福沢 隆雄
若葉マークの株式投資 代表
証券会社には店舗型証券会社とインターネット証券会社(ネット証券)とがあります。株式投資にあたり、証券会社の選定は、情報提供の内容、手数料、投資アドバイスの有無などを比較して検討する必要があります。投資知識・経験を含めて自分にあった会社を選定しましょう。
- 店舗型証券、ネット証券、それぞれのメリット・デメリットを見極めて。
- 対面のアドバイスを求めるなら店舗型。自分の意思をはっきりと伝えよう。
- ネット証券では自ら情報収集し、投資の知識を深めることを心掛けて。
店舗型証券会社とネット証券会社のどちらを選ぶか
店舗型証券・ネット証券の特徴、メリット・デメリット等は次のとおりです。
ネット証券 | 店舗型証券 | |
---|---|---|
特徴 | ・パソコンやスマホで株式取引を行う。 ・銘柄選定は自分で行う(投資に関する質問や相談はできない)。 |
・証券会社の店舗で担当の営業員が顧客に直接対応してくれる。株式取引は電話、または店頭で行う。 ・銘柄選定は、営業担当者の意見を参考にすることができる。 |
メリット | ・ネットを通じ投資判断のための様々な情報が見られる、分析ツールが使える。 ・売買手数料が安い。 ・いつでも取引ができる(24時間)。 |
・営業担当者に専門用語や相場の状況などの質問ができ、投資の相談ができる。 ・パソコンやスマホ操作のわずらわしさがない。 |
デメリット | ・パソコンやスマホの操作が不慣れだと、操作がわずらわしい。 | ・売買手数料が高い。 ・取引注文は営業時間などの範囲内でする必要がある。 |
買付け単位 | ・1株(例:3,000円)などの小口の取引が可能。 | ・100株(単元株式)での取引。 ・証券会社によりミニ株(10株単位)の取引が可能。 |
売買手数料 (1銘柄、30万円の取引の場合) |
・200円~400円程度 | ・3,000円~5,000円程度 |
自分で銘柄選定し、パソコンやスマホの操作に慣れている場合は、ネット証券を選んでの投資となります。一方、銘柄選定や専門用語などのアドバイスを営業員から得たい場合やパソコンなどの操作が十分でない場合には店舗型証券を選びます。また、店舗型証券の場合は、営業員が相手ですので、自分の意見を明確に伝えることが大切です。どちらを選定するかは、自分の知識や環境などをよく把握してから決めましょう。
ネット証券会社への対応
ネット証券会社の選び方
ネット証券とは、すべて自分の判断のもとに銘柄選定などを行い取引します。このため、各社HPの画面の作り方、株式投資の参考データ、手数料などを検討して決めましょう。また、ネット証券では、その特性から独自の分析ツールを備えたり、独自の投資商品や独自のサービスを提供したりして各社が特色を出しています。
ネット取引の注意事項
ネット取引の場合、当初、操作方法などが良くわからない方が多いようですが、各社のアドバイスを利用しましょう。取引にあたり、注文を出す前に銘柄名と株数、売りと買いの別などに念を入れて再確認しましょう。また、ネット証券は、株価が下落したからといって、その原因の質問や対応の相談ができません。専門用語などを含め株式投資の知識や判断などが大切になってきます。
店舗型証券会社への対応
店舗型証券会社の選び方と営業担当者の決まり方
店舗型証券の選定は、その会社・店の雰囲気を含め、足を運びやすいところにしましょう。また、気軽に相談できそうな店を選びましょう。店舗型証券では、取引口座を開く際に営業担当者が決まります。売買取引の申込みや相談はこの営業担当者と行います。なお、営業担当者は自分で選べません。受持ち地域の担当が決まっている、あるいは、窓口で説明を受けた営業員が担当になったりします。
営業員との連絡方法
自分の事情がある場合は、それを良く伝えておきましょう。例えば、顧客商売で電話に出られない場合、マイペースで時間を使いたい場合、自分で銘柄を検討するなどの場合は、対応を伝えておきましょう(例:必要な場合は、こちらから電話をするので、それ以外は電話をしないで欲しいなどと依頼しておきましょう)。
営業員への対応
営業担当者から電話や訪問による勧誘があった場合、銘柄推奨の理由と自分の投資目的と投資方針に合っているかを良く確認してから判断しましょう。不明なことは質問しましょう。質問するほど投資の質が高まります。判断がつかない場合は、一旦、保留にしましょう。あわてて買わなければならない株は、すぐに株価が下がるかもしれません。良い営業員は適切な説明をしてくれるはずです。
投資の基盤「投資目的/投資方針」を策定する
株式投資をする前に「投資目的と投資方針」を決めておきましょう。投資目的とは、何のために投資をするか、自分の生き方と資産形成を結びつけるものです。次にその投資目的に基づいて投資方針(リスクに応じた投資スタイル)を自分の知識・経験などを考慮して決めます。
例えば、老後資金を株式取引で貯めることが投資目的で、リスクをあまりとらない運用の投資方針は、下図の「1.利回り・安定性重視」または「2.利回り・値上がり益重視」としましょう。
この整理と確認はとても大切です。投資目的と投資方針を明確にしないないまま、単に株式投資で儲ければ良いとして漠然とした投資を行うと、思わぬリスクをとってしまい、失敗しかねません。
例えば、投資が老後資金のつもりでも、たまたま雑誌などで取り上げられた銘柄を検討しないまま飛びつき買いするなどです。これは、ネット取引でも店舗型取引でも同様です。取引に際し「投資目的/投資方針」を常に意識することが、投資の自己責任をまっとうする第一歩です。
証券会社に取引口座を開設する際は「投資方針等」の記載欄があります。この記載は各社で濃淡がありますが、記載文言に限定されることなく自分の投資の意向「投資目的/投資方針」を貫きましょう。店舗型証券会社の場合は、特に自分の投資の意向「投資目的/投資方針」を営業担当者にきちんと伝えて、その確認と記録をしてもらいましょう。
証券取引の実際は?
証券投資の実情を見てみましょう。日本証券業協会による「証券投資に関する全国調査」(平成30年度:調査対象7,000人)で、株式保有者の状況を見ると、保有銘柄数、株式購入目的、取引証券会社数は、次のとおりです。
ある程度の基礎勉強をしたら、少額で株式投資をしてみませんか。まず、一歩前に。
次回(10月9日予定)は、アメリカにおける証券取引の参考として、証券監督官庁の作成した証券取引における質問(Ask Questions)などについて説明したいと思います。