現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第27回は、高度専門人材に特化した転職サイト「ビズリーチ」を運営するビジョナル(4194)を取り上げます。

  • ビジョナルは、高度専門人材に特化した転職サイトの「ビズリーチ」を運営
  • ビジョナルの強みは、高度専門人材の転職市場でのブランド力
  • 2023年7月期は大幅増収増益を見込む。転職市場の活性化の余地は大きい

ビジョナルはどんな会社?

ビジョナルは、高度専門人材に特化した転職サイトの「ビズリーチ」を運営しています。すっかり有名になったテレビCMでおなじみの方も多いのではないでしょうか。

創業者で社長の南壮一郎氏は2007年に株式会社ビズリーチを設立し、2009年にプロフェッショナル人材をつなぐ転職サイトとしてサービスを開始しました。南氏が転職した際に感じた「なぜ日本の転職活動はこんなにも非効率なのだろう」という疑問が創業のきっかけです。

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当時の日本の企業は、高度専門人材の採用をヘッドハンターや人材紹介会社に任せるのが当たり前でした。転職を考える高度専門人材にとっても自分のキャリアを主体的に考えたり、市場価値を判断したりすることが難しい状態でした。一方、海外ではすでにSNSや人材採用プラットフォームを経由して企業がほしい人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」が一般化していました。

そこで参考にしたのが、米アマゾンのような小売のイノベーションでした。売り手と買い手のど真ん中にネットを通じて取引できる場を作ったことで、小売業界は大きく変革しました。南氏らは「人材業界にも同じようなイノベーションを起こせないのか」という思いでビズリーチなどダイレクトリクルーティングを日本で広めるため事業を拡大していきました。


非効率的な日本の転職活動に疑問を感じたのが創業のきっかけ

現在ではビズリーチだけでなく新規事業として注力している人材活用プラットフォームの「ハーモス」も次代の収益の柱になるべくサービス強化を進めています。ハーモスは人材管理や採用管理などの情報をクラウドで一元化、可視化し、人材の客観的な「採用・評価・育成・配置」をサポートするサービスです。

ビジョナルの強みは?

ビジョナルの強みは、高度専門人材の転職市場でのブランド力です。

テレビCMによる広告宣伝や人材プラットフォームへの投資の結果、2022年7月末時点ではターゲットとしている年収600万円以上の高度専門人材の職務経歴書の登録数は170万人となっています。また、ビズリーチを1日以上利用した企業数は1万社を超え、前年比の成長率は30%と大きく伸びました。

ビズリーチは採用企業、ヘッドハンター、求職者のそれぞれにサービスを提供しています。採用企業からの課金売り上げや成功報酬だけでなく、ヘッドハンターや求職者からの課金売り上げの収益が入るため強固なビジネスモデルとなっています。

ビジョナルの業績や株価は?

ビジョナルの今期2023年7月期は、売上高が前期比27%増の560億円、当期純利益が42%増の83億円と大幅増収増益を見込んでいます

前期は企業の積極的な中途採用への取り組みが続いており、足下のビズリーチなどの求人数も増加トレンドとなっていました。今期にかけても企業の「働き方改革」「高度専門人材の活用」による人材ニーズが続きそうです。

日本の正社員は2021年時点で約3600万人程度とされていますが、年間の転職者数は約81万人とわずか2%程度に過ぎません。転職市場の活性化の余地はまだまだ大きいといえるでしょう。

9月22日の終値は8710円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約88万円です。

ビジョナル(4194)の株価(2021年9月~、月足、終値)

株価は2021年末に11550円の上場来高値を付け、その後半年は下落トレンドが続きました。しかし、その後は転職や派遣などの人材ニーズ関連の企業の業績が軒並み良好であったこともあり、上昇トレンドとなっています。

株式市場で海外などの景気の影響を受けにくい小型の成長株が最近買われている流れもあり、一段高に期待しています。

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