現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第16回は、音楽の著作権管理やコンテンツの配信支援のマネージメントなどを手がけるネクストーン(7094)を取り上げます。

  • ネクストーンは音楽の著作権管理やコンテンツ配信支援のマネージメントなどを提供
  • 独自のノウハウや技術を用いて業務のシステム化を行い、効率的な著作権管理を実現
  • 著作権使用料の徴収額はJASRACが9割超。ネクストーンの開拓余地は大きい

ネクストーンはどんな会社?

ネクストーンは、音楽の著作権管理やコンテンツの配信支援のマネージメントなどを提供しています

株式会社NexTone(ネクストーン)のホームページ

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音楽などのコンテンツをネット配信したり複製したりする際には作品の創作者(著作権者)から利用の許諾を得る必要があり、状況に応じて正当な対価を支払わなければなりません。ネクストーンの著作権管理事業ではアーティストなどの著作権者から委託を受け、多数のレコード会社や出版社などの利用者の窓口となり、許諾の取り次ぎや使用料の徴収を行っています。

音楽の著作権管理というと、一般社団法人の日本音楽著作権協会・ジャスラック(JASRAC)が有名です。音楽の著作権管理は長い間JASRACが唯一の認可団体として独占的に事業を行っていましたが、2000年に規制が緩和されたことを受け、ネクストーンの前身の2社も含め新規参入しました。その後2016年にその2社が合併しネクストーンとなりました。他社はその後ほぼ撤退し、現在国内で音楽著作権管理を手掛けているのは実質的にはJASRACとネクストーンの2社のみとなっています。

このほかアーティストから音源や映像データの原盤を預かり、ユーチューブやスポティファイなどの国内外の音楽配信プラットフォームに提供し、受け取った使用料を分配する音源供給サービス、アーティストのプロモーション支援などの事業も展開しています。

レコーディング
かつてはJASRACが独占していた音楽の著作権管理事業を、現在はネクストーンも担っている

ネクストーンの強みは?

ネクストーンの強みは、デジタル力を活かした小回りの効く著作権管理やアーティスト支援などを手がけている点です。一部アナログなやりとりも残る著作権管理で独自のノウハウや技術を用いて業務のシステム化を行い、効率的な管理業務を実現しています。

契約形態は著作権をアーティストに残したまま業務を行う委託契約のため、使用料などの料率も柔軟に変更できることから、ビッグネームのアーティストの利用も増えています。最近ではOfficial髭男dism、瑛人、あいみょん、菅田将暉などの著名アーティストも著作権管理、音源供給サービスなどを利用しています。

ネクストーンの業績や株価は?

ネクストーンの2022年3月期は、売上高が前期比30%増の79億円、営業利益が35%増の7億3000万円と大幅増収増益を見込んでいます。2月に発表した2021年4〜12月期の第三四半期決算では、新型コロナの影響を受けながらも成長が続いており、著作権管理楽曲数が26万曲を超えました。新興のボーカロイドやVTuberとの取引も伸びており、JASRACに比べた強みとなっています。

3月15日の終値は2192円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約22万円です。

ネクストーン(7094)の株価(2021年1月~、月足、終値)
ネクストーンの株価チャート

ネクストーンはデジタル管理やきめ細かな対応などを武器に成長を続けています。しかし著作権使用料の徴収額で比較すると2020年度時点ではJACRACが未だシェア9割を超えており、言い換えるとネクストーンにとっては開拓の余地が大きいとも言えます。

今後はこれまで手掛けていなかった演奏権などの分野にも進出を進め、ストリーミング配信などの音楽配信プラットフォームの普及加速で収益基盤はさらに拡大するとみられます。ネクストーンは会社が発足した2016年3月期以降は売上高が年平均成長率30%のペースで伸びを維持しており、株価も見直しの余地が大きいと見込んでいます。

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