「どっちをとる?」などと、天秤にかけて比べられがちな「愛」と「お金」。結局のところ、どう考えるのが正解なのでしょうか。恋愛に関するエッセイやお悩み相談が絶大な人気を誇るエッセイスト・ものすごい愛さんに聞きました。(聞き手・文=まわた)

ものすごい愛

ものすごい愛さん( twitter:@mnsgi_ai
エッセイスト。1990年生まれ、札幌在住。Twitterを開始後、みるみるまにフォロワーが増え、現在では10万人超え。募集もしていないのにDM等で恋愛相談が寄せられるようになり、恋愛メディアAM(あむ)にて「命に過ぎたる愛なし」の連載を開始し、同名の書籍を好評発売中。現在、大和書房WEBにて『今日もふたり、スキップで』、マイナビ 学生の窓口にて『大学1年生の転び方』を連載中。その他のWEBメディア等でもエッセイを寄稿。

結婚しても、自分の足で歩けるようにしておいた方がいい

「高収入の人と結婚したい」女性は多い一方、賛否両論ある意見でもあります。愛さんのご意見は?

ものすごい愛さん わたしは別にいいと思います! 「背が高くて彫りの深い顔立ちの人」や「話が上手でおもしろい人」が好みなのと同じように、「高収入」というのも好みのタイプの1つですから。

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それにお金を稼げる人って、これまでに努力を積み重ねていたり、アイデアが豊富だったり、コミュニケーションが上手だったり……お金をたくさん稼げるだけの理由があるわけですよね。それは立派な長所であり、魅力だと思います。

ごもっともです! とはいえやっぱり、「お金持ちと結婚したい」とストレートに言うと、世間に叩かれてしまうイメージがあります……。

ものすごい愛さん 「お金持ちと結婚したい」という発言が反感を買いがちなのは、言葉のチョイスによる誤解もあると思います。実際、「お金持ちと結婚したい」と言っている女性がいたとしても、本当にそれだけが条件とは限りませんよね?

だって、いくらお金持ちでもドケチな人は嫌じゃないですか? めちゃくちゃ性格が悪い人も困るし……そう考えると、「結婚したい人の条件」として「お金持ち」だけでは説明が不十分なように思います。そもそも「お金持ちと結婚したい」だなんて、ざっくりしすぎた発言なんです!

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もしも今「お金持ちと結婚したい」と思っている人がいたら、もっと掘り下げて、細分化して考えてみた方がいいのではないでしょうか。もしかしたら、博識で頭が良い人や、努力家が好きなのかもしれません。もっと俯瞰して考えて、色んな条件をつなぎ合わせた方が、より正確に自分の好みを言語化できるはずです。

でも、なぜか恋愛やお金の話って、みんな極論に走りがちですよね。愛とお金って本当はすごく難しい問題で比べるものではないはずなのに、「年収200万円の好きな人と、年収1億円の好きじゃない人、どっちをとる!?」みたいに簡略化した話題になりやすい。普通に考えて、年収200万円の好きな人と年収1億円の好きじゃない人が同時に求婚してくることは滅多にないので、みんな落ち着いてほしいです……。

確かに(笑)。極論の方が面白いからか、つい感覚が狂ってしまいますね。

ものすごい愛さん わたしも結婚していますが、個人的な意見としては夫の稼いだお金よりも、自分で稼いだお金の方が使っていて気がラクですね。夫は自分のお給料でも「家庭のお金だよ」と言ってくれますし、もちろん専業主婦も立派な職業のひとつですが、わたしはそれを2人の生活のためではなく、自分の娯楽のために使うのは少し気が引けてしまうタイプです。ほとんど家事をしていないというのもあるかもしれませんが……。

書籍でも、専業主婦志望の方に「自分の足で歩けるようにしておいた方がいい」とアドバイスしていらっしゃいました。

ものすごい愛さん 専業主婦になること、なりたいと思うことは別に少しも悪くないと思うんです。でも、自分事として考えると不安だな……と思います。

どんなに「この人が大好き! 一生一緒にいる!」と思って結婚しても、先のことはわかりません。一生添い遂げられるのが理想だけれど、ある日突然、夫のことがキライになるかもしれないし、夫が体調を崩して今まで通りに働けなくなったり、急に人が変わって暴力的になったりするかもしれないし、そういうときに解決/脱出する手段がないのは怖いなぁと。

