生命保険や損害保険から保険金・給付金を受け取る時には、保険会社へ連絡をして請求手続きをする必要があります。しかし、保険の請求をできる状態になってから一定期間が過ぎると、請求ができなくなる可能性もあることをご存知ですか?
- 生命保険や損害保険の保険金・給付金は「保険法」で「時効」が設定されている
- 請求漏れを防ぐには、家族やパートナーには加入の事実や保管場所を伝えておく
- 定期的に届く保険契約の確認書類でどのような保障・補償を受けられるか確認しておく
生命保険・損害保険には請求時効が設定されている
身近でトラブルがあると、その出来事への対処が優先されて、保険の請求手続きは後回しになってしまうかもしれません。あるいは、家族が保険に入っていることを知らずにいて、気付いた時にはかなりの期間が経っていた、なんてこともあるでしょう。
数カ月の期間であれば問題はありませんが、数年経ってしまっていた場合には急いで手続きを進めるのが良いでしょう。なぜなら、保険金や給付金などの請求にも「保険法」と呼ばれる法律で「時効」が設定されているからです。
保険法では、保険金や給付金、解約返戻金、前払い保険料の返還について、請求を行えるようになってから3年が経っても請求を行わなかった場合には、時効によってその請求をする権利は消滅すると定められています。
この法律に則り、多くの保険会社の約款でも請求の時効を定めています。そのため、もし保険金や給付金を請求できるような状態になってから3年が経ってしまうと、本来受け取れるはずのお金を受け取れなくなる可能性があるのです。
もしも請求を忘れて時効を過ぎてしまったらどうすればいい?
ただし、気付いた時には既に3年以上経っていた!という時も、請求が絶対にできないとは限りません。保険会社によっては、3年が経過していても請求の受付をしてくれる場合もあります。3年が過ぎていたからといって諦めずに、まずは保険会社の問い合わせ窓口に連絡をしてみましょう。
また、大きな災害が起きた場合には、時効を無効とする、特別な対応がされている場合もあります。たとえば、2011年に発生した東日本大震災についてはその被害の大きさを鑑み、3年を過ぎても請求を可能とする特別な取り扱いを行うと、生命保険協会・全国共済は発表しています。大きな災害が発生した時には、まずは身の安全の確保と生活状況の整備を優先し、落ち着いたタイミングで保険会社へ連絡するようにしてみてください。
家族やパートナーが保険に入っていたことに気付いたけれど、事情によりどうしてもその保険会社がわからない場合には、生命保険契約照会制度の利用も検討してみてください。詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
保険金・給付金の請求漏れを防ぐためのポイント
請求漏れは保険契約していることを知らなかったり、忘れてしまっていたりすると起こるものです。請求漏れを予防する取り組みの一例として、以下のような対策が挙げられます。
①家族やパートナーに保険へ加入していることやその契約内容を伝えておく
状況によっては、家族やパートナーに保険加入していることを伝えるのが難しいこともあるでしょう。保険に入ったタイミングで、家族やパートナーにそのことをしっかりと伝えておくことをおすすめします。
②家族やパートナーに保険証券などの保管場所を伝えておく
いざ請求手続きをしようとした時に、どの保険会社の保険に加入しているかが分からないと、手続きに手間取ってしまいます。保険契約した際に保険会社から送られてきた保険証券は大切に保管し、その保管場所は家族やパートナーとも共有しておきましょう。
③指定代理請求人、家族登録制度で家族やパートナーを設定し、そのことを本人に伝えておく
医療保険では、自身で請求などの手続きができない場合に手続きをしてもらう人を事前に設定する「指定代理請求人制度」があります(詳細はこちらの記事でご紹介しています)。登録をした場合は、そのことを本人に伝え、もしもの時に対応してもらえるようお願いしておくと良いでしょう。
④定期的に届く保険契約の内容確認書類で、どんな時に保障・補償を受けられるか再確認する
加入から期間が経つと、自分の入っていた保険の内容がどういったものだったかあいまいになっていくこともあるでしょう。保険に加入をすると、毎年一定の時期に契約内容を知らせる書類が届きます。この書類で、どんな時に保険金や給付金の請求ができるのか確認をして、請求が必要な時にすぐ手続きへ入れるようにしておけると安心です。
保険はもしもの時の大きな出来事に備えるためのお金を受け取れる大切な仕組みです。備えを十分に生かせるよう、請求漏れのないようにしっかりと家族やパートナーと情報共有をし、定期的な確認もしておきたいですね。