緊急時に備えるお金
筆者が今般のコロナ禍にて必要性を学んだ、「突然の失業」や「病気で働くことが難しくなった」、「社会的な事情(コロナ禍・大地震・台風など)により働くことができなくなった」などの場合に備えるためのお金です。
正規雇用の方でしたら、雇用保険(基本手当)や健康保険(傷病手当金)などの制度があり、このお金の必要性は感じられないかもしれません。が、これらの制度は入金までに時間がかかります。
正規雇用の方でも、「緊急時に備えるためのお金」として、1~2か月分の生活費に相当するお金をプールしておいた方が良いと思います。
非正規雇用の方やフリーランスの方ですと、先述のような制度を利用できません。ですので、「緊急時に備えるお金」の必要性が高いのではないでしょうか?
少なく見積もっても、フリーランスの方は6か月分の生活費に相当するお金をプールしておいた方が良いと思います。
では、どのように準備しておくのでしょうか?
先述の「ライフイベントに備える」お金と同じく、積立預金・定期積金や定期預金などの利用が考えられます。しかし、いつ到来するか全く予測ができないのが「緊急時」でもあります。
ネットバンクの金利が高めに設定されていたとしても、大きく増えることは望めませんし、長い時間が経過すれば、やはりインフレの懸念も否めません。
そこで、「緊急時に備えるお金」のうちの一部、1万円から15万円くらいは、投資信託のバランスファンドなどで準備するのはいかがでしょうか?
たとえば、毎月5千円ずつ、2年間のバランスファンドの積立投資を行うのです。積立投資を終えるまでの間は、預金で準備します。
投資に充てることができるお金
収入から「生活費」や「ライフイベントに備えるお金」、そして「緊急時に備えるお金」を差し引いた残りのお金がプラスなら、その「プラスのお金」が「投資に充てることができるお金」、いわゆる余裕資金ということになります。
先述の「緊急時に備えるお金」では、目的は明確でも時期が曖昧だから「一部を投資で」ということで、バランスファンドを推奨しました。投資に充てることができるお金は余裕資金ですから、ご自身がリスクを許容することができるのでしたら、誰にもはばかることなく、積極的にリスクを取った投資もできますし、iDeCoやつみたてNISAなどを利用した長期投資を視野に入れても良いでしょう。
種別 | 準備の方法 | 概要 |
---|---|---|
生活費 | 普通預金や総合口座 | 1~3か月分の生活費や趣味のお金。固定資産税など。 |
ライフ イベントに 備えるお金 |
積立預金や定期積金や定期預金 | ライフイベントは人によって異なりますので、上記の例を参考に振り返ってみましょう。 |
緊急時に 備えるお金 |
積立預金や定期積金や定期預金。一部はバランスファンドの積立 | 正規雇用の方は生活費の1~2か月分、非正規雇用やフリーランスの方は生活費の6か月分。 |
投資に充てる お金 |
収入から生活費・ライフイベントに備えるお金・緊急時に備えるお金を差し引いた額がプラスなら | リスクを取った投資でも、つみたてNISAやiDeCoでの長期投資でも可。 |
しかし、考えておかなくてはならないのは、家族構成や家族の年齢が変化することです。今年は「プラスのお金」があったとしても、来年もプラスになるとは限りません。
今年は「どうもプラスのお金が見込めない」、つまり「投資に充てるお金がないかもしれない」という方もいらっしゃるでしょう。
投資に充てることができるお金が見込めないとしたら
では、「今年は投資に充てるお金が無いかもしれない」という方は投資をあきらめるしかないのでしょうか? そんなことはありません。昨年の生活費を振り返り、節約できるところは節約を心掛けましょう。生活費の節約が実現すれば、「緊急時に備えるお金」を減らすこともできます。
節約の定番は「保険の見直し」かもしれませんが、保険の見直しとあわせて気に留めておきたいのが、保険料控除の活用や医療費控除の申告です。
保険料控除は年末調整や確定申告の時に行いますが、漏れはありませんか? また、医療費控除は入院や通院の際の(自家用車を除く)交通費なども申告ができます。医療費控除は年末調整ではできず、確定申告で行います。今のうちに昨年の医療費をチェックしておきましょう。
もし叶うなら、収入を増やすことも検討したいものです。残業を増やす、副業をするなど。ただ、皮肉なものでたとえ収入を増やしても、税金や社会保険料の負担が増えてしまい、思いのほか、手取りが増えないこともありますが……。
まとめに代えて
いわゆる「1年の計は元旦にあり」ではないですが、「投資に充てるお金」の予算の捻出方法を書いてみました。
さらには「ライフイベントに備えるお金」や「緊急時に備えるお金」の準備について、具体的に書いてみましたが、いかがでしょうか?
年が改まった今だからこそ、一度は、お金の使い分けについておさらいしておくのも良いのではないかと思います。