現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第49回は、「モンスターハンター」や「ストリートファイター」などが日本だけでなく世界で大人気のゲームソフトメーカー、カプコン(9697)をご紹介します。

  • カプコンの強みは、大人気のゲームタイトルの知的財産権(IP)による事業展開
  • ゲームのみならずキャラクターグッズや映画、パチスロ機への展開で収益を獲得
  • 「ストリートファイター6」は好調な滑り出し。7月には上場来高値を付ける

カプコン(9697)はどんな会社?

カプコンは家庭用ゲームソフトの大手メーカーです。代表作に「モンスターハンター」、「バイオハザード」「ストリートファイター」など、有名タイトルを数多く輩出しています。

カプコンは、1983年に電子ゲーム機器販売を手がける企業として大阪市平野区に設立されました。
社名の「カプコン」は、当時人気を集めつつあったパーソナルコンピューターに対抗するとの意味合いで考案された「カプセルコンピューター」の略称です。カプセルとは、同社のゲームソフトが「遊び」を詰め込んだカプセルであるという意味が込められています。

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その後、家庭用ゲームとして人気を博したファミリーコンピュータ向けに「魔界村」「戦場の狼」「ロックマン」などのヒットタイトルを生み出しました。その後も前述の大ヒットタイトルを輩出し、世界のゲームユーザーに知られる「CAPCOM」へと飛躍していきました。

ゲームセンター
1991年にゲームセンターで稼働を開始した「ストリートファイターII」は一大ブームを巻き起こし、「格闘ゲーム」というジャンルを確立させた

カプコン(9697)の強みは?

カプコンの強みは、大人気タイトルの知的財産権(IP)を活用した事業展開です。
例えば1990年代に世界的な格闘ゲームのブームを巻き起こした「ストリートファイター」シリーズは、その売り上げの70%超が海外でのもので、シリーズ累計で5200万本以上を販売しています。

その知名度と人気により、オンラインで開催されるeスポーツのリーグ戦や大会も盛り上がりを見せています。2023年に開催されている「カプコンプロツアー2023」は最新作の「ストリートファイター6」を採用し、賞金総額は同社史上最高となる200万ドル以上の規模となっています。

カプコンは、こうした人気タイトルのIPを活かしたキャラクターグッズやハリウッド映画、パチスロ機への横展開などを進め、ゲームに留まらず、幅広い分野でファンを獲得し収益を伸ばしています。

さらに海外のトップメーカーとも競争できる技術力や充実したクリエイター陣により、強みを持つアクションゲームを中心にコンテンツの拡大を進めています。

カプコン(9697)の業績や株価は?

カプコンの今期2024年3月期連結決算は、売上高が前期比11%増の1400億円、営業利益が10%増の560億円と、増収増益を見込んでいます。デジタルコンテンツ事業の安定的な拡大で、営業利益は11期連続で増益を予想しています。
7月26日に発表した2023年4~6月期の第1四半期決算は、売上高が前年同期比74%増の438億円、営業利益が2倍の240億円と大幅増収増益でした。

期待の新作の「ストリートファイター6」の販売本数が197万本と好調な滑り出しとなりました。春に発売した大型タイトルの「バイオハザード RE:4」の販売も伸びています。ゲームを含めたデジタル販売が好調だったほか、アミューズメント施設事業やパチスロ機などのアミューズメント機器事業でも収益が拡大しました。

【図表】カプコン(9697)の株価(2022年8月~、日足)
カプコンの株価

8月18日の終値は5794円で投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約58万円です。
3月からの日本株の上昇相場が一巡し、景気敏感株が売られる中でもカプコンの株価は好調が続いており、株価は、決算発表後の7月27日に上場来高値6578円を付けました。ゲーム株は為替変動やマクロ経済の影響を受けにくいディフェンシブの成長株として資金が向かっています。
世界の人口が80億人を突破する中で、ゲームユーザーは30億人存在すると言われており、未開拓のマーケットはまだまだ存在しています。

全体相場が調整しているため、カプコン株も中期の投資家の平均の取引価格である25日移動平均線を下回っていますが、中長期株価の上昇トレンドは崩れていません。好業績を評価した買いで再度の上値トライが期待できるとして、株価に注目しています。

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