ユーロ圏は積極的な利上げが難しく、インフレ長引く

ユーロ圏の経済状況をどうご覧になっていますか。

エミンさん ユーロ圏は深刻な問題を抱えています。インフレ率の上昇スピードが緩んできた米国に対し、ユーロ圏ではその兆しがまだ見えません。米国と違い、ユーロ圏の国々は全体の需要を満たせるほどのエネルギー資源を持っていないことが足かせになっています。その他のコモディティもロシアへの依存度が高く、インフレのピークアウトには時間がかかりそうです。

ECB(欧州中央銀行)は政策金利の引き上げを開始しましたが、景気が大きく悪化する懸念もあり、FRB(米連邦準備制度理事会)のようなペースで積極的に利上げをしていくことは難しいでしょう。高インフレに悩みながらも利上げには思うように踏み切れない。そんなジレンマを抱えることになりそうです。

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高インフレと景気悪化に直面し、ECBは難しい舵取りを迫られる
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ロシア・ウクライナ戦争も、落としどころが見えません。ここにきてウクライナ軍が勝利する局面が出てきており、ウクライナ側が譲歩して交渉のテーブルにつくことも考えにくくなってきました。どちらかが早期に勝利するシナリオはあまり考えられず、プーチン政権が変わらない限り、この戦争は数年単位で続くかもしれません。そうなればユーロ圏は中長期的に弱体化することになり、ユーロが売られる負のスパイラルに陥っていくことが懸念されます。

対ドルに加え、対ユーロでも円が強くなる

ユーロ/円の見通しについて教えてください。

エミンさん ユーロは対ドルで売られやすく、0.85ドル程度までユーロ安が続く可能性があります。今後、円は対ドルで買われていくと考えていますので、対ユーロではもっと買われることになるでしょう。ユーロ/円は135円程度まで下がると見ています。

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