投資信託の投資形態として、ファミリーファンド方式とファンドオブファンズ方式があります。どんな違いがあるのか、ファイナンシャルプランナーの恩田雅之さんが解説します。
- ファミリーファンド方式は、マザーファンドが個別の株式や債券などを投資し運用
- ファンドオブファンズ方式は、複数のファンドに分散して投資をする運用スタイル
- ファンドオブファンズ方式のファンドは、投資ファンドごとに信託報酬がかかる
2つの投資形態
投資信託の仕組みの説明では、下の図がよく使われています。
しかし、実際は投資家が購入できる投資信託(ファンド)が直接、個別の株や債券に投資をする方式は少なく、別のファンドに投資し、そのファンドを通じて個別の株式や債券に投資をする方式をとるファンドが大半です。方式は2つあり「ファミリーファンド方式」と「ファンドオブファンズ方式」になります。
購入を検討しているファンドがどの方式を採用しているか、については投資信託説明書(交付目論見書)に記載されている属性区分の表の中にある投資形態で確認することができます。
また、属性区分では、投資対象資産や決算頻度、投資対象地域なども確認できます。
以下では、「ファミリーファンド方式」と「ファンドオブファンズ方式」の仕組みや特徴について見ていきます。
ファミリーファンド方式の仕組みや特徴
ファミリーファンド方式は、投資家が販売されているファンド(以下:ベビーファンド)に投資をして、その資金がマザーファンドに投資され、マザーファンドが個別の株式や債券などを投資し運用するスタイルになります。マザーファンドは、原則ベビーファンドと同じ運用会社が運用を担当します。
ベビーファンドの運用成果は、マザーファンドの運用成果に左右されます。
また、1つのマザーファンドに複数のベビーファンドが投資をすることも多くあります。多くのベビーファンドがマザーファンドに投資をすることで、その分運用資産が増えます。
それにより、マザーファンドはより効率的な運用ができるようになります。
マザーファンド自体では信託報酬(運用コスト)の徴収を行いませんが、マザーファンドが効率的な運用を行うことでベビーファンドの信託報酬を引き下げることが可能になります。
ファミリーファンド方式のファンドの購入を検討する時は、そのファンドの騰落率以外にマザーファンドの運用資産(純資産総額)の規模や推移も確認しておきましょう。
次にファンドオブファンズ方式の投資信託について見ていきます。
ファンドオブファンズ方式の仕組みと特徴
ファンドオブファンズ方式は、投資家が購入できるファンドが、複数のファンドに分散して投資をする運用スタイルです。
投資先のファンド(Aファンド、Bファンド)は、ファミリーファンド方式のマザーファンドのように同一の運用会社である必要はなく、他社のファンドへの投資も可能です。
上の図のように全世界の株式を対象にするファンドですと、それぞれの地域で過去の運用実績の良いファンドを選んで分散投資をする運用ができます。
また、投資先のファンドの成果が思わしくない場合は、同一の資産(株や債券など)や投資地域(日本、北米、欧州など)の別のファンドに投資の一部を切り替える運用を行うファンドもあります。
ただし、上記のファミリーファンド方式のマザーファンドと違い、ファンドオブファンズ方式で投資をするファンドは、下の図のように通常そのファンドごとに運用コスト(信託報酬)がかかります。
ファンドオブファンズ方式のファンドでは、実質的な負担の部分を他の運用方式のファンドの信託報酬を比較して運用コストを確認する必要があります。
また、ファミリーファンド方式のバランス型ファンドでは、株式のマザーファンド、債券のマザーファンドなど複数のマザーファンドに投資をします。一見すると、ファンドオブファンズ方式か思われますが、投資信託説明書の属性区分の投資形態に「ファミリーファンド」と記載されていれば、ファミリーファンド方式で運用しているファンドだと確認できます。
今回は、多くの投資信託で採用されている「ファミリーファンド方式」と「ファンドオブファンズ方式」の仕組みと特徴(特に運用コスト面)についてみてきました。