資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。
- 配当金と同様に、株主優待は企業が株主に利益を還元するために実施するもの
- コロナ禍の業績悪化などにより、優待制度を廃止する企業も。投資前に要チェック
- おすすめは、ビックカメラ、イオンモール、イートアンド、エイチ・アイ・エス
個人が株を買うきっかけにもなっている株主優待
今回は株主優待についてのお話です。
個人投資家の投資の目的の一つとして株主優待があります。株主優待は企業が配当金と同じように利益から株主に還元するために実施しています。
実施内容は企業によりさまざまで、レストランチェーンであれば自社店舗の優待券や割引券、テーマパークであれば入場券、製造業などBtoBの企業であればブランド米やふるさとの名産品などバラエティに富んでいます。
低金利の現在では、株主優待と配当金を合わせるとそれなりの魅力的な投資利回りになることも多く、個人が株を買うきっかけとなっています。
ただし、留意したいのは、コロナ禍で飲食や小売、レジャーなどサービス業を中心に業績が悪化し、優待制度を廃止する企業も増えました。そのため投資をする際は企業のホームページなどで最新の情報をチェックするようにしましょう。
ここからは、おすすめの株主優待を実施している企業を順に紹介します。
おすすめ① ビックカメラ(3048)
ビックカメラの株主優待は各店舗で使用できる買い物優待券です。
保有期間によっても異なりますが、例えば100株以上を保有している2月末の株主に対しては、2000円相当の優待券、8月末の株主には保有期間に応じて1000円〜3000円の優待券が進呈されます。
ビックカメラは家電だけでなく、食料品やお酒など幅広い商品を取り扱っています。ビックカメラのほか、コジマやネットショッピングの「ビックカメラ.COM」でも利用できるため近くに店舗がなくとも活用できます。
2021年5月6日のビックカメラは終値1113円で単元株式数は100株なので、約12万円から投資できます。決算月は2月・8月です。
おすすめ② イオンモール(8905)
イオンモールの株主優待はイオンモールの各店舗で利用できるイオンギフトカードやカタログギフトなどから選択することができます。
例えば2月末時点の株主に対して、100株で3000円相当のギフトカードやカタログギフトなどを受けとることができます。さらに3年以上の長期保有の株主に対しては、1000株で2000円相当のイオンギフトカードが追加されます。
ギフトカードはイオンモールのほか、イオングループの系列店で使用することができます。
2021年5月6日のイオンモールは終値1765円で単元株式数は100株なので、約18万円から投資できます。決算月は2月です。
おすすめ③ イートアンドホールディングス(2882)
中華料理の「大阪王将」、ベーカリーカフェの「Rbeaker」などを運営するイートアンドホールディングスの株主優待は自社商品の詰め合わせやお食事券などです。
2月末の株主に対して、例えば100株では3000円相当の「豪華海鮮点心セット」「こだわり餃子」などから選ぶことができます。イートアンドの各店で使えるお食事券を受け取ることもできます。
また、8月末の100株以上の株主に対してはお食事券2000円分が一律で送られます。
2021年5月6日のイートアンドの終値は1825円となっており、約19万円から投資できます。
おすすめ④ エイチ・アイ・エス(9603)
エイチ・アイ・エスの株主優待はツアーや宿泊、航空券などの申込みに使える株主優待券です。
4月、10月の株主に対して、例えば100株で2000円相当の優待券をそれぞれ受け取ることができます。さらに長崎県のハウステンボス、愛知県のラグーナテンボスなどの入場割引券も受け取れます。レジャー関連の株は旅行好きな方であればコロナ後を睨んで投資を考えるのも一案です。
2021年5月6日のエイチ・アイ・エスの終値は2271円となっており、単元株式数は100株なので約23万円から投資できます。
エイチ・アイ・エスの株を持っておけば、コロナ後の楽しみが増えるかも?
魅力的な株主優待はほかにもある
株主優待の概要とおすすめ4銘柄を紹介しました。株主優待はこの他にもさまざまな種類があります。長期で保有した株主に対して追加の特典を実施していることも多いので、長期投資の観点で優待銘柄を色々と調べてみるのも良いのではないでしょうか。