分配金が投資元本を取り崩す場合も

毎月分配型投資信託に関するよくある勘違いは、分配金を「利益」だと思い込んでしまうことです。
でも実際には、毎月の分配金が投資による利益ではなく、「元本の取り崩し」であることも少なくありません。

投資信託としては、運用が毎月うまくいき、投資で得た利益の中から分配金が支払われる分には問題ありません。しかし、利益がなくても、みんなのお金を取り崩して、それを毎月の分配金として支払われたらどうでしょうか?
利益もないのにそんなことをしたら、お金は減るだけですよね。たとえば100万円の預金を、毎月自動的に1万円ずつおろしているようなものです。
相談者のように、投資信託を買って数年してから元本割れに気づいて、急にあわてるような場合もあります。

毎月分配型に限らず、投資信託を購入するときは「分配金の方法と純資産総額の推移」などの運用状況を確認するのは絶対条件だと思います。分配金が毎月支払われていても、基準価額が徐々に下がっているような商品は、今後も利益以上に分配金を払い、元本を取り崩し続ける可能性があるので、長期の資産運用では使いづらいと思います。

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毎月分配型は税金と手数料にも注意

もうひとつ考えたいのが、分配金の「税金」の問題です。

分配金のうち、投資信託の利益に当たる部分(取り崩しではない部分)には、当然のごとく税金がかかります。税率は約20%(所得税15%、住民税5%など)です。
振り込まれた分配金で同じ投資信託を買い増す「分配金再投資」の場合でも、分配金はすでに税金が引かれているので、投資信託を買い増すお金は少なくなります。
また、分配金が支払われると、その分だけ純資産総額が減少するため、投資信託の値段(基準価額)は下がります。分配後の基準価額の変動が大きくなるのも注意です。

したがって、長い目で見て積立投資を行うのであれば、分配金を出さない投資信託の方が利益は大きくなりやすいので、長期投資に向いているのではないでしょうか。分配金などの利益に税金がかからないNISA(少額投資非課税制度)の制度もありますので、NISAを積極的に活用していくことも考えていきましょう。

あとは「手数料」。毎月分配型投資信託は、運用にかかる手数料が比較的高めです。
毎月分配型投資信託は、複数の投資対象(債券、不動産、株式)で運用する商品が多いようです。それぞれの特性を生かして値動きのバランスをとっているのですが、それぞれの投資対象を選んだり、バランスをとったりする手間がかかるため、その分コストも高くなりやすいのです。購入手数料や運用時の手数料(信託報酬)は投資効率に影響が出ますので、高すぎるものは避けるべきだと思います。

結論としては、毎月分配型投資信託は、長く続ける運用にはあまり向かないと思います。逆に、分配金がもらえることがお得と思える方や、たとえ元本の取り崩しになっても「毎月一定のお金が入ってくるのが便利」と考える方は、購入してもいいと思います。

最後になりますが、相談者が話していた「乗り換え」はできるのでしょうか。
保有している投資信託を別のものに変更したいと思った場合は、解約をしてから他の商品を買うしかありません。
その場合には、再び「買う商品を間違えた」と後悔しなくてもいいように、商品特性をきちんと理解してから、ご自身に合ったものを買うようにしてください。

次回も、投資信託の投資対象について考えていきましょう。

(次回は2月7日の更新を予定しています)

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