インデックスファンドは初心者にもおすすめと紹介されることが多いため、とりあえずインデックスファンドを買っておけば安心と思っていないでしょうか。実は、インデックスファンドにも認識しておくべきリスクがあります。本記事では、見落としがちなインデックスファンドのリスクを分かりやすく解説していきます。

  • 投資初心者向けと思われがちなインデックスファンドにも固有のリスクはある
  • 例えば、指標とする指数が下落した時は、一緒に基準価額が下がる
  • 「割高」「成長が望めない」企業にも投資している可能性があることは知っておこう

あらためてインデックスファンドのおさらい

インデックスファンドとは、目標とする指数に連動した運用成果を目指すファンド(投資信託やETF)のことを指します。指数とは、市場全体や特定の銘柄グループの値動きを一つの数字で表したものです。例えば日本の株価指数であれば、「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」が代表的です。インデックスファンドは、指標とする指数に連動する値動きをするように銘柄を組み入れているため、指数が上昇したときには基準価額が上がり、指数が下落した時にはインデックスファンドの基準価額も一緒に下落する仕組みです。

インデックスファンドのメリットとして、まず「手数料(信託報酬)が安いこと」が挙げられます。単純に指数に連動することを目指すことから、ファンドマネージャーが個別に組入銘柄の調査を行う必要もなく、ある程度機械的に運用できるため、コストが安く済むのです。

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また、インデックスファンドのほとんどがメジャーな指数に連動しているため、価格変動が分かりやすい点もメリットといえます。特に投資初心者は株価の値動きの仕組みを知るところから始まるため、日々の経済ニュースなどで報道される一般的な指標と連動するインデックスファンドは、運用の入門編にもぴったりです。

「初めての投資はつみたてNISAで」という人も多いと思いますが、実はつみたてNISAの対象商品のほとんどがインデックスファンドです。つみたてNISAの採用銘柄は金融庁の厳しいチェックを通過したものなので、初心者にとっては有力な選択肢になります。

つみたてNISAの対象商品(金融庁)

つみたてNISAのインデックスファンドを詳細分析

株式とは性質が異なりますが、最近の運用実績が比較的良いインデックスファンドの中には、東証REIT指数への連動を目指す商品もあります。REITは株価と異なった動きをするので、分散投資の選択肢として検討するのも悪くないでしょう。

見逃しがちなインデックスファンドのリスク~その1 指数が下落するときは一緒に下落する

インデックスファンドは、確かに初心者向けではあるものの、「初心者向け=低リスク」と断言することはできず、固有のリスクがあります。

リスクのひとつは、指数に連動することを目指すため、指数が上昇しているときには一緒に上昇する半面、下降するときには一緒に下落してしまうということです。というのも、指数に連動することを目的とするのがインデックスファンドの特徴なので、下落局面であっても、指数と一緒に下落するのは、インデックスファンドの運用として優れているということでもあります。

連動するイメージ
インデックスファンドは、上昇局面はもちろん、下落局面でも指数と連動するように設計されている

つみたてNISAなどを利用して積立投資をしている場合、下落相場は絶好のチャンスでもあります。価格下落時は、安値でたくさんの口数を購入できるため、下落から一転し、上昇局面になった際には、多くの含み益が期待できます。下落相場だからといって、過度に気にする必要はありません。

これに対してアクティブファンドは、ファンドマネージャーが個別銘柄を選定し指数を上回る成果を目指すため、指数を上回る収益が期待できる点が魅力です。指数が下落しているからといって、必ずしも下落するわけではありません。

インデックスファンドは必ず“儲かる”のか?

見逃しがちなインデックスファンドのリスク~その2 割高な値段で投資している可能性がある

インデックスファンドは時価総額に比例して銘柄の組入比率が決まるため、たとえ割高でも機械的に株式を購入する仕組みになっています。

また、ファンドの組入銘柄は連動する指数に組み入れられてはじめて投資対象になります。アクティブファンドのように、株価が安い時に投資して、長期保有することで、将来的に大きな成長を享受するということが期待しにくく、投資したときにはすでに株価が高くなっている傾向があるのです。

漠然と「インデックスファンドは損をしない」と思って購入していると、意識せずに割高な値段で投資している可能性があると知っておきましょう。

割高な値段で買っているイメージ
インデックスファンドは、機械的に株式を購入する仕組みなので、割高な水準で買っている可能性もある

見逃しがちなインデックスファンドのリスク~その3 組入銘柄が精査されていない

インデックスファンドの組入銘柄は指数に合わせて機械的に選ばれるため、将来的に成長が見込めない企業、ESGやSDGsの観点から投資すべきでない企業にも投資してしまう可能性があります。これを避けたいというのであれば、信託報酬などのコストが上がったとしても、アクティブ型の投資信託を購入するべきでしょう。

最近では、銘柄選択でESGを重視するアクティブファンドも増えていますので、選択肢は豊富にあります。

まとめ

インデックスファンドは、投資家の高い人気を集めていますが、特有のデメリットもいくつかあり、決して万能ではありません。同じ指数に連動する類似したインデックスファンドも多数ありますので、中身をよく確認し、納得感をもって投資することが肝心です。

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