韓国発で世界的な人気を誇るボーイズグループ「BTS(防弾少年団)」の所属事務所であるビッグヒットエンターテインメント(以下、ビッヒ)が10月15日、韓国取引所(KRK)に株式上場し、大きな話題になりました。さて、ビッヒの株は買いでしょうか? 一緒に考えてみましょう。

企業価値はアミューズやエイベックスの15倍超!

上場初日は取引開始直後に公募価格の1株=135,000ウォン(=約12,150円、1ウォン=0.09円で計算。以下、本記事内ではこの為替レートで計算します)の倍以上となる1株=351,000ウォン(=約31,590円)の初値を付け、一時は時価総額で1兆円を超えるまでになりました。

ただ、その後値を下げて、その日の終値は1株=258,000ウォン(=約23,220円)となり、上場初日の時価総額は8兆7,323億ウォン(約7,859億円)でした。2020年8月27日の日本経済新聞朝刊には、同社の企業価値を「3兆9000億~5兆2000億ウォン」と試算する韓国大手証券のハナ金融投資のコメントが載っていましたが、それを大きく上回る滑り出しとなったわけです。

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一企業の時価総額が約8000億円といわれても、それが多いのか少ないのか正直ピンときませんよね。ただ、同じ芸能事務所である日本のアミューズやエイベックスと比較すると、なんと15倍以上の企業価値になるというから驚きです。BTSは世界中で大人気ですから、それだけ株式市場からの評価も高いのでしょう。

ビッヒが上場したということは、誰でも同社の株主になれるということです。MonJaの読者の中にもきっとARMY(BTSのファンのこと)はいることでしょう。すごーく大げさにいうと、株主になるということは、その企業のオーナーの一人として経営に参加するということです。そう考えると、ビッヒの株、ちょっと欲しくなりますよね。

『ARMY』と呼ばれるBTSのファン米シカゴにできたBTSのポップアップストアに並ぶARMYたち 
Liz Hughes / Shutterstock.com

RM、SUGA、j-hopeのお気に入りは?

私はARMYというわけではありませんが、BTSのことは好きです。元々私以外の家族(妻、娘、息子)がBTSファンで、3年前ぐらいですかね、一緒に車に乗ると、まぁとにかくBTSをかけまくるという時期がありました。伊豆に行くまでの片道4時間、ずーっとBTSとか。

また耳に残るんですよね、BTSの曲は。最初はいわゆるK-POPアイドルと思っていたのですが、聞いていくうちに、「かなりカッコいいかも……」と思うようになり、『MIC Drop』とかお気に入りの曲もできました。

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そんなある日、ラジオで音楽評論家の丸屋九兵衛氏がBTSにインタビューした時のエピソードを話していて、それを聴いて俄然BTSへの関心が高まりました。丸屋氏がメンバーのうちRMとSUGAとj-hopeのラッパー3人に一番好きなアーティストについて尋ねると、まずRMはアメリカのラッパーで音楽プロデューサーのケンドリック・ラマーを挙げたそうです。

個人的にそれはすごい納得というか、天才同士という感じで、特に意外性はありませんでしたが、問題は他の二人です。なんだかよくわからない昔のアメリカのギャングスタラップのグループを挙げたそうで(具体的にはボーン・サグズン・ハーモニーとスリー・6・マフィア、あと213……私も詳しくは知りません)、「君たちいくつだよ!」「その年でそんなの誰も聞いてないよ!」とラジオを聞きながら思わずズッコケました。

これは絶対に狙ってできる回答ではないと思うので、本当にお好きなんでしょう。アイドルというよりはラッパーとしてのアイデンティティーのほうがきっと強いんだろうな。以来、この二人には特に注目するようになりました。

BTSが表紙の雑誌もはや社会的存在ともいえるBTS
NAZMI / Shutterstock.com

2日間のオンラインライブの売り上げは約44億円!

