「つみたてNISA」は、長期の積立投資を後押しする非課税制度です。前回前々回の記事では、つみたてNISAの対象となるバランスファンドが採用している指数と運用スタイルを分析しました。今回は、株式のみに投資を行うインデックスファンドについて同様にみていきます。

  • つみたてNISAの対象となり、株式のみに投資を行うインデックスファンドは85本
  • 国内型は日経平均連動が最多、海外型は全世界・先進国・米国のみ・新興国に分類
  • インデックスファンドが連動を目指す指数の中身をチェックしよう

つみたてNISA対象の株式インデックスファンドは85本

金融庁が2021年6月18日に発表した「つみたてNISA対象商品届出一覧」では、インデックスファンドが173本あり、そのうちの85本が株式のみに投資をするファンドです。

内訳は国内株式型が35本、海外株式型が50本です。海外株式型は日本株を含む商品と含まない商品に分かれます。また、投資対象が株式のみのインデックスファンドも、バランスファンドと同じようにほとんどがファミリーファンド形式になっています。

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つみたてNISA対象商品 インデックス型株式ファンド(2021年6月18日)

国内型のインデックスファンドは日経平均連動が最多

国内株式型35本のうちTOPIXに連動する商品が13本、日経平均株価に連動する商品が17本、JPX日経インデックス400に連動する商品が5本です。

日経平均株価に連動するファンド数が最も多くなっています。前々回で取り上げた国内外が投資対象のバランスファンドは、ほとんどのファンドでTOPIXを採用しているのとは対照的です。また、以下でみていく海外株価指数のほとんどが時価総額をベースに算出していますが、日経平均は株価をベースに算出されます。

海外型のインデックスファンドは4地域に分かれる

海外株式型は投資対象地域により「全世界」「先進国」「米国のみ」「新興国」の4つに分かれます。それぞれの本数は、全世界10本、先進国18本、米国のみ10本、新興国12本です。

先進国対象のファンドは、同じファンドで為替ヘッジあり、なしの2タイプある商品が4つあるため、その分、本数が多くなっています。また、投資対象地域を米国のみにしているファンド以外は、MSCIかFTSEが算出している指数に連動するように運用されています。

トラリピインタビュー

以下、順にみていきます。

全世界に分類されるファンド10本

全世界に分類されるファンド10本のうち、連動を目指している指数「MSCI ACWI Index」が8本、「FTSE Global All Cap Index」が2本です。対象地域の区分けとしては全世界ですが、実際の投資対象地域は先進国と新興国になります。

「MSCI ACWI Index」は、先進国と新興国の大型株、中型株で構成された指数です。「FTSE Global All Cap Index」は、先進国の大型株、中型株、小型株と新興国の大型株、中型株で構成された指数です。2つの指数の大きな違いは先進国の小型株を含めるか含めないかになります。

時価総額をベースに算出する指数は、時価総額の大きい銘柄の値動きに左右されやすいため、小型株まで組み入れてもパフォーマンスに大きな違いは生まれないと考えられます。

ちなみに、MSCIの大型株、中型株、小型株の定義は、時価総額上位70%が大型株、中位15%が中型株、下位15%が小型株となります。(MSCI指数パンフレット2015年版PDF5ページより)

先進国に分類されるファンド18本

先進国に分類されるファンド18本のうち、「MSCI World Index(MSCIコクサイインデックス)」が17本、「FTSE Developed All Cap Index」が1本です。

「MSCI World Index(MSCIコクサイインデックス)」は日本を除く先進国を対象とした指数であり、「FTSE Developed All Cap Index」は日本も投資対象に含まれています。全世界と同じようにこちらも「MSCI」は大型株、中型株が対象、「FTSE」は小型株まで対象になります。

米国のみを対象とするファンド10本

米国のみを対象とするファンドは10本あり、そのうち「S&P500」に連動したファンドが8本、「CRSP U.S. Total Market Index」が2本です。

「S&P500」は米国企業を代表する大型株、中型株500銘柄で構成された指数であり、「CRSP U.S. Total Market Index」は米国の上場銘柄をほぼカバーした指数になります。日々の値動きを気にする人は、「S&P500」の方が値動きを確認しやすいでしょう。

新興国を対象とするファンド12本

新興国を対象とするファンド12本のうち、「MSCI Emerging Markets Index」に連動したファンドが10本、「FTSE Emerging Index」に連動したファンドと「FTSE RAFI Emerging Index」に連動したファンドがそれぞれ1本あります。

「FTSE RAFI Emerging Index」は、「FTSE Emerging Index」の構成銘柄の中から売上高、配当などを選択の基準として銘柄数を絞り込んでいます

インデックスファンドが連動を目指す指数の中身に注目

つみたてNISAの投資商品としてインデックスファンドを検討する際は、そのファンドが連動を目指す指数の中身をチェックするといいでしょう。

投資地域の広い、全世界や先進国を対象にした指数は、米国(S&P500)や日本(日経平均株価、JPX日経インデックス400)を対象にした指数に比べ、幅広い銘柄をカバーしています。また、先進国株式の指数である「MSCI World Index(MSCIコクサイ)」は日本を除く先進国が対象になる点に注意しましょう。

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