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工業需要が旺盛なプラチナとパラジウム

金以外に注目したい貴金属はありますか。

エミンさん プラチナやパラジウムも、基本的には金の位置づけと同じで、長期ポートフォリオの一部として注目すべき資産です。

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プラチナはEV(電気自動車)をはじめとする自動車業界からの需要が強く、この大きなトレンドを覆すような下落は想定しにくいでしょう。供給面ではロシアの生産が減っていることも、プラチナ価格をサポートする要因になります。金と違い、中央銀行が買い集めるような資産ではないものの、この先の工業需要と供給懸念を踏まえると中長期的に強いトレンドを継続するのではないかと思います。チャート上でも、昨年9月以降はっきりと上昇トレンドに乗っています。

パラジウムはロシアが主要な生産国です。ウクライナ侵攻を機に価格が急上昇しましたが、その後は徐々に下値を切り下げ、現在は侵攻が始まった時期よりもさらに低い水準にとどまっています。プラチナと同様、工業需要は底堅いものがありますので、今の価格は魅力的にも映ります。地政学リスクの影響は読みにくいですが、どこかのタイミングでまたジャンプする可能性もあり、今のうちに買っておくのも一案です。

ドル/円は買われすぎ、130~135円が狙い目

ドル/円は昨年秋から続いてきたドル安円高のトレンドが転換し、140円台まで上がってきました。ドルが強いのはなぜでしょうか。

エミンさん ドルが強い理由も、リスクオフの機運が高まっているためと考えられます。

米国では債務上限問題も浮上し、ここでも安全資産とされるドルに資金が流れていきました。さらに、遅れていた資金調達を進めるために、財務省短期証券の発行が見込まれています。発行規模は1兆ドル(約140兆円)程度になり、市場の流動性の低下が懸念されます。つまり、世界中のドルを米国政府が吸収することでドル不足が起こる可能性があるわけです。この動きを見越し、先んじてドルが買われていることも現在のドル高の要因となっています。

ジャネット・イエレン財務長5月には米債務上限問題が浮上し、デフォルト(債務不履行)懸念からドルが買われた

ドル/円に関して言えば、円が買われていないという側面もあります。日銀が新たな体制になり、マーケットは植田和男新総裁が金融政策を転換させていくことを期待しましたが、植田総裁は思いのほかハト派でした。金融政策正常化に向けたメッセージもなく、期待が裏切られた格好になったわけです。

これらの要因からドル高円安が進みましたが、私は今はドルが買われすぎだと思っています。FRBが利上げを落ち着かせる時期が近付いているほか、日銀が介入を行う可能性もあり、現状の140円台は買うことをためらう水準です。130~135円くらいまで下がるのを待ってから狙っていくと良いのではないでしょうか。

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