資産形成のための金融商品にはいろいろありますが、マンションやオフィスビルなどの不動産に投資するのが「REIT(リート)」です。REITには、株式の個別銘柄や投資信託とはひと味違った特徴があります。REITについて知り、REITを活用することで、資産形成の可能性はさらに広がります。(著者/MonJa編集部、日興フロッギー編集部、Junichi Kato)
【投資信託 第5回】株式に加えて債券などにも投資する「資産分散」
日本のREITは株式と同じ方法で買える
ところで、あなたが今お住まいの住宅は一軒家でしょうか? それともアパートやマンションなどの集合住宅でしょうか? 集合住宅であるならば、分譲でしょうか? それとも賃貸でしょうか?
「マイホームは一生で最大の買い物」であるとよく言われます。でも、一軒家を手に入れるには土地を買って家を建てるのに何千万円ものお金がかかるため、誰もが簡単に買えるものではありません。また、分譲マンションは土地にかかる費用はありませんが、それでも数千万円の買い物です。一方で、賃貸住宅はまとまったお金がなくても、月に数万円から数十万円払えば住むことができます。
ここで、賃貸マンションの大家さんの立場になって考えてみましょう。マンションを建てると、入居者が支払う家賃が定期的に入ってくるようになります。そして、やがて家賃収入の総額がマンションの購入費を超えれば、そこから先は利益がどんどん増えていくことになります。また、マンションを建てた地域の地価が値上がりすれば、マンションを売却することにより、大きな利益を得られるかもしれません。
この大家さんと同じように、不動産の家賃収入や売却による利益を誰でも得られる仕組みを持つ金融商品が「REIT」です。日本語では、「不動産投資信託」と言います。
誰もが簡単に「大家さん」になれる仕組み
REITの仕組みを詳しく見てみましょう。
REITをひと言で説明すると、「複数の不動産をひとまとめにして、それを小分けにしたものを投資家に販売して、その収益を投資家に分配する」という仕組みの金融商品です。投資信託と個別株の関係と同じです。
ちなみに日本国内で作られ、販売されているREITのことを「J-REIT」といいます。J-REITは2001年に誕生した、比較的新しい金融商品です。
J-REITの買い方はとても簡単。あなたが株式の売買をしている証券会社の同じ口座で、株式と同じ方法で買うことができます。コンビニでパンだけでなくケーキも買うことができるのと同じように、同じレジで支払いができるというイメージです。もちろん、SMBC日興証券の「キンカブ」で買うこともできます。
日本のJ-REITの仕組みを図で表すと、以下のようになります。
投資家のお金はREITに集められ(REITは「不動産投資法人」と呼ばれる法人のもとで、不動産運用のプロが運営します)、そのお金でREITは不動産を購入し、運用します。不動産の運用で得られた賃料や売却したときの収益を、投資家に還元するという仕組みです。
一般に、REITが運営する不動産は賃貸マンションのほか、オフィスビル、商業施設、ホテル、物流施設などがあります。マンションのみに投資するREIT、オフィスビルのみのREITもあれば、複数の種類の不動産を保有するREITもあります。日本のJ-REITの場合、1つのREITで数十件の物件を保有しているのが一般的です。
REITを買えば、これらの不動産を間接的に所有することになります。ひとりで一棟のマンションを保有するのは難しいですが、REITを使えば、誰もが簡単に「大家さん」になれるのです。