可能性はゼロじゃないですから。どんなことが起こっても楽しい人生を歩みたいので、そのためには自分の足で歩けるようにしておきたいと思っています。

「どうすれば楽しく過ごせるか」を合理的に考えた結果、楽観的になった

ものすごい愛

お金があると、愛がスムーズに育めるケースもありますよね。

ものすごい愛さん ある程度の余裕はお金で買えるので、それが円満の秘訣になることはありますね。例えば共働き家庭では、家事分担が原因のケンカが起こりやすいもの。そんな時に家事を外注したり、食洗器などの機械に任せたりできたら心に余裕が生まれます。愛情の持続には、ある程度の投資が必要なんだと強く感じます

かといって、やっぱりお金さえあればいいわけでもありません。上記の例なら、そもそも「家事を外注しようよ」という話しができる相手でないと、いくらお金があっても意味がない。まずは思いやりや優しさ、お金のかけどころの価値観が合うことが大前提です。

金銭感覚やお金に対する価値観が合う人を探すのは、けっこう大変じゃないですか?

ものすごい愛さん たしかに、最初から価値観がビタッと合っている人を見つけるのは難しいですよね。もしも価値観が合わなくても、話し合って擦り合わせればいい。お互い言葉を尽くして話し合って、それでも価値観が合わないとなれば諦めるしかありませんが……。だから話し合えて、譲歩し合えることが大事なのではと思います。

ちなみに愛さんは、旦那さんとお金が原因でケンカになることはありますか?

ものすごい愛さん わたしがどんぶり勘定なこともあり、ほとんどありません。「普段の生活ではあまり贅沢せず、旅行先などでは心置きなく使う」という、メリハリあるお金の使い方もお互いに共通していますから、夫のお金の使い方で今まで気になったことはありません。それに夫は通帳も全部見せてくれるので、安心感がありますね。

お金のことをオープンに話せることは大事です。大きな買い物をする時は事前に相談するとか、自分だけのお金と思っていないかとか……結婚したら一連托生なわけですから、何かあったときにきちんと相談してくれる人がいいですよね。

とはいえ最終的には、「お金が無くなったら無くなったでしょうがない! その時に考えよう!」という楽観的な考えもあります

愛さんのカラッと楽観的な性格に憧れる人は多いと思います。生まれつきですか?

ものすごい愛さん 生まれつきもあるし、意図的にそうしている部分もあります。楽観的に構えている方がラクだと思うので……しんどいのは嫌いだし、悩んだら疲れるし、色々気にしているのは大変。自分では、極度のめんどくさがりなんだと思っています。

根がネガティブ思考な人にとっては、逆にポジティブになる方が大変なのでは?

ものすごい愛さん それはお互い様ですよね。人にはそれぞれ、性格に合った考え方がありますから。ネガティブ思考でいる方がラクな人や、物事を反芻して、用意周到にしておくのが落ち着く人もいるし。だからわたしは、ポジティブが偉いとは思いません

自分の嗜好や性格に合わせて、やりたくないことはしなくていい。心の病気になるくらい何かを気にして思い詰めるのは心配だけれど、そうでないなら、本人の性格に合わせて暮らせばいいと思います。

わたしは「どうすれば自分が楽しく過ごせるか」を合理的に考えた結果、たまたま楽観的になりましたが、考えた結果ネガティブに落ち着いた人もいるはず。それはそれで、本人にとってはいい結果なんだと思いますよ。

愛があれば幸せとも、結婚の目的が愛とも限らない

ものすごい愛

先ほど、「愛情の持続には、ある程度の投資が必要」とうかがいました。でも、どうしてもお金がない時もあると思います。お金がなくても幸せな家庭を築く方法ってあるんでしょうか。

ものすごい愛さん 身の回りのカップルや夫婦を見ても、お金があるから不和にならないという訳ではありません。ただし、話し合いができないカップルはすれ違うケースが多いようです。やはり、話し合いができないのは致命的。全ての価値観が合う人なんていないので、パートナーとの価値観の擦り合わせは必須です。それができないとなると、お金のことに限らず、何のことでも意見が合わないでしょうし、良好な関係を維持するのは難しいと思います。

そもそも愛があれば幸せとは限らないし、結婚の目的が愛と決まっているわけでもありません。自分が何を欲しているか、自分はどんな価値観を持っていて、何を幸せと思うのか?? 結婚やお金の前に、まずはそこを考えてみるのも重要です。

確かに! 自分の幸せという根底の部分が何かもわからない状況では、結婚だのお金だの言っている場合ではないですね。

ものすごい愛さん とはいえ、勢いも大事ですよ! 結婚だって、やってみてイヤだったらやめればいいんです。人は変わるものだし、自分の好みだって変わるかもしれません。どんなに考えたって、ある意味、結婚は博打。考えすぎて動けなくなってしまうよりは、まずはやってみる方が前進できます。やってみて、自分が幸せじゃなかったら引き返せばいいだけですから。

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