投資先を厳選して運用するアクティブファンドは、インデックスファンドよりも優れた運用成績が期待できる一方、相対的に手数料が高い傾向にあります。「低コストでアクティブな運用をしてくれるファンドがあったら……」そんな期待に応える、注目のファンドシリーズ3選をご紹介します。

  • AIが銘柄を選定する「eMAXIS Neo」シリーズ
  • 信託報酬の安さが魅力の「Oneフォーカス」シリーズ
  • 企業の収益性にも着目する「SMT MIRAIndex」シリーズ

アクティブとインデックスの“いいとこどり”を狙う

アクティブファンドの収益性と、インデックスファンドの低コスト性の“いいとこどり”を狙う――近年、そんな投資信託が相次いで登場しています。いったい、どんなファンドなのでしょうか?

その正体は、「テーマ型インデックスファンド」です。自動運転やロボットなど、将来有望な業種にフォーカスした「テーマ型指数」を作り、その指数に連動する運用を目指す仕組みです。

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一般的なインデックスファンドと異なり、指数の組み入れ銘柄を業種や収益性などでスクリーニングするため、アクティブ運用の性格を持ち合わせていると言えるでしょう。インデックス投資の手法を用いて、低コストなアクティブ運用を目指すファンド、と言い換えてもよさそうです。

ただし多くのテーマ型インデックスファンドは、取扱い販売会社が少ないのが現状です。ネット証券を中心とした数社でしか取扱いがない、といったケースもあるため、投資を検討する際には注意が必要です。

今回はそんな「テーマ型インデックスファンド」の中から、3つのシリーズをピックアップして比較します。

シリーズ名 ラインアップ 信託報酬
(税込)
購入時
手数料
運用会社
eMAXIS Neo 9種 0.792% なし 三菱UFJ国際投信
Oneフォーカス 5種 0.495% 購入価額の最大3.3% アセットマネジメントOne
SMT MIRAIndex 5種 0.77% 購入価額の最大3.3% 三井住友トラスト・
アセットマネジメント

データは2021年1月29日時点。各運用会社の運用報告書をもとに編集部作成

AIが銘柄を選定する「eMAXIS Neo」シリーズ

9種類もの投資テーマをラインアップする、三菱UFJ国際投信のテーマ型インデックスファンドシリーズ「eMAXIS Neo(イーマクシス ネオ)」米Kenshoテクノロジーズ社がAI(人工知能)を活用して組成する指数に連動する点が特徴です。

AIが数百万ページ以上にも上る企業の資料などを自動で読み込み、テーマに関連するキーワードの有無を基に自動で銘柄を選び出しているそう。人間ではとても処理しきれない量の情報も、AIを利用することで取りこぼしなく活用できるのは魅力です。

ファンド名 純資産
(億円)
過去1年の
騰落率
設定日
eMAXIS Neo 宇宙開発 15  0.1% 2018年8月6日
eMAXIS Neo 遺伝子工学 18 59.0% 2018年8月6日
eMAXIS Neo ロボット 10 21.2% 2018年8月6日
eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 68 116.7% 2018年12月3日
eMAXIS Neo 自動運転 224 126.5% 2019年5月28日
eMAXIS Neo ウェアラブル 22 80.3% 2019年5月28日
eMAXIS Neo フィンテック 14 35.8% 2019年5月28日
eMAXIS Neo ドローン 23 50.8% 2018年12月3日
eMAXIS Neo ナノテクノロジー 55 112.1% 2018年12月3日

データは2021年1月29日時点。運用報告書をもとに編集部作成

2020年5月末時点の過去1年間の騰落率を比較すると、中でも「バーチャルリアリティ」分野に投資するファンド「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」の好成績が際立ちます

他にもeMAXIS Neoでは、「ドローン」「ウェアラブル」などニッチな分野に投資する投信をラインアップしています。ちょっと珍しい分野に投資してみたい……なんて人は、一度公式サイトを覗いてみると何か発見があるかもしれません。

