〈記事提供:日興アセットマネジメント〉
株価の値動きそのものではなく、企業の努力に注目する
携帯電話では電話さえできればいいと言っていた75歳の私の母も、今じゃスマホで孫とLINEをしています。かくいう私もiPhoneの新しいのが出たら欲しいと思いそうだし、そのうち4Kのテレビに替えたいと言っている気がします。あるいは最近よく耳にする「フィンテック」というヤツですが、数年後には日本でも、お店で現金を出す人が珍しくなっているんじゃないでしょうか。
モノがあふれる日本でもそうですが、すごい速さで豊かになっている新興国などでは、比較にならないくらい皆が「もっと良いモノが欲しい。良い暮らしがしたい」と思っているはずです。そんな風に欲深い私達を相手に、世界中のメーカーやサービス企業はどんどん仕掛けてきます。さっきの4Kテレビで言えば、今はその倍の解像度を持つ8Kという話も耳にします。そんなの本当に必要なんでしょうか。違いが分かるんだろうか。それでも私たち人間に欲があり、企業がそれに応えるべく頑張る。ミクロで見れば成功する商品と失敗する商品があり、栄える企業と滅びる企業はあるんでしょう。でも総体としてはきっとプラスです。そしてその営みが経済を大きくしていく。
「良いモノが欲しい」という人々の願望に応えるべく、企業が競い合いながら新しい製品を開発し、サービスを打ち出し、利益を上げる。その営みが経済成長につながる
それら企業が利益を伸ばすなら、その株価にはやはり上がる力が働きやすいと考えていいと思います。相当ざっくりした考え方ですけど、こんな風に「株はやはり上がるもの」と単純に信じることができなければ、株式が1%でも入った投信を買うべきじゃありません。そうした経済や企業の利益との関係性を信じることなく株を買おうとすると、単に「株価の値動き自体を買う」行為となっていきます。裏にある企業の努力や経済の本質などに思いを馳せる必要はなく、ギャンブルと同じ感覚で、他の市場参加者との心理戦、表現は悪いですが「政治経済を語ったバクチ」をすることになります。
株はやはり上がるもの
言うまでもなく、投信の中身で私たち運用会社が行なっている投資は、そうした賭けではありません。ある意味「宗教」だと言ったように、頑張って利益を上げる企業の株価は上がるものだという信念のもと、株価と企業収益とのリンク関係に着目した投資を行なっています。
投信を保有するお客様にも、同じような信じ方を持って欲しいと思っています。果たして8Kテレビが成功するかとか、新しいiPhoneはヒットするか、あのフィンテック企業のサービスは一般化するかといった調査分析は運用会社に任せてもらえばいいのですが、投信を保有するお客様自身に本質的な、あるいは宗教的な部分への納得がないと、きっと途中途中のストレスに負けてしまうことになると思うんです。