つみたてNISAやiDeCoといった非課税投資制度の普及で、若いうちから積立投資を始める方が増えています。将来に向けた資産形成において、積立投資が王道とされる理由とは何でしょうか? 積立投資のメリット・デメリットや一括投資との違い、積立投資の始め方について解説します。
- 積立投資のメリットは無理なく始められることと「ドルコスト平均法」の効果
- 上昇が続く相場では積立投資は不利。短期で利益を得たい場合は一括投資
- つみたてNISA、iDeCoなどの制度やサービスを活用して積立投資を始める
無理なく始められるのが積立投資のメリット
投資といえば「お金がかかる」というイメージがありますが、積立投資なら月1000円程度の少額で始められるので、誰でも無理のない範囲で、手軽に始められます。2018年には「つみたてNISA」という非課税で積立投資ができる制度もつくられ、積立投資デビューをする人は着実に増えています。
積立投資は「定期的に、同じ金額で投資信託などを買い続ける」という投資手法です。そのメリットは、少額で簡単に投資を始められることだけではありません。買う時期を分けることで、以下のようなメリットがあります。
① 値下がりしたときには買える口数が多く、値上がりしたときは少なくなるので、運用効率が良くなる
② 一括投資でありがちな「高値づかみ」を避けられる
①の効果は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、投資対象が値上がりと値下がりを繰り返すときに大きなメリットを発揮します。ただしドルコスト平均法も万能ではなく、値下がりする局面がないまま値上がりが続くと、その恩恵を得ることはできません。積立投資では「値動きがある資産」を選ぶことが大切です。
積立投資にも弱点がある
上昇が続く相場では、積立投資より一括投資(投資する時期を分けず、一度に投資すること)の方が有利になります。このほか、積立投資の主なデメリットとしては、
① 短期で大きな利益をあげることが難しい
② 購入時のコストが高くなる場合がある
といったことが挙げられます。
短期的に大きな利益を狙うのであれば、やはり一括投資ということになります。資金に余裕があれば、積立投資を続けながら一括投資用のお金を別で用意して、タイミングを狙って投資するのもいいでしょう。
積立投資はどうやって始めればいい?
積立投資をするには、同じ金融商品を毎月(または毎週、毎日など)同じ金額で買い続ければいいのですが、実際に毎月同じ商品を買う注文を出すのは手間がかかります。できれば、最初に手続きを行えば、あとは自動で定期的にお金が引き落とされていく仕組みの方が積立投資を続けやすくなります。
積立投資に適した仕組みとして、以下の4つが挙げられます。
① つみたてNISA
年間40万円までの積立投資が、最大20年間非課税になる国の制度。ただし、購入できる商品は金融庁が認可した投資信託などに限られます。
② iDeCo(個人型確定拠出年金)
国の個人年金制度で、最大で月6万8000円の積立投資が可能(職業などによって金額は異なる)。拠出金は所得控除の対象となり、投資の利益が非課税になるのがメリットですが、原則として60歳になるまでお金を引き出せません。
③ るいとう(株式累積投資)
①②で投資できるのはほぼ投資信託に限られますが、るいとうは個別株式の積立投資ができるサービスです。
④ ロボアドバイザー
投資一任型のロボアドバイザーは、投資家に合わせてコンピューターが運用の提案をしてくれる仕組みで、どの金融商品を買うかを自分で決めなくてもいいのがメリット。商品選びが難しい、時間がないという投資初心者にとっては始めやすいサービスです。
積立投資は「やめないこと」が大切
積立投資の最大の利点は、価格が下がっているときも投資を続けることで、相場が上昇に転じたときに利益を狙えることです。相場が悪くなると投資を続けるのが不安になってしまいますが、下げ相場は安く買えるチャンスでもあるので、そこで投資をやめてしまうのは非常にもったいないことです。
いったん積立投資を始めたら、投資していることを忘れてしまうくらいでもいいかもしれません。相場が下がっても気にせず、上がり始めたときに残高を確認すれば、そこで初めて積立投資の効果を実感できるはずです。