ちなみにeMAXIS Neoは、今回取り上げたテーマ型インデックスファンドシリーズの中で唯一の、購入時手数料が無料のノーロードファンドシリーズです。

eMAXIS Neoシリーズについては、「1年間で2倍以上に値上がりした投資信託も?! eMAXIS Neo全9本を徹底比較してみた」の記事でも詳しく比較・解説しています↓

eMAXIS Neo全9本を徹底比較してみた

信託報酬の安さが魅力の「Oneフォーカス」シリーズ

アセットマネジメントOneが運用する「Oneフォーカス」シリーズでは、ドイツのSolactive社の指数を採用した5種類のテーマ型インデックスファンドを運用しています。

eMAXIS Neoと同様にAIを活用した銘柄選定を行っており、加えてコストダウンにもこだわりを持っているそう。実際、Oneフォーカスの信託報酬は0.495%と、今回比較する3シリーズの中でも特に安く設定されています

ファンド名 純資産
(百万円)
過去1年の
騰落率
設定日
Oneフォーカス 次世代通信 637  42.96% 2020年1月16日
Oneフォーカス ミレニアルズ 651 47.71% 2020年1月16日
Oneフォーカス AI 494 42.52% 2020年1月16日
Oneフォーカス ロボット・テクノロジー 395 40.34% 2020年1月16日
Oneフォーカス フィンテック 416 29.62% 2020年1月16日

データは2021年1月29日時点。運用報告書をもとに編集部作成

「先進性があり長期にわたり高い成長性が期待される分野」に沿ったファンドをラインアップする同シリーズ。中でもユニークなのが、「ミレニアルズ=2000年以降に成人した世代」に着目する「Oneフォーカス ミレニアルズ」です。

モノよりも体験にお金を使い、SNSなどを通じた口コミを重視する傾向にあるミレニアルズの消費活動は、それ以前の世代とは大きく異なると言われています。彼らが年齢を重ね、消費の主役となれば、今とは全く異なる商品・企業が支持される時代が来るかもしれません。

そこで「Oneフォーカス ミレニアルズ」では、インターネット通販やオンラインゲームなど、ミレニアルズとの関連が深い分野の企業をピックアップ。なかでも時価総額の大きい、上位60銘柄程度に投資を行います。独自の切り口で将来性ある企業を見出すファンドとして、今後のパフォーマンスに注目したいですね。

企業の収益性にも着目する「SMT MIRAIndex」シリーズ

 

ファンド名 純資産
(億円)
過去1年の
騰落率
設定日
SMT MIRAIndex ロボ 7.4 47% 2018年10月19日
SMT MIRAIndex バイオ・メディカル 3.9 34.4% 2019年3月26日
SMT MIRAIndex eビジネス 4.51 66.3% 2019年7月30日
SMT MIRAIndex エコ 4.7 42.6% 2019年10月29日
SMT MIRAIndex 宇宙 2.5 -9.52% 2019年12月20日

データは2021年1月29日時点。運用報告書をもとに編集部作成

5本のテーマ型インデックスファンドをラインアップする三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMT MIRAIndex(ミラインデックス)」シリーズは、単に投資テーマを絞るだけでなく、企業の収益性にも着目して銘柄選定を行う点が特徴です。

例えばロボットの分野に投資する投資信託「SMT MIRAIndex ロボ」が採用する指数「FactSet Global Robotics & Automation Index」では、下記の3ステップで投資先の企業を選定します。

1. 世界株式の中から、ロボット関連企業を抽出
2. ロボット関連企業の中から、売上高の半分以上がロボット関連の企業を抽出
3. 2で抽出した企業のうち、収益性の高い上位50銘柄に投資

ステップ3で企業の収益性に注目して銘柄を厳選することで、より高いパフォーマンスを追求する狙いでしょう。

こうした個別企業の収益性や売上高などを勘案した上で算出する指数は「スマートベータ」と呼ばれ、インデックスとアクティブの中間の性格をもつと言われています。ルールに基づいて運用する、という意味ではインデックス運用ですが、より優れた企業を選定する点においてはアクティブ運用の要素を持っているためです。

低コストで特定の分野に集中投資するだけでなく、より高い収益性が期待できる企業に厳選投資したい投資家にとって、「SMT MIRAIndex」シリーズは投資の選択肢の一つになるでしょう。

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