金利も上昇傾向が見られる今、将来の資産形成に向けて動き出そうと考えている人もいるでしょう。しかし、一口に資産形成といっても、方法はさまざまです。代表的な選択肢として挙げられる、貯蓄型保険、新NISA、iDeCoには、どのような特徴があり、どれを選ぶのが自分には合っているか、判断に迷うかもしれません。今回は、それぞれの特徴を押さえ、自分に最適な資産形成方法を探していきましょう。

  • 万一へ備えながら将来に向けて積み立てられるのが保険で資産形成を行うメリット
  • 手厚い税制優遇制度を使って資産形成するのならNISAかiDeCoが選択肢
  • 資産形成はコツコツ積み立てていくことが大切。まずは自分自身の現状把握から

貯蓄型保険は保障と積み立てを両立できる仕組み

貯蓄型保険とは、万が一の保障を確保しつつ、保険料を積み立てる貯蓄性も持つ保険です。
主に以下の種類があります。

【貯蓄型保険の例】

  • 終身保険……一生涯の死亡保障が続き、解約時には保険料払込期間に応じた解約返戻金が受け取れる。
  • 養老保険……一定期間内の死亡保障を用意しつつ、満期には満期保険金を受け取れる。
  • 学資保険(こども保険)……子どもの進学や誕生日を迎えた一定のタイミングで、給付金を受け取れる保険。親・子の死亡保障や医療保障を備えたものもある。
  • 個人年金保険……一定年齢まで保険料を積み立て、契約時に決めた年齢になってからは年金を受け取れる。

貯蓄型保険の強みは、もしもの備えをしながら積み立てもできる点です。
貯蓄が自分の手元ではなく保険会社で行われていくため、貯蓄や投資に苦手意識がある人にも始めやすいでしょう。

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一方で、貯蓄性がある分、月々の保険料の支払いは掛け捨て型保険に比べて割高で、解約した時期によっては、受け取れる金額よりも支払った保険料の方が大きくなってしまうリスクもあります。

NISA・iDeCoは税制優遇に強みを持つ

資産形成の手段として投資を選ぶとき、まず検討されるのがNISAとiDeCoでしょう。

  • NISA(少額投資非課税制度)……「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、年間投資枠や選択できる投資対象商品が異なる。日本在住の18歳以上であること、金融機関で専用の口座を開設することが開始条件。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)……20歳以上65歳未満の条件を満たした人が加入できる私的年金制度。掛け金の拠出や運用商品の選択などを自分で行い、引き出しは原則60歳になってから可能になる。
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この二つに共通する強みは、その手厚い税制優遇にあります。
一般的な投資商品で運用益を得ると、20.315%の税金がかかりますが、新NISAとiDeCoの運用益は非課税です(NISAは、総枠1800万円が非課税保有限度額)。
また、iDeCoは、掛金が所得控除の、給付金が公的年金等控除または退職所得控除の対象になります。

一方、どちらも金融商品の運用状況によっては元本割れをする可能性があるため、それを避けるには、元本保証のある商品を選ぶなどの工夫が必要です。

また、iDeCoは引き出し時期が限定されるため、急な出費が必要になったときにそこから資金を捻出することはできない点にも注意しなくてはいけません。

選び方のポイントは? それぞれの特徴を比較

それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。

【図表】貯蓄型保険・NISA・iDeCoの特徴
比較項目 貯蓄型保険 NISA iDeCo
保障機能 有り(死亡・医療など) 無し 無し
元本割れ 無し
(加入期間の長さに
よっては有り)
有り 有り
引き出し可能時期 いつでも可能 いつでも可能 60歳以降
税制優遇 生命保険料控除
(上限額有り)
運用益が非課税 運用益が非課税、
掛金全額と受取金が
控除の対象
どんな目的に
適している?
もしもの保障と
まとまった資金の
準備をしたいときなど
使い道を限定せずに
資金を準備
したいときなど
老後資金の
準備をしたいとき

資産形成の方法は、どれくらいリスクを許容できるか、どのような種類の資金を準備したいのかなどによって選ぶと良いでしょう。

もしもの保障も確保しつつ、大学の入学資金など必要な時期が決まっている資金に備えたいのであれば、貯蓄型保険の活用が第一候補に上がります。

資金の使い道を限定せず、柔軟に運用や資金引き出しを行いたいニーズがあるなら、NISAが適しています。
老後に備えてコツコツ投資をしたいなら、税制優遇もあるiDeCoと上手に付き合っていくのが良いでしょう。特に、自営業やフリーランスで公的年金が手薄な人にとっては、その補助として有用です。

貯蓄型保険には先述のとおり保険料に課題があるため、掛け捨て型保険で保障を確保し、資産形成は新NISAやiDeCoを組み合わせるのも良いでしょう。

いずれにしろ、資産形成は長期的に、コツコツと積み立てていくことが大切です。短期間で劇的に資産を増やそうとすると、その分リスクも高まります。
まずは、現在の自分の状況に目を向けることから始めましょう。

例えば、自身の入っている保険の保障内容を確認する、ねんきんネットで老齢年金の受給予定額を確認する、会社勤めであれば財形貯蓄などが利用できないか調べておくことをお勧めします。

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