利回りが同じ債券でも、利率が低い既発債(すでに発行された債券)を選ぶことで、同じ発行体(国や企業などの、債券を発行する主体)の債券を安く買うことが可能になります。この記事では、利率と債券価格、額面金額の関係から、同じ利回りの債券を安く買う方法について説明していきます。

  • 債券市場では、同じ発行体であっても同時期に利率の異なる債券が存在する
  • 利率が高い債券が発行されると、理論上は過去に発行された債券の価格が下がる
  • 金利が上がると同じ利回りの過去の債券を安く買えるが、デメリットには注意

債券とは

最初に、債券の概要について解説します。

債券は、国や企業が直接、投資家から資金を借り入れるために発行します。
利付債券(定期的に利息が支払われる債券)では、債券購入者(投資家)に対して定期的(年2回など)に利子を支払い、償還(満期)時に額面金額(元本と同等)を返済します。投資家は、満期を待たずに売却することや、すでに発行された債券(既発債)を購入することもできます。

アクサ・インベストメント・マネージャーズ 未来の世界を見据えて、持続的な成長が期待される企業に厳選投資

投資家の収益は、受け取った利子と、売却価格(額面金額または債券価格)と購入価格(発行価格または債券価格)の差額の合計です。

投資家の収益 = 受け取った利子 + (売却価格 – 購入価格)

また、債券価格は、発行後に金利や景気の影響を受けて変動しますが、満期時は発行前に決められた額面金額に戻ります。

債券市場では、同時期に利率の異なる債券が存在する

債券の利率は、発行時の金利状況を参考に決められます。そのため、発行時期により利率が異なってきます。また、債券は償還までの期間があるため、下図のように同時期に利率の異なる債券が存在します。

下図は、同じ発行体から発行された期間5年、固定金利の債券です。第1~4回の年利率は2%、第5回の年利率が3%です。黄色い部分は、償還までの期間が第5回と重なる部分になります。
第5回と重なる期間は、第1回が1年、2回が2年、3回が3年、4回が4年です。

利率2%と3%の債券

第5回の債券が、発行金額100円で、額面金額と同額で発行されたとすると、年間の利回りは3%になります。

計算式は、

年利回り = (年利率 + (額面金額 – 発行価格) ÷ 5年間) ÷ 発行価格 × 100(%)
3% = (3 + (100円 – 100円) ÷ 5) ÷ 100 × 100%

です。

利率の高い債券が発行された場合、以前に発行された債券の価格は?

上記の例のように、利率3%の債券が発行されると、理論的には過去に発行された利率2%の債券の需要が落ち(売られ)、債券価格は利回りが約3%になるまで下がります。

利率2%の債券が利回り3%になる債券価格は、重なる期間(残存期間)により異なり、以下の式で求めることができます。

(利率(表面利率) × 重なる期間 + 100) ÷ (利回り(最終利回り) × 重なる期間 + 100)

第1回目は、重なる期間が1年なので、
(2 × 1 + 100) ÷ (3 × 1 + 100) = 約99.029円

2回目は、重なる期間が2年になるので、
(2 × 2 + 100) ÷ (3 × 2 + 100) = 約98.113円

以下、重なる期間が3年の3回目は、約97.247円。重なる期間が4年の4回目は、約96.428円です。

重なる期間(上図の黄色の部分)が長い債券ほど、価格下落が大きくなります。そのため、第1回目に比べ、2回、3回、4回になるほど債券価格は下がります。
逆に、利率の低い債券が発行された場合、残存期間のある過去の債券の価格は上昇します。

上記のように、金利(利率)が上昇した時に、過去に発行された利率の低い債券(同一発行体)を購入することで、同じ利回りの債券を安く購入することが可能になります。

ただし、以下のデメリットがあります。

同じ利回りの利率の低い債券を購入した場合のデメリットは?

同じ利回りの利率の低い債券を購入した場合のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。

・受け取れる利子は少なくなる
・運用期間は短くなる

受け取れる利子は少なくなる

上記の例で説明します。利率2%の債券は、額面金額100円に対して年2円(税引前)の利子ですが、利率3%の債券は、利子が3円(税引前)です。そのため、年間1円、受け取る利子が少なくなり、重なる期間が長くなるほど、受け取れる利子の差が拡がります。
ただし、その差額分は、額面金額と購入時に発行価格の差により調整して、満期まで保有した利回りは、利率3%の債券と同じになります。

運用期間が短くなる

新しく発行した同じ期間(発行から償還までの期間)債券に比べ、運用期間は先に発行されている分、短くなります。

まとめ

この記事では、金利が上がると、利率に高い債券が発行され、その債券と同等の利回りになるように、それ以前の利率の低い債券の価格が下がる仕組みを「利回りの同じ債券を安く買う方法」という視点で、説明いたしました。債券に投資する際の参考にしていただければ幸いです。

また、定期的に受け取る利子が不要という方は、額面金額を割り引いて発行し、償還時に額面金額で返済する「ゼロクーポン債」という選択肢もあります。

メルマガ会員募集中

インデックスファンドの次の一手