資産運用の裾野が広がり、投資に興味を持つ人が増えています。金融機関や資産運用会社は、投資初心者が気軽に資産運用を始められるように「ロボアドバイザー」や「ラップ型ファンド」といったサービスの開発にも積極的に取り組んでいます。今回は、よく比較されるこれら2つのサービスについて解説します。

  • ロボアドはAI技術などを活用して、自動で金融商品を選択して売買するサービス
  • ラップ型ファンドは富裕層向けの「ラップ口座」のノウハウを生かした投資信託
  • 資産管理を任せられる点はどちらも共通。手数料や運用実績を見て判断する

資産運用会社に売買をおまかせ。投資初心者にも使いやすい

「ロボアドバイザー」(ロボアド)や「ラップ型ファンド」と呼ばれる資産運用のサービスが初心者向けといわれる理由は、通常の株式や投資信託などは自分で商品を選んで購入の手続きをする必要があるところ、資産運用会社に銘柄選択や売買を任せられることです。

自分で投資先を決めたり、売買の時期を見極めたりすることは、投資初心者や忙しい人には難しいものです。ラップ型ファンドでは資産運用会社が、ロボアドではAI(人工知能)の技術を活用しながら運用方針を決めてくれるため、初心者でも負担なく運用を続けられます。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

ロボアドやラップ型ファンドの中には1万円以下の少額から始められるものも多く、手持ちのお金があまり多くない若い人にも始めやすい商品設計になっています。

ロボアドバイザー(ロボアド)……投資信託などを全自動で売買

ロボアドバイザーとはAI技術などによる市場動向の予想に基づいて、自動で金融商品(ETFなど低コストの商品)を選択して売買を行う資産運用サービスです。具体的には以下のようなサービスがあります。

【図表】主なロボアドのサービス
サービス名 特徴 運営会社
ウェルスナビ 資産残高と利用者は国内最大 ウェルスナビ
THEO(テオ) 手数料は最低0.715%と低水準 お金のデザイン
SUSTEN 自社で投資信託を運用。
手数料は成果報酬制
sustenキャピタル・
マネジメント
楽ラップ 楽天証券が運営するサービス 楽天証券
SBIラップ SBI証券とFOLIO社が共同開発 SBI証券

ロボアドは売買する商品を人が直接選んでいるわけではないので、アクティブ型の投資信託と違って、報酬の高いファンドマネジャーの費用がかかりません。購入する商品も信託報酬が低いETFです。ロボアドの運用手数料は年率0.7~1%程度に設定されており、一般的なインデックスファンドと比較すると低くはありませんが、国内株式のアクティブファンドとの比較では、手数料は同等か低い水準となっています。

AI技術の発展などにより、ロボアドの運用もどんどん高度になっています。ロボアドの最大手であるウェルスナビでは、税金面での有利・不利も判断しながら売買の判断を下していく機能が提供されているので、有効活用したいところです。

※過去には編集部員が「THEO」で投資した話を紹介しています。
運用実績随時公開!ロボアド「THEO」に投資してみた
運用実績随時公開!ロボアド「THEO」に投資してみた~7カ月レポート~
弱点は円高?ロボアド「THEO(テオ)」に投資してみた~もうすぐ1年レポート~

運用実績随時公開!ロボアド「THEO」に投資してみた

ラップ型ファンド……市場動向に合わせて資産配分が変わる投資信託

ラップ型ファンドは従来、富裕層向けに運営されている「ラップ口座」という投資一任サービスのノウハウを、一般の投資信託にあてはめたものです。

投資信託には、株式や債券など複数の資産に投資する「バランス型ファンド」と呼ばれるものがあります。一般的なバランス型ファンドは、基本的な資産配分があらかじめ決まっていて、配分が頻繁に変わることはありません。

ラップ型ファンドもバランス型ファンドの一種ですが、一般的なバランス型とは異なり、市場動向に応じて機動的に資産配分を変えることで、パフォーマンスの向上を目指すことが特徴です。例えば、相場の下落が予想される局面では、変動幅が大きい株式の比率を下げ、債券の比率を上げるといった配分変更を行います。

ラップ型ファンドに明確な定義はありませんが、主な投資信託として『りそなラップ型ファンド』『トレンド・アロケーション・オープン』『投資のソムリエ』などが、代表的なラップ型として挙げられることが多いようです。

また同じファンドでも、さまざまなコースを選べるファンドもあります。例えば、『りそなラップ型ファンド』であれば、株式が多く組みこまれている「成長型」、債券が多く株式が少ない「安定型」、安定型と成長型の中間に位置する「安定成長型」があります。

なお、ロボアドの手数料は運用中に負担する信託報酬のみですが、ラップ型ファンドは購入時手数料がかかるものも多いため、コストにも注意しましょう。

運用するのがロボットか人か、その違いは?

ロボアドとラップ型ファンドは、利用する人にとってはどちらも「自動で資産運用ができるサービス」であり、明確な違いがあるわけではありません。実際に、楽天証券のロボアドサービスは「楽ラップ」という名前がついています。

そもそもラップ口座などのラップサービスとは、投資家が金融機関や資産運用会社と投資一任契約を結び、商品選びや売買などの資産管理を任せるサービスのことです。ロボアドもラップサービスの一種であり、AI技術などによって自動で銘柄を選定する仕組みだから「ロボアド」という名前が付けられています。

ただし、ロボ(AI)だから必ず運用が上手くいくとは限りません。もちろん、人間が運用しているラップ型ファンドも必ず成功するとも限らないでしょう。いずれにしても、大切なのは運用の中身や過去のパフォーマンス、手数料など、サービスの詳細をしっかりと見極めて投資をすることです。

メルマガ会員募集中

ESG特集