堀越耕平先生の『僕のヒーローアカデミア』(ヒロアカ)には、株式投資のヒントが満載です。
2014年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートした『ヒロアカ』は、同年11月のコミックス第1巻が発売即完売、翌月には30万部に達します。2016年4月にTVアニメ化、2018年8月には映画化されました。12月23日現在のコミックス計21巻の累計販売部数は2000万部を突破。2019年4月の舞台化も決まっています。
誰もが“個性”という超常能力を持つ世界で、個性を持たない“無個性”として生まれてきてしまった少年が最高のヒーローを目指すというストーリー。憧れの現役ヒーロー、個性豊かな同級生や上級生などの魅力的なキャラクターたちと、ときに衝突しつつも、力を合わせて目の前の壁を超えていきます。
私の推しキャラは、同級生の一人で個性「イヤホンジャック」の耳郎響香。彼女のマネして娘に「恥ずい」と言ったら、「お前が恥ずい」と言われました。
サーセン<(_ _)>
勘の良い方ならもうお分かりでしょうが、週刊少年ジャンプには人気マンガ黄金の経験則「努力・友情・勝利」があります。『ヒロアカ』は、まさにこの経験則をバッチリ踏まえた王道路線であり、これが若者はもちろん、ジャンプ黄金世代(※1)の40代・50代も楽しめる作品になっている一つの要因といえるでしょう。
実は株式投資にも「経験則」があります。理論的な根拠があるわけではない相場のクセのようなもので、金融業界では「アノマリー」とも呼びます。あー、クセのある歌い方が印象的な女性ボーカルのグループか。それ「ジュディマリ」ね。(※2)
サーセン<(_ _)>
さて、有名なアノマリーに「ジブリの法則」があります。スタジオジブリの映画が金曜日に放送されると為替相場が荒れるというものです。実際、2012年4月6日(紅の豚)や2013年8月2日(天空の城ラピュタ)に円相場は1営業日で1円ほど円高になりました。
このカラクリは、毎月第一金曜日には相場に影響を与える米国の雇用統計が発表されるため。一方、2018年1月5日(魔女の宅急便)と同11月2日(紅の豚)のときは相場はほとんど動きませんでした。まあ……ね。
株式投資に関する主なアノマリーとしては、下記のものが知られています。
●1月効果
前年末のクリスマス休暇前に、株式の保有比率を低くしていた海外の投資家が買い姿勢を強める。時価総額と流動性が低い小型株が上がりやすい
●Sell in May(セルインメイ)
「高値の5月に売れ」。大きな資産を運用している米国のヘッジファンドの決算が5月に集中しているため、その後は株価が下がりやすい
●ボジョレー・ヌーヴォー解禁日は株高
11月の解禁日とその翌日は、人々の気持ちが高揚し、株価が上がりやすい
●サンタクロース・ラリー
「1月効果」を狙い、株式を先回り買いする人が出るので株価が上がりやすい
日本独自のアノマリーといえば、やはり干支にちなんだものでしょう。2019年は亥(いのしし)年。東京証券取引所の売買が再開した1949年以降、亥年は59年、71年、83年、95年、2007年の5回。年末の終値が前年末の終値より高かったケースを勝ちとすると、亥年の成績は4勝1敗。なかなかの好成績ですが、直近の2007年は米国のサブプライムローン問題で、日経平均株価は当時5年ぶりに下落しました。
『ヒロアカ』の大ヒットは、ジャンプの人気マンガの経験則というよりも、作者の才能と努力の賜物です。株式投資でも、アノマリーに基づいて取引するのではなく、あくまでも判断材料の一つ程度と捉えたほうがよさそうです。どうぞ皆さまは、アノマリーを信じすぎて「恥ずい」思いをしませぬように。
※1 ジャンプ黄金世代
「週刊少年ジャンプ」が爆発的な人気を博していた1980年代中期~1990年代中期に少年少女だった世代を指す。当時のジャンプには『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』『DRAGON BALL』『ジョジョの奇妙な冒険』『SLAM DUNK』など、後世に語り継がれる名作が多数連載されていた。人気作の多くがアニメ化され、しかも夜7時台に放送されていたことは、今となっては隔世の感がある。
※2 ジュディマリ
1990年代に活躍した日本のロックバンド「JUDY AND MARY」のこと。ヒット曲に「Over Drive」など。2001年に解散。ボーカルのYUKIは音楽界の枠を超え、時代のファッションアイコンとして広く支持された。「真心ブラザーズ」の倉持陽一(YO-KING)と結婚し、母になった現在もボーカリストとして第一線で活動を続けている。