をテーマとした日本株投資をしたい人にはうってつけのファンドといえるでしょう。現状の販売チャネルは地方銀行や地方証券に限られています。これからの販路拡大に期待したいところです。

脱炭素ジャパン

  • 資産運用会社:野村アセットマネジメント
  • 純資産総額(2021年10月15日現在):124億円
  • 設定日:2021年8月23日
  • 騰落率(2021年10月14日現在):2.3%(設定来)
  • 信託報酬(実質的な負担):1.584%(税込み)
『脱炭素ジャパン』の組入上位10銘柄(2021年8月31日現在)
  銘柄名 概要
1 信越化学工業 電気自動車や風力発電向け製品以外にも、環境負荷の低減のため塩化ビニル樹脂で世界首位
2 東レ グローバルで広がりを見せる風力発電の風車のブレード(羽根)向けの炭素繊維では世界トップクラス
3 三菱ケミカル
ホールディングス
自動車の軽量化に貢献する多様な製品群を有するだけでなく、中期経営計画において、低炭素等を軸とした事業ポートフォリオの変革を発表
4 エスペック 省エネに貢献する最先端技術を支える環境試験機の世界トップメーカー
5 日本電産 電気自動車向けモーターなどをはじめ高い競争力を有する製品群を持つ
6 本田技研工業 自動車だけでなく世界トップシェアの二輪車においても電動化を積極的に取り組む
7 花王 プラスチック容器のリサイクルやサステナブル(持続可能)な原材料の活用など二酸化炭素排出量削減に積極的
8 豊田自動織機 電気自動車の潮流にのる電動コンプレッサーで圧倒的シェア。トヨタ自動車とハイブリッド車用の新型電池の共同開発も発表
9 村田製作所 通信機器、自動車向けなどに軽薄短小でより優れたエネルギー効率を有する電子部品を製造
10 東海カーボン 高炉式と比べ二酸化炭素排出量の少ない電炉式で鉄を作る際に用いられる黒船電極で世界大手

脱炭素はこれからのビジネスの重要なテーマ

これまでESGやSDGsをテーマにした投資信託は多数ありましたが、「脱炭素」そのものをテーマにした投資信託が登場しはじめたのは2021年に入ってからです。まだ運用期間が短く、実績の優劣を判断するには時期尚早ですが、脱炭素は将来性のあるテーマのため、早めの購入を検討してもいいかもしれません。

もちろん、判断材料が足りないと思う場合は、もう少し様子見してみてもよいでしょう。少し時間が立てば運用実績にも差が出てくるはずです。

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