宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、「テーマ型」と呼ばれる特定の業種や分野を対象とする投資信託の購入を検討している方に、テーマ型の特徴や注意点についてアドバイスします。

  • ESG、脱炭素、AIといった分野に特化した投資信託は「テーマ型」と呼ばれる
  • 投資テーマは時代によって変化する。過去のテーマ型商品の多くが早期に償還された
  • 流行に惑わされて高値つかみしてしまいやすいのがテーマ型。短期運用が基本

話題性が高く、お金が集まりやすい「テーマ型投資信託」

【質問】
投資信託でも、今流行りのAI(人工知能)や半導体関連の商品があると聞きました。これって半導体不足もあって値上がりが期待できるし、NISAを使って投資すればいいのかなと思っています。ぜひアドバイスをお願いします。

今回の相談は、投資信託を深掘りして運用しようと考えている運用経験者になります。最近のChatGPTなど対話型AI(人工知能)や、あるいは自動車産業のように、特定な分野に集中して投資する投資信託に対して、私もそうでしたが相談者も目移りするのはわかります。

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特定の分野に集中した投資信託は「テーマ型」とも呼ばれています。私も商品を保有していて、第10回で検証させていただきました。現在も保有継続中(21年間)で、テーマ型の詳細はこちらの記事で確認していただければと思うのですが、私自身の運用については「たまたまうまくいっている」と思います。

テーマ型の投資信託ってどんげね?

21年前にスポット買いをして「ほったらかし」状態で、一度だけ一部解約をしましたが、元本は約2~3倍になり、長期運用を継続中です。東証プライム市場に上場する日本株式を対象とする、環境に特化した投資信託ですので、11年前からの日銀のゼロ金利政策、アベノミクス相場もあり、このパフォーマンスは当たり前といえば当たり前のことかもしれません。

とはいえ、テーマ型の運用はいつもうまくいくわけはありません。エンロン破綻、サブプライムローン問題、リーマン・ショックと、その都度株式市場は暴落しましたが、私は保有する投資信託を解約しませんでした。長期投資の極意ともいえる「ほったらかし」状態を維持したことが功を奏しました。

テーマ型の投資信託は、その名称に話題性が高いテーマ名が含まれることが多いため、投資家からのお金が集まりやすい傾向にあります。流行するテーマも変化を続けていて、最近はNISAなどの後押しも手伝って、ESG(環境・社会・企業統治)、脱炭素、そしてAI関連の商品が多く設定されています。

3年前と比べてもテーマの分類が変わってきていて、特にここ最近のテーマ型の運用はいろいろな違いが出てきていると感じています。そこで今一度、テーマ型投資の注意点を考えていきます。

20年前に14本あった環境関連のテーマ型投資信託のうち、現存するのは2本

私が投資を始めた20数年前(1990年代)には、テーマといえば「環境、温暖化、社会的責任(SRI)」が中心で、テーマに沿った投資信託がいくつも開発されました。現在は「人工知能(AI)、脱炭素、ESG」が中心となっています。テーマ型を語るときに欠かせないのは、20年前のテーマ型商品の検証です。20年前に出た商品が、今現在どうなっているか? パフォーマンスは? そこを確認することで、これからのテーマ型投資をどうすればいいのか、ベストの選択がわかってくると思います。

環境問題
20年前には環境問題をテーマとした投資信託がいくつも設定された

今回は私も運用中の「環境」というテーマで、20年前にあった商品を確認してみました。代表的なものとしては世界株式を対象としたものが9、日本株式が5と、14商品ありました。驚くべきは、今も現存する商品が、下記の日本株式2商品しかなかったことです。

損保ジャパン・グリーン・オープン 愛称:ぶなの森
11月28日現在基準価額 17,872円

日興エコファンド
11月28日現在基準価額 16,152円

『日興エコファンド』は、もともと償還日が2024年8月に設定されていましたが、今年、信託期間を「無制限」に変更しています。このほかの商品は信託期間がもともと短かったものや、繰上償還で運用を終了したもの、純資産総額の減少などにより撤退したものまでさまざまでした。私が保有している『ぶなの森』は信託期間が無制限で、プライム市場の日本株を中心にバランス良く運用されていた結果です。

冒頭で述べましたが、私がうまくいったのは、よくわからずにたまたま買って、長期で保有したのが良かっただけのことです。たまたま買った商品が「R&Iファンド大賞2023」のESG部門で最優秀ファンド賞を受賞した商品で、ラッキーだったということです。しかし、もしあの時別の商品を買っていれば、アベノミクス相場が来る前に償還されて、運用がマイナスで終わったかもしれません。

償還される可能性もあるテーマ型が、いかにリスクが高いかわかると思います。

テーマ型投資信託の注意点

テーマ型の運用が不調になる主な原因を考えると、3つほどあります。

  1. 窓口販売などで、旬の話題なので「儲かる可能性」に思考回路が惑わされて、買ってしまいやすい
  2. 旬の話題性がある商品なので、販売されるときにはすでに価格が高くなっていることから、「高値つかみ」になる可能性がある
  3. テーマ型の特性は「熱しやすく冷めやすい」こと。ブームに流されやすい投資家が、ブームが去れば解約をして、基準価額は乱高下しやすくなる

直近で言えば、AIをテーマとした商品の変動要因として、ChatGPTで知られるOpenAIのサム・アルトマンCEOの解任、そして復帰劇と、その出資元であるマイクロソフト社や関連会社の株価の乱高下などがあります。投資家は冷や冷やしていたでしょう。

また、テーマ型はアクティブ運用が中心となりますので、手数料も高めであることも忘れてはいけません。加えて、日本経済新聞の報道では、2022年の日本株におけるESG投資の残高は前年比10%減となり、代表的な日本株ESGインデックスの一つは22年度に市場平均を3%下回るなど、リターンも振るわないとあります。

そして、新NISAを使いたいとしても、買おうとしているテーマ型の投資信託が、成長投資枠の対象に入っていない可能性もあります。テーマ型の購入を考えているのでしたら、商品の特性がわかったうえで、短期運用目的で、かつマイナス運用になっても損切り(スパッと解約)できる性格の方しかお勧めできません。

投資の目的が将来のためであれば、長期投資が必要なので、長期投資用の商品を購入することが一番の得策に変わりないでしょう。また、相談者はすでにNISA口座を使って取引をしています。NISA口座は1人1口座に決められていることもあり、購入したい投資信託がどこの金融機関で買えるのか調べないといけません。場合によってはNISA口座の変更も必要になってきます。

金融機関を選ぶ際には「自分のタイプ」、たとえば対象が株式、債券などいろいろな投資信託をバリバリ売買したいのか? コツコツと積立投資しながら運用するのか? 投資のタイプによってNISAを使うべき金融機関が違ってきます。投資を勧められた最初の金融機関が全てではないので、変更も含めて検討してみましょう。

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