経済や暮らしにまつわるさまざまな話題を切り口に、日々の生活で「おトク」を実現させるための知恵やテクニックをお届けする連載。記念すべき第1回のテーマは「消費税増税」と「ポイント還元」です。

利息は使わないと貯まる。ポイントは使うと貯まる

お買い物などでの支払いに対して、一定の比率で金銭に相当する「ポイント」が戻ってくるのが「ポイント還元」です。以前からポイントはクレジットカードや電子マネーなどを通じて広く付与されていますが、ポイントの受け取り方に少しだけこだわることで、日々のお買い物がさらにおトクになります。10月の消費税増税に伴い、ポイント還元の対象は今までより大幅に広まります。今回はそんなポイント還元について考えてみます。

現在のポイント還元の仕組みについて考える前に、基本的なことをおさらいしておきます。

みなさまのお金を金融商品や預貯金に預けたりした場合、「利息」というものが付与されます。利息は、お金を一定の期間利用しないことで付与されます。
これとは反対に、お金を利用することで付与されるのがポイントです。
預貯金の利息を稼ぎたいと思ったら、お金を使うのを控えなければいけません。一方、ポイントはお金を使うほど稼げるので、預貯金の利息と違って貯めやすいという性質があります。

ポイントは「組み合わせ」でさらにおトクになる

ポイントとして代表的なものが、従来からあるTポイントPontaポイント楽天スーパーポイントなどです。
これらのポイントがもらえるお店はたくさんあるのですが、機軸となるお店はコンビニエンスストアです。老舗のTポイントはファミリーマートですし、Pontaポイントはローソン、楽天スーパーポイントはデイリーヤマザキやポプラ、生活彩家などで利用できます。

お買い物の際に、レジでTポイントカードやPontaカードなどを提示すると、支払額に応じたポイントが付与されます。支払いを電子マネーやスマホの決済アプリで行った場合は、Tポイントなどと同時に、電子マネーやスマホ決済にひも付いたポイントが同時に付与されることもあります。

これらとは対称的なのが、イトーヨーカドーやセブンイレブンのnanacoと、イオンやミニストップのWAONです。nanacoもWAONもポイント専用のカードではなく、ポイントの仕組みを持った電子マネーで、ポイントをもらえるのは電子マネーで決済するときだけです。

前者の提示して取得するグループを仮にTポイントグループとし、後者の決済によって取得するグループを仮にnanacoグループとします。Tポイントグループでは、電子マネーなどのポイントも別に付与されるので、合計で2%以上の還元率(支払額に対して発行されるポイントの割合)が可能なのに対して、nanacoグループでは電子マネーのみなので、0.5%還元しかありません。

具体的な例で説明しましょう。ローソンでPontaカードを提示すると100円で1ポイントですから1%還元、それを楽天Edyで支払う場合に、その楽天Edyにチャージする時に1%還元のクレジットカードでチャージし利用すれば、楽天Edyでの支払い自体も200円で1ポイント付きますから、楽天Edyだけで1.5%還元となります。Pontaポイントと合わせると、合計2.5%還元されることになります。

カードと決済方法の組み合わせによっては、もっと高い還元率になる場合もあります。筆者は最高で5.2%還元を実現させています。今やクレジットカードやスマホ決済、電子マネーでさまざまなポイント還元がありますから、注意深く研究してみてください。

政府のポイント還元策は増税分を上回る還元率

クレジットカード決済
クレジットカードは古くからあるキャッシュレス決済の手段として定着している

10月から消費税が増税されるのに伴い、政府は景気対策を目的に、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済によるキャッシュレス決済のポイント還元策を実施します。期限は2020年6月末までです。

消費税は原則8%から10%への2%分の増税となりますが、政府が行うポイント還元策では、中小規模の店舗でキャッシュレス決済を利用すると、5%のポイントが還元されます。消費税との差し引きでは3%の儲けになります。大手チェーン店でも2%のポイントが還元され、増税分との合算でプラスマイナス0%となります。
ということは、キャッシュレス決済によるポイント還元を利用しなければ増税をもろに受けてしまうけれど、キャッシュレス決済を使ってポイント還元がなされれば、実質的に増税を2020年6月まで先送りできるようになり、損するどころかむしろ得をしてしまうことになります。

利用者の立場から考えると、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済などを使って支払いを行うだけで、今までのポイント還元に上乗せして、さらにたくさんのポイントを受け取れます。
具体的な還元方法については、クレジットカードは代金が口座から引き落とされる際の値引きで対応し、電子マネーやスマホ決済では一部を除きポイント還元を実施しようとしています。このように各社で対応が分かれています。

中小店舗では原則5%還元ですから、積極的にキャッシュレス決済を行わないと損をしてしまいます。企業によっては、還元率を上乗せして5%以上とするところもあります。ポイントを発行する各社がさまざまな施策を同時に行っていくようです。

ポイントは「利益」扱いなので課税対象になりうる

ただ、一つだけ気になる点があります。ポイント還元策によって受け取るポイントは、私たちから見たら「利益」ではないか? 利益だから、課税の対象になるのか? という点です。

従来、ポイントは「値引き」という概念で発行されてきました。そのポイントが特定の店だけでなく、さまざまな企業や店で共通して利用できるようになっただけと考えれば、値引きですから課税の対象にはなりません。
しかし、ポイント還元を「値引きの結果」ではなく、顧客に提供する純粋な「利益」だと考えると、懸賞金などと同じ一時所得として扱うことになります。実際に国税庁は、スマホ決済のポイント還元について「課税の対象となるべき利益」という見解を示しています。ただし、もらったポイントが合計50万以下であれば、特別控除額の上限である50万円以内におさまり、課税の対象から外れる可能性が大きくなります。

「貯めるより使う方がおトク」という資産運用

冒頭にも述べましたが、お金を貯めると利息が生まれますが、利息を稼ごうと思ったらお金を利用できなくなります。もちろんお金は目的に沿って貯めることも必要ですが、日々の生活では必ず消費をします。収入の大半は消費に回ります。仮に年間300万円貯蓄をした場合、都市銀行の10年物定期預金でも年0.1%の利率ですが、同じく年間300万円を小売店で消費したときのポイントの還元率が5%だった場合に、果たしてどちらがオトクといえるか、ご理解いただけるのではないかと思います。