定期的な収入はあるけれど、なんらかの事情により一時的なお金が必要となってしまう、ということは誰もが経験しうることです。しかし、元々の収入が少ない人や高齢者、障害を持つ人などの場合、その準備がさらに難しい可能性もあるでしょう。そうした場合に頼れるもののひとつとして、「生活福祉資金貸付制度」が挙げられます。

  • 生活福祉資金貸付制度を申請すると資金貸付や民生委員の援助活動などを受けられる
  • 資金の種類は大きく4種類。さらに目的に応じた費用が用意されている
  • 必ず返済が必要なことは忘れずに。他の制度がないかも併せて検討する

※ここでは制度の概要をご紹介しています。詳細な条件などは必ず厚生労働省や社会福祉協議会のサイトなどでご確認ください。

生活福祉資金の種類と対象になる世帯

生活福祉資金貸付制度とは、都道府県の社会福祉協議会が実施する制度です。生活の立て直しなどが必要となった場合に、社会福祉協議会の窓口へと申請を行うと、資金貸付や地域の民生委員による相談援助活動などの支援を受けられます。

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対象となるのは低所得世帯、高齢者世帯、障害者世帯です。加えて、日常生活には困らない程度の定期的な収入があり返済(償還)の見込みが立てられる状況であることなどの条件を満たしている必要があります。必要な条件を満たしている人の世帯が申請後、民生委員の面接などで資金の必要性が認められると、貸付を受けられます。

貸付には、資金の具体的な利用目的が決まっている必要があります。資金の種類は大きく4種類あり、そこからさらに目的に応じた費用が用意されています。

【図表】生活福祉資金の種類と対応する利用目的
総合支援資金 生活支援費 生活再建までの間に必要な生活費用
住宅入居費 住宅の賃貸契約を結ぶのに必要な費用(敷金・礼金など)
一時生活再建費 生活再建のために必要な一時的な費用
(就職・転職のための技能習得に必要な経費、滞納している公共料金などの立て替え費用など)
福祉資金 福祉費 生業を営むために必要な経費、福祉用具などの購入に必要な経費、災害を受けたことにより臨時で必要となる経費など
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合の少額の費用
教育支援資金 教育支援費 低所得世帯の人が高校・大学などに就学するために必要な経費
就学支援費 低所得世帯の人が高校・大学などへ入学する際に必要な経費
不動産担保型生活資金 不動産担保型生活資金 低所得かつ高齢者世帯へ一定の居住用不動産を担保として貸し付ける資金
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 要保護の高齢者世帯へ一定の居住用不動産を担保として貸し付ける資金

参照:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧

新型コロナの特例貸付は終了、返済の免除申請は受付中

2022年までは新型コロナウイルス感染症の影響で休業などにより収入が減少していた人を対象に、緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付も実施されていました。

1年以内の据置期間の後、緊急小口資金は2年以内、総合支援資金は10年以内に返済を行うこととなっており、2023年から返済が開始している人もいるでしょう。
しかし、住民税が非課税である世帯や、返済困難な状況となってしまった場合などには、返済の免除を受けられる可能性もあります。

もしもこれらの制度を利用したけれど、返済が難しい状況となってしまった場合には、まずは地域の社会福祉協議会へ相談をするようにしましょう。

「貸付」であることに注意。他の制度がないかも確認

生活の立て直しなど、様々な場面で活用ができる可能性がある生活福祉資金貸付制度ですが、あくまで「貸付」のため、いずれは返済が必要になります。そのため、家計の状況などによっては利用に適さない可能性もあるでしょう。

まずは他に自分が利用できそうな公的制度や、受け取れそうな給付金がないかを自治体のウェブサイトなどで確認し、自分や世帯に適したものがないかを確認してみてくださいね。

参考サイト
厚生労働省「生活福祉資金貸付制度
厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧
東京都社会福祉協議会「生活福祉資金貸付事業
厚生労働省「生活福祉資金の特例貸付 制度概要

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