レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年3月11日)
- 2月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比2万人増と、1年5ヵ月ぶりの低い伸び。一方、低水準の失業率や賃金の堅調な伸びから、8日の米国市場は比較的落ち着いた動きに。
- 8日の中国株式市場は急落。また、先進国の株式市場は足もと下落傾向にあり、今後は株価の変動性が一段と強まる可能性も考えられ、当面、各国株式市場の動向を注視する必要があると思われる。
2月の米雇用者数の伸びは1年5カ月ぶりの低水準
8日に発表された2月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比2万人増と、市場予想の同18万人増(ブルームバーグ集計。以下、同じ。)を大幅に下回り、2017年9月以来1年5ヵ月ぶりの低い伸びにとどまりました。
一方、失業率は3.8%と、前月の4.0%から低下し、およそ49年ぶりの低水準を記録した2018年9月や11月の3.7%に近い水準となりました。このほか、時間当たり平均賃金の伸び率は前年同月比+3.4%と、市場予想の同+3.3%を上回り、2009年4月以来の高水準を記録しました。
【図表1】米 雇用関連指標の推移
※期間:2009年2月~2019年2月(月次)
雇用者数増減は非農業部門の前月比、季節調整済み
平均賃金伸び率は時間当たり平均賃金の前年同月比
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
失業率や賃金の伸びといった明るい材料も
雇用者数の低い伸びについては、同31万1千人の大幅な増加を記録した前月の反動に加え、天候要因も影響したと考えられる一方、低水準の失業率や賃金の堅調な伸びといった明るい材料がみられ、米国の労働市場は総じて良好さが継続していると判断されます。
雇用統計発表後の米国市場では、10年国債利回りが前日から小幅の低下にとどまったほか、主要株価指数は売り優勢で始まったものの、取引終了にかけては日中の下げ幅の大半を取り戻す展開となり、市場への影響は限定的なものとなりました。米国債券や株式市場の動きをみる限り低調な雇用の伸びは一時的なものと考えられ、米国経済は今後も底堅い推移が見込まれます。
8日の米国株は小幅の下落も中国株は急落
8日の米国市場は比較的落ち着いた動きとなったものの、中国株式市場では上海総合指数が6日ぶりに反落し、2018年10月以来、およそ5ヵ月ぶりの下落率を記録しました。株価指数への組み入れ比率引き上げ期待などから、3月に入り中国株は急上昇しましたが、短期的な過熱感に加え、世界的な景気減速懸念から利益確定売りが強まったとみられます。
また、米中貿易交渉進展への期待が後退するなか、日米など先進国の株式市場は足もと下落傾向にあり、今後は株価の変動性(ボラティリティ)が一段と強まる可能性も考えられることから、当面、各国株式市場の動向を注視する必要があると思われます。
【図表2】日米中 主要株価指数の推移
※期間:2018年9月7日~2019年3月8日(日次)
2018年9月7日=100として指数化
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
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