「人生100年時代」では、お金や資産運用の正しい知識を持つことが大切であり、投資教育のあり方が問われます。資産運用会社の日興アセットマネジメントは、以前から独自の取り組みで、子どもたちを対象とした投資教育に力を入れてきました。

大人にとってもためになる授業

先日、東京・六本木の日興アセットマネジメント(以下、日興アセット)本社で行われた「夏休み親子お金研究室」の様子を取材しました。

夏休み親子お金研究室
夏休みということで、たくさんの親子がイベントに訪れた

小学5・6年生の児童とその保護者の方を対象に、経済の仕組みや株式投資の体験など、お金と社会のつながりについて楽しく学べる投資教育イベントです。ちょうど「年金2000万円問題」が世間をにぎわせた直後ということもあり、会場はほぼ満席となりました。

小島厚子さん
講師を務めた小島厚子さん

日興アセットはこの「夏休み親子お金研究室」を2011年から毎年開催しているほか、全国各地の小学校や金融機関にも出張し、子どもたちにお金の使い方や増やし方を伝える投資教育を行っています。

授業の講師は、日興アセットの研修施設「日興AMファンドアカデミー」で学長を務める小島厚子さん。まずは「景気」「円安・円高」の話から始まり、本題の「株式投資」へと移ります。株式の仕組みは、大人でもわかっているようできちんと理解していないものなので、子ども向けの授業とはいえ、我々大人にとっても非常に勉強になる内容でした。

株式投資の体験を通じてマーケットの仕組みを知る

経済の仕組みをひとしきり学んだあとは「株式投資の体験」です。子どもたちにはそれぞれ1000円のお金が手渡され、証券会社でA社、B社、C社の株を好きな配分で買います。A社は自動車会社、B社は飲料会社、C社はゲーム会社。どの会社の業績が上がり、株価が上がるかを予想するというわけです。子どもたちはお父さんやお母さんと話し合いながら、どの会社の株を買おうか決めていました。

証券会社
教室の外に「証券会社」があり、参加した子どもたちはここで「株券」を買う。ちなみに現在では実際の株式はすべて電子化されているので、「株券」と呼ばれる証書は存在しない

現実の株価はさまざまな要因で上下します。自動車会社であれば、鉄鋼など原材料費の値上げが利益を圧迫します。飲料会社なら、夏が暑くなれば売り上げは上がりやすくなり、冷夏だと売り上げは落ち込みます。ゲーム会社は、AI(人工知能)などテクノロジーの進化の度合いが株価に大きく影響するでしょう。ヒット商品の開発に成功すれば、株価は上がりやすくなります。もちろん、世の中の景気や為替の変動も株価を動かす要因です。そんなマーケットの仕組みを、子どもたちはゲームを通じて体験しました。

どの会社の株式を何株買ったのか、その理由を子どもたちがプレゼンしました。「自動車はアメリカに、ゲームは中国に負けてしまうのではないか」という理由でA社とC社にあまり投資しなかった子。「最近は高齢者による事故が増えているので、安全なアクセルとブレーキの仕組みを開発するのでは」ということでA社を高評価する子。リアルな株式投資さながらの分析です。

手を挙げて株券を示す子どもたち
証券会社で買った株券を、手を挙げて先生に示す子どもたち

最終的に、この日最も株価が上がったのはA社の自動車会社。B社の飲料会社は変わらず。C社のゲーム会社は微増となりました。資産が大きく増えた子も、少ししか増えなかった子も、株価がさまざまな要因で動くこと、未来はなかなか予想どおりにならないことを学びました。ゲームが終わった頃には、参加した子どもたちは一般の大人よりよっぽど株式投資に詳しくなったことでしょう。

ボールを引く子ども株価が変動する要因を決めるのも子ども。このようなゲーム要素を通じて、マーケットの未来は必ずしも正しく予測できないという現実を学ぶ

最後に、長期投資と分散投資の考え方や、お金をどう使うかについての話をしました。価格が下がるかもしれない株式などに投資するのは、将来何らかの目的でお金を使うためで、そのためのお金を預金だけで増やすのが難しいから。お金の「稼ぎ方」より「使い方」に意識を向けることで、投資や資産運用の大切さを知ってもらうという授業でした。

イベントに参加したお母さんは「ゲームを通じて、株式投資をより身近に感じることができました。今までテレビの経済ニュースは聞き流していたのですが、経済や投資の仕組みを知ったことで、ニュースの内容をより理解できそうです」と話していました。

株式投資と社会貢献 - MonJa記者の雑感

個人的な感想として、今回の投資教育イベントで日興アセットが株式投資を「将来的に株価が上がる、成長しそうな企業に投資する」と位置づけたことがとても良いと思いました。

株式投資は、好きな企業を応援して社会貢献することだとよく言われます。もしかしたら、子どもたちに対しては「社会のためになる」という話をした方がポジティブな印象が伝わりやすいかもしれません。株式投資が社会貢献になることは大筋では正しいのですが、ミクロな観点では、あまりもうからない会社に投資することは、社会貢献の観点ではむしろ逆効果になりかねません。

投資家ひとりひとりがそれぞれの観点で「もうかりそうな会社」を選んで投資することが、結果として社会を良くしていくと考えています。言い方は悪いですが、投資家の「もうかりたい」という欲がすぐれた企業を応援することにつながり、社会に貢献できるわけですから、株式市場は本当にうまくできていると思います。

【特集】アクティブファンドの挑戦─今こそ、投資の“原点”に立ち返る

メルマガ会員募集中