「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、投資について相談するのなら、投資のプロがいいのか、銀行や証券会社がいいのかを考えてみたいと思います。

  • 投資のプロに相談するのはお金がかかるため、「学びの場」にはしづらい
  • 銀行や証券会社に相談するのは無料だが、「売りたい商品」を説明される場にもなる
  • 有料でも無料でも、投資の相談をする前の準備が大切。相談の目的を明確にすること

投資というテーマで、難しいのは「誰に相談する」と「どこから情報を入手するか」の2点だと思います。
本稿では「投資を誰に相談する」のかについて考えてみたいと思います。

筆者はゴルフは嗜みませんが、以前、ゴルフを嗜む方から、こんなお話を聞いたことがあります。
「ゴルフはプロから学ぶよりも、アマチュアから学ぶ方が上達が早い」そうです。
なぜかと言えば、アマチュアは商社などで、いわゆる接待ゴルフでプレーしてきたので、話も楽しく、説明も上手いのが、上達が早い理由のようです。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

投資のプロに相談→有料

投資の相談も、プロよりもアマチュアに相談した方が上手くいくのでしょうか?
さて、投資のプロと言えば、やはりトレーダーなど、投資それ自体を仕事にしている方をイメージしますね。トレーダーが相談を受ける機会を設けているのであれば、そうした機会を利用するのも良いかもしれません。

プロの投資ノウハウは、プロ自らがお金と時間をかけて会得した投資ノウハウでしょうから、相談は有料なのが当然でしょう。相談を実りあるものにするために。
相談はあくまでも相談であって、学びの場ではありません。「投資についてイチから教えてもらう」というスタンスで「無料ではない」投資相談を利用したのでは、それこそ相談料に費やした額を投資で取り返すのに、いったい、いくらの元手と時間が必要になることやら。

プロに相談
投資のプロに相談するにはお金がかかる

銀行や証券会社の従業員に相談→無料

身近なところでは、銀行や証券会社ですが、銀行や証券会社の店舗も、だいぶ少なくなってしまいましたね。
銀行や証券会社の従業員の方に投資の相談に乗ってもらうのは、何と申しましても無料ですから、これはありがたいです。

しかし、世の中「タダほど恐いものはなし」とはよく言ったもので、結局、「銀行や証券会社は売りたい投資商品の説明が始まり、説明を早く切り上げてもらうために、投資商品を申し込んでしまった」という展開も考えられます。

トラリピインタビュー

もし「投資についてイチから教えてもらう」というスタンスで銀行や証券会社の従業員を訪ねれば、それこそ「鴨がネギを背負ってきた」という目で見られても仕方ないのではないでしょうか?

有料相談と無料相談、どちらを選ぶべきか?

迷ったら、それら両方を試してみるのが良いと思いますが、結論を申し上げると、支払いの有無ではなく、「(相談に乗ってくれた)相手しだい」ではないでしょうか?

また、銀行や証券会社の従業員は「投資商品を売る」ことが使命だと考えられます。相談に訪れた人が「相談だけで終える」つもりだとしても、やはり銀行や証券会社の従業員は相談を「投資商品の販売につなげる」機会と考えるでしょう。

銀行に相談
銀行や証券会社は、商品を売ることを目的としてお客さんの相談に応える

相談に乗ってもらう側も「相談のための準備」を抜かりなく

自身が得た投資情報や自身が下した投資の判断について、第三者的にアドバイスをもらうために「有料相談」の機会を利用する、というスタンスでしたら、それこそ相談も短時間で済み、相談料も高額にはならないと思います。「相談のための準備」とは、要するに「相談の目的を明確にする」ということです。
銀行や証券会社に「何を相談しに行くのか」が明確なら、それこそ従業員から投資商品を押されることも無いでしょう。

では、どのような準備が必要なのでしょうか? 以下は、金融庁サイトに載っていた「金融商品購入時のポイント」です。これらの情報は、やはり相談の前に入手しておいた方が良いでしょうね。入手した情報と、自身の現状と将来に照らして、妥当な選択か否かを第三者的にアドバイスしてもらうのか投資相談ではないでしょうか?

【図表】金融商品を購入する際のポイント(案)
金融商品購入時のポイント(案)
出所:金融庁ホームページ

筆者の経験から

ところで筆者は、若かりし頃、投資の相談に乗ってもらったり、知識を授けてくれたのは、銀行や証券会社の従業員でした。

筆者が26歳の頃だったと思いますが、新聞に「投資信託の銀行窓販解禁」の文字が躍っていました。記事を読んだ筆者は、早速、自身の銀行口座のある店に出向き、投資信託の相談に乗ってもらうことにしました。Tシャツ姿の20歳代の男を見た銀行の従業員は「積立投資という投資方法があります」と丁寧に説明してくれました。

本連載では、積立投資の記事がいくつもありますが、実は記事のソースは、この時の相談だったのです。当時の筆者は、それこそ「若い」、「投資をやってみたい」というだけで、相談の目的も曖昧なまま、予約もせず銀行のカウンターを訪れたのです。時代が良かったのだと思います。当時は一般消費者にとって投資は縁遠く、ましてや20歳代そこそこの若い兄ちゃんが投資等と言うのは考えられない時代でしたから。
投資の相談に訪れた当時の筆者を見た銀行の従業員も「(当時の筆者を)客にしよう」などとは考えなかったのでしょう。だからこそ、積立投資という「投資本来のやり方」をレクチャーしてくれたのだと思います。

投資の不安を解消できる!? 「積立投資」いろいろ

それから数年が経ち、筆者は職場の昼休みを利用して、証券会社の店に通い詰めるようになりました。インターネットの利用が、ようやく普及し始めた時代でしたから、証券会社の店には、それこそ紙媒体の資料が山のようにありました。それら資料を片っ端から集め、目を通し、職場のインターネットで知識や情報を広げ、その上で疑問や意見を証券会社の従業員にぶつけていたのです。

ということで、銀行や証券会社の従業員について、悪い印象は全くなく、むしろ恩義すら感じています。

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