資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

  • 大型株はトヨタ自動車やソニーなど時価総額の大きな代表的な銘柄
  • 中小型株は、大型株に比べて発行済み株式が少なく、時価総額も小さめの銘柄
  • 大型株は情報が取りやすく取引しやすい。中小型株は成長投資に向いている

「大型株」「中型株」「小型株」の分類は?

今回は大型株と中小型株投資について考えてみたいと思います。

これらの分類は上場企業の分類に応じたもので、具体的には、株式の発行済み株式数や時価総額(株価×発行済み株式数)に応じて決まります。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

大型株は端的に言うと発行済み株数が多く、例えばトヨタ自動車やソニーなど時価総額の大きな代表的な銘柄が当てはまります。証券取引所での取引量が多く、取引がしやすい特徴があります。(「流動性が高い」という言い方をします)。そのため外国人投資家や金融機関などの機関投資家の保有も多くなっています。

中小型株は、大型株に比べて発行済み株式が少なく、時価総額も小さめの銘柄を指します。成長途上にある若い新興企業が多いため、うまく成長株に投資することができれば大きなリターンを得ることができます。大型株に比べると創業オーナーや個人投資家の保有比率が高くなります。

分類については、時価総額いくら以上といった明確な規定があるわけではありません。東証1部に上場する時価総額の大きな企業の上位100社を「大型株」とし、TOPIX(東証株価指数)100という指数の対象にしています。その次に時価総額の高い400銘柄を「中型株」としてTOPIXミッド400指数の対象としています。このどちらにもあてはまらない東証1部の全部の銘柄が「小型株」です。中型株と小型株をまとめて、大型株より規模の小さい分類として「中小型株」と呼びます。

なおジャスダックやマザーズなどの新興市場に上場している株を「新興株」と呼ぶことがあります。これらの新興市場は赤字でも上場できるなど、東証1部に比べて審査基準がゆるいため、創業間もないベンチャー企業なども上場して資金調達をすることができます。投資においては、比較的小型株に近い性質があります。また新興株を中小型株とみなす場合もあります。

トラリピインタビュー

次にそれぞれの投資のメリット・デメリットを考えていきます。

大型株投資のメリット・デメリットは?

大型株投資のメリットは、情報の取りやすさと取引のしやすさが挙げられます。大型株は、誰でも知っている有名企業であることが多く、投資初心者も事業についてイメージしやすい特徴があります。ニュースなども多く参照することができるほか、証券会社のアナリストの調査人数が多いためレポートもたくさん出ています。IR(投資家向け広報)に力を入れている企業も多く、ホームページなどの投資家向け情報も充実しています。配当狙いの投資では、大型株の方が配当性向が安定している企業が多い傾向にあります。

デメリットは、外国人投資家の保有比率が高く、日経平均株価など指数の値動きや欧米市場など外部環境の影響を受けやすいことが挙げられます。また、大型株は規模の大きい成熟企業が多いので、リスクを取っても良いので大きなリターンを狙いたい投資家には、やや物足りない場合もあります。

大型株投資のメリット・デメリット
メリット ・情報が取りやすい
・流動性が高く、取引しやすい
・配当性向が安定している企業が多い
デメリット ・指数の値動きや外部環境の影響を受けやすい
・成熟企業が多く、大きなリターンを狙いにくいことも

中小型株投資のメリット・デメリットは?

中小型株投資のメリットは、大きな値上がり益を狙う成長投資に向いている点です。発行株が少ないことから取引が相対的に少ないため、株価の変動リスクが高く、上下どちらにも値動きが大きくなります。大型株に比べれば指数の値動きや外部環境の影響を受けにくい特徴もあります。

証券会社のアナリストの調査が及んでいない企業もあり、ホームページなどの情報提供も大型株よりは見劣りする場合があることがデメリットといえます。配当については、無配の企業も多くあります。ただ、裏を返せばまだ知られていないダイヤの原石といえるお宝銘柄も市場に眠っている可能性があります。中小型株投資は、ある程度株式投資の経験のある投資家の方におすすめです。

中小型株投資のメリット・デメリット
メリット ・指数の値動きや外部環境の影響を受けにくい
・大きな値上がり益を狙う成長投資に向いている
デメリット ・情報が取りにくい
・発行株が少なく、流動性が低い
・配当が安定せず、無配の企業も少なくない

メルマガ会員募集中

インデックスファンドの次の一手