大きな音楽賞を受賞したり、世界中のヒットチャートでNo.1になったり、国連でスピーチしたり、ギネス記録を作ったり、政治問題に発展するようなトラブルが起きたりと、もはや単なるボーイズグループという枠に留まらない、社会的な存在になったBTSですが、MonJaはお金や資産形成をテーマにしたサイトなので、彼らがどれだけ稼いでいるかに注目したいと思います。

2020年6月に開催した有料のオンラインライブでは、世界107の国・地域から76万人が視聴し、チケット代と公式グッズの販売を合わせると30億円を超える売り上げがあったそうです。オンラインライブ用の設備投資や運営コストはあるにせよ、リアルで大規模コンサートを行うとすれば、会場費や機材費、人件費、移動費など莫大な経費がかかります。それに比べるとオンラインのほうが大幅にコストを抑えているでしょうから、利益率は断然いいと思います。

このオンラインライブの成功もあり、ビッヒの2020年1~6月期の売上高は前年同期比47%増の2940億ウォン(約264億円)、営業利益は27%増の497億ウォン(約45億円)とのこと。コロナ禍にもかかわらず絶好調です。

つい先日もBTSのオンラインライブがありました。『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』と名付けられ、10月10日と11日に開催されたこのライブは、世界191の国・地域から約99万人が視聴したそうです。

通常のチケットは、4万9,500ウォン(約4455円)で、バーチャル展示の鑑賞券がセットになったチケットは6万1,000ウォン(約5490円)で販売されました。仮に99万人が通常チケットを購入したとしても約492億ウォン(約44億円)の売上があったことになります。たった2日間のライブストリーミングの生中継で約44億円の売り上げって、とんでもない金額ですよね。

BTSのポスターの前で撮影するファンDutchmen Photography / Shutterstock.com

気になるのはBTS依存の高さ……

このようにBTSの世界的な人気と、コロナ時代の新たな収益モデルの確立で、業績も堅調にみえるビッヒですが、同社の株を買うにはどうすればいいでしょうか。日本では、SBI証券に外国株式口座を開設すれば買えます。日本円で買い付けられ、しかも1株から買えるようなので気軽に始められそうですね。例えば10日19日現在ですと、1株=189,000ウォン程度なので、大体日本円で17,000円ぐらいです。すでに保有している「ARMY投資家」もきっとたくさんいるでしょう。

実は私は迷い中です。理由は2つあって、まずSBI証券に口座を持っておらず、新たに証券口座を作るのが面倒なこと。証券口座が増えると管理が煩雑になりそうで、それがちょっとイヤなんですよね……。そしてもう一つの迷う理由が、ビッヒの課題であるBTS依存の高さです。これは多くの人が指摘していますが、私もそう思います。

今回の株式上場で調達した資金は、BTS依存の高さを解消するため、次の「収益の柱」の育成に使われるのでしょう。すでに他の事務所を買収したり、オーディション番組を計画したりするなど、着々と手は打たれているようですが、しばらく様子見でもいいかもしれません。「BTSを応援する気持ちで株を買いたい」というのであればいいと思うのですが、個人的にはどんな銘柄でも「応援」だけで株を買うことはしません。

BTSの弟分たちもきっとスターになるでしょう。中にはグローバルに活躍するグループも現れるかもしれません。でも思うのは、BTSのようなグループは、たぶんもう生まれないだろうな、ということ。

7月に発売されたBTSの新譜があまりにも良くて、その時、どうしてBTSだけがここまで突き抜けた存在になれたのかを、関連書籍を読んだりしながら、自分なりに考えてみました。そして結局、「あの7人だったから」という当たり前の結論に至りました。その意味でBTSに再現性はないと思いますし、ビッヒのBTS依存の解消は簡単ではないだろうな、と思ってしまいます。

ただ株式投資とは無縁の妻が最近、「冬のボーナスでBTSの株買う!」と息巻いているんですよね。「BTSの株」という時点で、ちょっとアレなんですが……。ボーナスを全額突っ込みそうな勢いなので、分散投資の大切さを教えつつ、口座開設の手続きを手伝ってあげようと思います。