観察と分析から得た結論、「ハートは筋肉」

沢木さんが主宰するミュージカル俳優養成講座「沢木塾」で、沢木さんは常に「ハートは筋肉」だと、教えています。

ハートは筋肉……その心は?

人間、感動するとね、筋肉が震えるんですよ!」と沢木さん。
逆に言えば、『筋肉が震えていない状態では、実は感動していない=本当にその感情にはなっていない=相手に気持ちが伝わらない』のだそうです。

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つまり、口先の言葉だけでいくら感情を表現しようとしても、筋肉が動いてない状態の身体であれば、相手に1ミリの感動も伝わらないというのです。

沢木さんは、またもやわかりやすい例としてこういいます。
「たとえば、1億円の宝くじに当たったとします。信じられない嬉しさのあまり、誰でも、足はガタガタ、手はブルブルと、全身が震えるはず、アノ感覚です」

なるほど、確かに喜怒哀楽、本当に嬉しかったり、ものすごく悲しかったり、腹わたが煮えくり返るほど怒ったりするときは、身体は震えますね。(1億円が当たらなくても!)

ただし、大袈裟な芝居ではなく、抑えた演技でも、筋肉がしっかり反応できるように、日頃から筋肉を鍛えておくことがとても重要だと沢木さんはいいます。
「通常のビジネスでは、舞台の芝居のような演技はできないでしょうが、普段の会話の中にも《ハートは筋肉》を意識してみてはどうでしょう」

トラリピインタビュー

なるほど! ドラマの半沢直樹の登場人物は、多少デフォルメはありますけど、感動が伝わるのは、達者な役者さんたちがみな鍛えられた筋肉を持っているからではないでしょうか?

筋トレのイメージ
感動を伝えるハートは筋トレから

沢木さんは、1945年生まれ。しかし、舞台に現れる立ち姿は、20代の若者かと見まがう、今もキレッキレのダンス! 加えて圧倒的な声量でのロックンロールも健在です。

歌って踊って芝居をするミュージカルは、いってみれば、エンタメのトライアスロン! その元気の源は、毎朝起きたら欠かさないバーレッスン(クラシックバレエの基本練習)と発声練習なのだそうです!

ローマは、一日にして成らずです!

ダブルキャリアの時代に役者のススメ!

劇団四季に在籍している時は、全国を飛び回り、あるときは海外公演へと、それだけでスケジュールが埋まってしまう、ミュージカルどっぷりの生活でした。しかし、退団後はシンガーとしてコンサート活動に加え、作曲、プロデュース、また教壇に立つなど、活躍の場を広げてきた沢木さん。

「人生、一つの道を極めることもとても大切だと思います。でも、今は、人生が長いので、ある時からキャリアを増やしたり、二足の草鞋を履くことで人生が豊かになったり、人間に幅が出て、もっと人間として成長することもできます」
と沢木さんは、ビジネスシーンに生きる人たちにも《ダブルキャリア》を持つことを勧めています。

確かに、今は、サラリーマンでも副業が推奨される時代です。
本業の傍らに、もう一つのキャリアを持つこと!
それは、人生に潤いをもたらすことに繋がるはず。

ダンスレッスンのイメージ MikeDotta / Shutterstock.com
ダブルキャリアのススメ。2足の草鞋を履くことで人生が豊かになり、人間として成長することも

もともと趣味が多彩で、特技もたくさんあって、何事にも好奇心旺盛な人は、ダブルキャリアの道もすぐに見つかりそうです。
でも、仕事一筋で来た人は、どうやって2つ目のキャリアを見つけたらいいのでしょうか?

「いたって、簡単! 今まで続けてきた自分の仕事を極めて、深掘りしていくことで、それは見つかるはず!」と沢木さんはいいます。

それは、仕事の延長線上にあるものかも知れないし、仕事の周辺にあるかもしれません。
しかし、深掘りをすることで、必ず、「もっとスキルを身に着けたい」とか「こんなスキルを習得したら、もっと仕事の幅が広がるだろうなあ」、という視点で自分の仕事を見つめ直してみたら、そこにダブルキャリアへのヒントが見つかるかもしれないのです。

与えられた仕事や、縁があって配属された部署での仕事は、その先の人生を豊かにする必然のプロセスだと思って、しっかり極めてみると、きっと、見える景色が違ってきて、視野も広がるということなのです。

なるほど! 仕事の不満を言って、無駄な時間を過ごすより、仕事を深堀りして新しいキャリアへのヒントを探した方がよさそうです。

確かに、筆者も、放送作家の仕事をしながら、沢木さんと出会ったことで、舞台の脚本を書く機会が増えました。
もともと、音楽や踊りの世界は好きでしたが、ミュージカルの仕事と構えて脚本を書くよりも、放送作家として積み上げてきた延長線上に、音楽や踊りの要素を入れた舞台番組を構成するという切り口で台本を書く方が、肩に力が入らずに、自分らしさが発揮できるようにも思えます。
そして、やはりそれは音楽や映画、エンタテインメントの深堀りの先にある発見に繋がっていきます。

新しい発見のイメージ
仕事を深堀りすると、新しいキャリアへのヒントが見つかることも

「もちろん、今まで経験したことのない新たな世界に飛び込むのもアリ!」と沢木さんは言います。沢木さんが主宰するミュージカル俳優養成講座にも、会社員や、さまざまな職業をもった若者が参加しているといいます。
「もともと、エンタテインメントの仕事がしたかったという人がほとんどですが、舞台を観る観客だった人が、演じてみたくなって学びにくるケースだって少なくありません」と。

そう! もし、一度はエンタテインメントの世界で仕事をすることを夢見たことがあったのであれば、ダブルキャリアとして俳優の養成所に通うことも一興なり!
自己表現法を身に着けることで、それが本業にも生かされて一石二鳥にもなるはず。

いろんな可能性を否定せず、チャレンジし続けてみてはいかがでしょうか?
筆者も、《物書き業一筋》ですが、「言葉」の表現という深掘りから、仕事の広がりは無限大に広がる気がしてきました。
この道40年以上ですが、まだまだ人生は面白く展開させていきたいです!

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