2022年10月28日付の日本経済新聞朝刊に「上場株投資単位『50万円未満に』194社に下げ要請 ファストリなど」という見出しの記事がありました。今回は、単位株制度と投資単位50万円未満にする方法に加えて、投資単位50万円以上の銘柄にも投資しやすい1株投資についてみていきます。

  • 上場株式の売買は通常100株単位。ファストリに投資するには約830万円が必要
  • 投資単位50万円以上の会社が、50万円未満になるためには株式分割が必要
  • 株式分割を見越して、1株投資を活用して値がさ株に分散投資をしてみるのも一案

株式投資を100株単位とする「単位株制度」

上場株式を売買する場合、通常100株単位の取引になります。

例えば、株価1,000円の会社の株を購入する場合は、10万円(1,000円×100株)+手数料が必要になります。株価50,000円の会社の株を購入する場合は、500万円(50,000円×100株)+手数料が必要になります。

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東京証券取引所は、望ましい投資単位(100株)の水準として5万円以上50万円未満としています。株価に直しますと、500円以上5,000円未満です。

ファストリへの投資には約830万円が必要

東証のホームページでは、「投資単位の引下げ」 のページに2022年9月末時点の状況が載っています。上場企業3,579社が投資単位50万円未満で、全体の95.1%が該当します。残りの184社(4.9%)が投資単位50万円以上の会社になります。

また、2022年10月26日時点の結果についても、同ホームページのマーケットニュース「投資単位の引下げに係る検討の要請について」 に記載があり、投資単位50万円以上が197社、その内100万円以上が39社となっています。
*株価は日々変動しますので、会社数もそれに応じて変動します。

投資単位が100万円以上の会社(2022年10月26日時点)については、株価に高い順に一覧表が掲載されています。1位がファーストリテイリングで約830万円、2位がSMCで約580万円、3位がキーエンスで約510万円です。

また、東証は投資単位50万円以上の会社に対して「投資単位の引下げに係るご検討のお願い」 というレターを送付し引き下げを要請しています。

投資単位を下げる方法は「株式分割」

投資単位50万円以上の会社が、50万円未満になるためには株式分割が必要になります。

株式分割には、現在の株を分割することにより株価を引き下げる効果があります。例えば、現在1万円の株価の株を1:2に分割しますと、理論的には5,000円(1万円÷2)になります。

株式分割のイメージ

東証はこのような方法で、投資単位50万円未満になるように50万円以上の会社に対応を促しています。

また、東証は株式分割の効果として以下の3点を挙げています。

  1. 対象会社株式が購入しやすくなる
  2. 少額で分散投資ができるようになる
  3. NISAに組み入れやすくなる

上記の「3.NISAに組み入れやすくなる」という項目をみますと、2024年のNISAの制度改正を見据えた動きを積極的に行っている印象を受けます。

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それ以外の株式分割の効果として、株式が分割された場合、配当金が同じような比率で行われないケースがあると言われることがあります。例えば、1株当たりの配当が200円の会社の株を1:2で分割した場合にきっちり100円にはならず、理論値よりも多く受け取れる可能性があるということです。

「1株投資」なら資金が少なくても値がさ株に投資できる

投資単位50万円以上の資金を準備できる方は、単位株(100株)で購入することできますが、そこまでの資金を準備できない方には「1株投資」*という購入方法があります。
*この投資方法はすべての証券会社が対応しているサービスではありません。

1株投資は、文字通り1株から取引ができるサービスです。配当は保有している株に応じて受け取ることができます。ただし、株主総会の議決権は、単位株に満たないため付与されません。また、単位株取引でできる成行注文や指値注文はできない、後場の始値が約定価格になるなどの制限が設けられることがあります。

上記の株式分割のところでも触れましたように、金融庁は積極的に上場株式全銘柄の取引単位50万円未満を目指しているようです。投資単位が500万円以上の銘柄の場合、50万円未満にするためには、1:10以上の株式分割が必要になります。

仮に1株投資のサービスを通じて10株投資した銘柄が1:10の株式分割をした場合、100株の保有になります。株式分割を見越して、1株投資を活用して値がさ株に分散投資をしてみるのも一案かと存じます。

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