資産運用でも役立つ偉人たちの気概
人生の中盤を過ぎると、「あの時、もし……していたら、……していれば」と、思うことも増えますね。でも歴史上には、高年になって名を成した人物も少なくありません。
ケンタッキーフライドチキン創業者のカーネル・サンダースは、65歳でフライドチキン販売のフランチャイズビジネスを始めます。考古学の父として世界に名高いハインリヒ・シュリーマンは44歳から考古学を学び、51歳の時に現在のトルコ西部、トロイアを発掘して「プリアモスの財宝」を発見します。
日本にも、あきらめない男がいました。日本の実測地図を製作した伊能忠敬です。彼は、50歳の時に江戸に出て高名な天文学者に弟子入りし、55歳から71歳まで全国を測量。亡くなった後に、弟子たちが「大日本沿海輿地全図」を完成します。彼らに共通しているのは、好きなことを追求する一途な想いと、“遅いなんて言わせねぇ”という気概でしょう。
3つのステップすべてで税制優遇メリット
資産運用でも、もう手遅れということはありません。加入に年齢制限のある個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)でも同様です。
iDeCoは、国民年金や厚生年金保険などの公的年金に上乗せできる私的年金の1つです。公的年金に加入する60歳未満のほぼすべての人が加入できます。毎月のお金の積み立て(拠出)、運用商品を選んで資産を増やす(運用)、運用したお金を受け取る(受給)の3ステップがあり、それぞれの段階で税制の優遇が受けられます。
ただし、何歳で加入しても積み立てができるのは60歳までと決まっているため、50代半ばの方々の中には、メリットが期待できないため加入しないという人もいるのではないでしょうか。
60歳間近の加入は「受給開始年齢」に注意
若い時にiDeCoへ加入した場合と比べるとメリット小さくなりますが、50代半ばから加入しても、一定の効果が期待できます。
55歳から最長5年間加入するケースで見てみましょう。先ほどお話しした通り、iDeCoには、3つあるステップごとに税制優遇が受けられます。
「拠出」では、掛け金が全額所得控除になるため、企業年金のない会社員が上限額である月額23,000円を積み立てた場合は、年間で約55,000円の節税(所得税と住民税の合計税率が20%の場合)となります。
さらに、「運用」では、通常20.315%課税される運用益も非課税になります。
将来、積み立てた資金を受け取る「受給」では、一時金として受給すれば「退職所得控除」が、年金として受け取れば「公的年金等控除」が適用されます。
60歳を間近にしてiDeCoに加入する場合には、注意すべき点もあります。それは、年金を受給できる年齢です。
iDeCoでは、60歳時点の「通算加入者等期間」(※)によって、年金の受給可能年齢が変わります(図表)。55歳で企業型確定拠出年金も含めて初めての加入であれば、60歳時点での通算加入者等期間は「4年以上~6年未満」となり、受給できるのは63歳以降になります。
50代後半からiDeCoに加入する場合は、受給開始年齢の引き上げを考慮したマネープランを立てましょう。
【図表】老齢給付として年金受給する場合の受給条件
60歳時点での通算加入者等期間(※) | 受給可能年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳 |
8年以上~10年未満 | 61歳 |
6年以上~8年未満 | 62歳 |
4年以上~6年未満 | 63歳 |
2年以上~4年未満 | 64歳 |
1カ月以上~2年未満 | 65歳 |
※ 個人型および企業型の確定拠出年金における、加入者・運用指図者(掛け金を拠出せず運用だけを行うこと)の期間の合算