高齢化の進む日本では、老後の介護も大きな課題です。介護が必要となった場合、介護サービスなどを受けるための費用も用意しなくてはいけません。そんな時に活用できる2種類の介護保険について、今回はご紹介します。
- 介護保険には公的介護保険と民間介護保険の2種類がある
- 任意で加入する民間介護保険は、一時金タイプと年金タイプの2種類が主流
- 介護費用は、一時的にまとまった金額が必要な場合と、継続的に必要な場合がある
増加傾向にある日本の高齢要介護者
日本では年々、要介護または要支援認定を受ける65歳以上の人が増加傾向にあります。厚生労働省の発表によると、65歳以上の要介護認定者は、2010年から2020年の10年間で約178.2万人増加しています。
厚生労働省「令和元(2019)年 国民生活基礎調査の概況」のデータでは、介護が必要となった主な原因は要介護度・要支援度によっても異なりますが、要介護者全体では「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」「骨折・転倒」の順で多くなっています。
要介護状態となるリスクは、誰もが持つものと考えて準備をしておくのがよいでしょう。
40歳以上は必ず加入する公的介護保険とは
介護リスクに備えるのが、介護保険です。介護保険には「公的介護保険」と「民間介護保険」の2種類があります。
公的介護保険とは、増える介護に社会全体で備える目的で、2000年に開始した仕組みです。日本では40歳以上になると全員公的介護保険の加入者となり、介護保険料の徴収が開始します。
公的介護保険の加入者は、65歳以上(第1号被保険者)であれば原因を問わず、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)は特定の疾病を原因に、要介護・要支援認定を受けた場合に、介護サービスを受けることができます。事業者のケアマネージャーや地域包括支援センターの担当職員が作成したケアプランを基に、介護サービスを利用します。
介護保険で定められている支給限度額内であれば、利用者の費用負担は1割~3割(年齢や収入によって異なる)です。限度額を超えてサービスを利用した場合や、公的介護保険の対象外の費用については全額自己負担となります。ただし、所得の低い人や自己負担額が一定以上の場合など条件を満たした場合には負担軽減措置も受けられます。
参考:厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方へ)」「サービスにかかる利用料」
任意で保障をプラスする! 民間介護保険とは
公的介護保険で保障されない費用への備えには、民間介護保険の活用が可能です。民間介護保険とは、生命保険や医療保険のように、保険会社と契約をして加入する保険です。
民間介護保険は、保険会社所定の要介護・要支援状態と認定された場合に給付金を受け取れるものが多いようです。給付金はまとまった金額を受け取れる一時金タイプや、毎年決まった金額を受け取れる年金タイプの2種類が主となっています。
最近では要介護・要支援状態の保障に加えて、死亡時の保障、認知症・軽度認知障害(MCI)と診断されたときの保障が付けられるものも出てきています。また、病気やケガでの入院や手術に備える医療保険に、オプションで介護の保障が付いているものもあります。
保険会社 | 商品名 | 概要 |
---|---|---|
アフラック | アフラックのしっかり頼れる介護保険 | 要介護度1~2の場合は一時金、3~5の場合は1年に1回通算10回まで年金を受け取れる |
東京海上日動あんしん生命 | あんしんねんきん介護R | 払い込んだ保険料と受け取った年金の差額が戻ってくる |
明治安田生命 | 介護のささえ | 要介護3以上での終身年金保障をベースに、特約で一時金保障をプラスできる |
満足な介護サービスのために介護保険の活用を!
公的介護保険の限度額内のサービスだけでは、自身や家族が必要と感じるサービスをすべて受けられない可能性もあります。そうした場合に備えて、貯蓄や民間介護保険の活用などを早いうちから考えておくと安心です。
介護にかかるお金には、家のリフォームや介護用品の購入など一時的にまとまった金額が必要となるものと、デイサービスの利用や施設への交通費など継続的に費用が必要となるものがあります。どの費用に備えたいかによって、介護保険の選び方が変わります。
自身や家族が介護を必要とした場合に、どんな介護を受けたいか?健康なうちから話し合ってみるのはいかがでしょうか。